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令和 3年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号

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  1. 大田区議会 2021-03-09
    令和 3年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号


    取得元: 大田区議会公式サイト
    最終取得日: 2021-10-03
    令和 3年 3月  予算特別委員会−03月09日-01号令和 3年 3月  予算特別委員会 令和3年3月9日                午前10時00分開会 ○湯本 委員長 ただいまから、予算特別委員会を開会いたします。  まず、本職から申し上げます。  感染症拡大防止の観点から、傍聴人が激しくせき込むなどの症状が見られた場合、委員長の判断により、傍聴人には退場をお願いする場合がございます。あらかじめご了承願います。  それでは、第1号議案 令和3年度大田区一般会計予算ほか3件を一括して議題といたします。  申合せ事項により、総括質疑につきましては、各会派の持ち時間のうち60分以内を原則とし、通知のあった時間を電光表示いたします。  なお、電光表示が0になりましても、質疑は継続し、各会派の款別質疑以降の持ち時間を消化いたしますので、ご了承願います。  また、款別質疑については各会派の持ち時間を、しめくくり総括質疑については20分を、それぞれ限度として行い、残り時間を電光表示いたします。  なお、会派の呼称は、略称とさせていただきます。  次に、理事者の皆様に申し上げます。  質疑時間には、答弁も含まれますので、簡潔な答弁をお願いいたします。  答弁の際には、その都度、自己の職名をはっきりと告げた上で答弁をしていただきますよう、よろしくお願いをいたします。  それでは、総括質疑に入ります。  初めに、自民の質疑に入ります。  高山委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたのでご了承願います。 ◆高山 委員 おはようございます。自由民主党大田区民連合の高山雄一です。  昨年の予算特別委員会では、ラストバッターとしてしめくくり総括質疑をやらせていただきました。今年は、トップバッターとして、会派を代表し、総括質疑を行います。どうぞよろしくお願いいたします。
     二度目の緊急事態宣言が再延長となりました。現在も新型コロナウイルスのパンデミック下にあり、いまだ予断を許さない状況が続いております。  一方で、ワクチン接種をはじめ、収束に向けた様々な取り組みが進められており、その向こう側には新たな日常に向け、ICTを活用した様々なサービスや新しい公衆衛生の価値観に基づく行動規範やまちづくりの推進など、社会が加速度的に変化していくことを予感しております。  今だからこそ、変化の先にある希望を区民に正しく伝えることが大切ではないかと考え、こうした価値観を基に、本日は行財政運営をはじめ、ワクチンの接種体制や福祉、教育、環境、産業など、各種施策、コロナ終息後のまちづくりなどについて、伺ってまいります。  まず、行財政運営についてお伺いいたします。  令和2年度は、これまで経験したことのない事態に直面し、区は8次にわたる補正予算を編成し、総力を挙げて感染拡大防止、緊急経済対策、区民生活支援に取り組んでまいりました。  感染症の拡大による影響が、いまだ深刻な状況にある中、令和3年度は、新型コロナウイルス感染症や自然災害などの危機から区民の暮らしと経済活動を守り、新たな日常の実現に向けた変革を進める予算と位置づけ、一般会計の予算規模は前年度比2.2%増の過去最大2,938億円となっております。  感染症の拡大は、経済を直撃し、国や地方の減収を招いており、区の基幹財源である特別区民税や特別区交付金を見ると、前年度当初予算と比較し、約45億円の減収となっております。  お隣の品川区では、特別区民税や特別区交付金など、一般財源は前年度比51億円の減を見込み、経常的な歳出予算の10%マイナスシーリングを実施し、前年度比3.1%減の予算案を編成いたしました。  また、世田谷区では、特別区民税や特別区交付金を合わせて128億円の減収を見込み、投資的経費を前年度比128億円の減とし、前年度比2.4%減の予算案を編成するなど、23区の半数が減額予算を編成している状況となっております。  一方、大田区は、感染症対策は時機を逸することなく最優先で進め、区民の行動や意識の変化を踏まえた新しい生活様式への対応など、新たな課題への取り組みや子育て世帯からシニアまで生涯を通じ生き生きと活躍できる環境の整備、区内産業の活性化支援など、暮らしや経済活動を支える施策にも十分配慮し、さらに激甚化する自然災害への備えや、地域活動の拠点となる公共施設、都市公園の魅力づくり、新空港線整備を契機としたまちづくりなど、住み続けたい都市環境の形成の促進にも力点を置く、区の特徴ある力強い予算案を編成したものと評価をしております。  そこで伺います。今後の景気変動を正確に予測することが困難な状況においては、堅実な財政運営が欠かせない一方、区民生活を支える施策を積極的に講じていくことが求められる困難な局面にあります。どのような点に力点を置いて、令和3年度予算を編成したのか、お聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 令和3年度予算の編成にあたりましては、今、求められる感染症対策や暮らしと経済を支える施策、新たな日常に向けた行政サービスの充実など、喫緊の行政課題に対応する施策を機動的に実施することを基本とし、全庁を挙げた事務事業見直しを進め、限りある財源を集中的に投入いたしました。  特に感染症対策や地域医療体制の確保をはじめ、区民の暮らしや経済を支える施策など、令和2年度から総力を挙げて取り組み、これまで8次にわたる補正予算を編成し、50を越える事業に840億円余の予算措置を講じ、多面的な政策を進めてまいりました。  令和3年度予算におきましても、こうした区民生活に必要な実効性ある対策を継続して事業化するとともに、自然災害対策や児童虐待防止対策など、区が直面する課題にも的確に対応いたしました。  必要となる財源につきましては、これまで積み立ててきた基金や特別区債を活用するなど、区が持つ財政対応力を効果的に発揮し、厳しい財政環境におきましても、中長期的に安定した財政運営を進めてまいります。  区は、引き続き、新おおた重点プログラムに基づく感染症対策をはじめとする喫緊の課題に適切に対応するとともに、刻一刻と変化する状況を見極めながら、区民生活に寄り添った施策を積極果敢に展開し、感染症の危機を乗り越えてまいります。 ◆高山 委員 引き続き、区民生活に寄り添った施策の展開を、どうぞよろしくお願いいたします。  人件費や扶助費といった義務的経費は、社会経済状況や人口構成の変化等の影響もあり、この10年間で約227億円の増となり、予算総額の半分を占める状況となっています。特に、扶助費は、超高齢社会への対応に加え、待機児童対策や幼児教育・保育の無償化などにより逓増傾向にあり、今後も増加が見込まれております。  また、区の歳入においても、昨今の景気の動向に加え、国による不合理な税源偏在是正措置により、貴重な税源を奪われ続けていることにも留意が必要です。  ふるさと納税のほか、法人住民税の一部国税化、地方消費税の清算基準の見直しにより、特別区全体として2,500億円規模の減収となる大きな影響を受け、本区においても令和3年度は約170億円規模の影響を受けていると伺っております。  自治体間の関係は、積極的な交流や協働によって、共存共栄することが大切であり、税財源の奪い合いのような対立構造をつくり出すことは是正する必要があるのではないかと考えます。  歳入確保に向けては、令和3年度予算において、税や国民健康保険料など、納付手続におけるキャッシュレス決済の拡充により、区民の利便性を図りつつ、収納率の向上を目指すなど、自助努力の歩みを着実に進めております。  そこで伺います。歳出においては、今年度約1,500にのぼる事務事業を対象に、必要性や緊急性を見極め、見直し再構築を図り、予算や職員定数など、経営資源に的確に反映するため、全庁挙げて事務事業の見直しを行いましたが、持続可能な行財政運営を進めるにあたり、今後事務事業見直しはどのように進めていくのか、お聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 新型コロナウイルス感染症の拡大防止と区民生活支援、区内経済対策などの喫緊の課題に、迅速かつ的確に対応するため、全事務事業の見直し、再構築を行いました。この見直しによって生み出された財源や人材など、貴重な経営資源を再配分するとともに、より一層業務の効率化や公民連携の推進、ICTの導入などに、全庁一丸となって取り組んだところでございます。  今年度の見直しの成果として生み出された財源は、約24億円となってございます。  令和3年度予算編成におきましても、積極的に見直し、再構築を図り、限りある経営資源をより優先度の高い施策へと重点的に再配分いたしました。一例を申し上げますと、イベントや講演会などにつきましては、三密を回避するため、集合型からリモート開催など、非接触型へと実施方法を変更するなど、ICTを活用する取り組みを進める予定でございます。  補助金事業では、木造住宅耐震化助成事業の仕組みを再構築し、耐震化の促進と区内中小事業者の受注機会の創出による地域経済の活性化を支援するなど、効果的な活用を推進してまいります。  窓口業務におきましては、本庁舎の戸籍住民窓口において、平日夜間・休日窓口の開設日を変更し、平日窓口の勤務体制を強化するとともに、夜間・休日窓口でのサービス提供内容を拡充することで、区民サービスの向上を図ってまいります。  今後も、持続可能な自治体経営の実現を目指し、引き続き不断の事務事業の見直し、再構築に取り組んでまいります。 ◆高山 委員 必要性や緊急性を見極め、今後も継続的に見直しを行っていくことを要望させていただきます。  次に、介護保険制度について伺います。  介護保険制度は、平成12年度にその制度が始まり、今制度発足以来22年目の予算が審議をされています。この間、高齢化率が16.4%から令和2年10月現在22.6%に増え、介護認定者数は、昨日健康福祉委員会で報告された令和2年12月末時点の最新の情報では3万1,142人で、ここ数年こそ横ばいで推移してはおりますが、制度発足年度末の1万1,808人と比較すると、3倍近くに増えています。  介護保険特別会計の予算も、制度発足当時の186億円から596億円に拡大するなど、制度の持続性に対し、保険者が単に保険料を集め、サービスを提供するスタイルでは、現行制度の運営が難しくなってくるのではないかと考えています。まさに、持続可能な行財政運営が求められています。  令和3年度からの3か年の事業期間となる第8期介護保険事業計画では、介護給付費準備基金の取り崩しにより、介護保険料基準額を据え置くこととしたことは評価できますが、その後の9期、10期と同じような対応は難しいものと考えます。  そこで伺います。今後、高齢化は待ったなしの状況ですが、持続可能な介護保険制度を維持するため、どのような方針と具体的な施策を計画しているのかお聞かせください。 ◎今岡 福祉部長 団塊の世代の方々が介護保険を利用すると見込まれる2040年頃を見据え、持続可能な介護保険制度に取り組むことは、区としても大きな課題です。  区としましては、介護予防事業のさらなる強化を図り、平均余命の伸びを上回る健康寿命の延伸、いわゆるフレイルの期間を短縮することで、高齢者が健康で生き生きと暮らせる地域社会を実現することが、介護保険制度の持続性を担保する上で重要と考えています。  具体的には、第8期介護保険事業計画における地域包括ケアシステムの構成要素の一つである介護予防の実効性を高めるため、医療と介護等の各種データについて、総合的に地域分析を行い、介護予防の傾向や課題等を明確化してまいります。  これらの分析で得られた結果は、自治会・町会等の地域活動団体へ提供し、フレイル予防の活動を支援してまいります。  今後、元気アップ教室など、区が実施している一般介護予防事業の検討にデータをフィードバックするなど、効果的な介護施策を展開してまいります。 ◆高山 委員 介護保険制度は、財源の不足、介護現場における労働力の不足という二つの不足が制約条件となる中で、多様化、複雑化するニーズに対応しなければならない難しさがあります。さらに、介護予防、日常生活支援総合事業、いわゆる新総合事業や高齢者が体操などで日常的に集える通いの場の拡大など、地域づくりを進める難しさも理解しております。  国は、保険者となる市区町村に対し、機能強化の取り組みを促すインセンティブ補助金として、保険者機能強化推進交付金を平成30年度から予算化し、新総合事業の充実やボランティアなど、多様な主体による生活支援の充実、要介護度の改善などの効果を数字で分析し、介護予防を推進することを求めております。  こうした観点から見ると、平成28年度から取り組んできた東京都健康長寿医療センターとの協働事業であるフレイル予防の取り組み、大田区元気シニア・プロジェクトは、中長期的な介護予防施策の指針となる取り組みと理解をしています。  これは、エビデンスとプラクティスのギャップをどのように埋めていくかを課題とし、地域ぐるみで運動、栄養、社会参加に関する取り組みを推進し、フレイルの先送りと健康余命の延伸を目指す大規模モデルの構築であり、介護予防を科学的に分析する取り組みであるからです。  そこでお伺いします。東京都健康長寿医療センターとの協働事業である大田区元気シニア・プロジェクトのこれまでの成果と、今後介護保険制度を維持していくため、どのように施策に反映していくのか、考えをお聞かせください。 ◎今岡 福祉部長 平成28年度から3年間実施いたしました大田区元気シニア・プロジェクトでは、三つのモデル地区で高齢者の運動機会の確保、食生活の改善、社会活動への参加促進などを中心に、地域の活動を主体としたフレイル予防に取り組みました。この実践を通じて、地域住民同士の交流が活発なほどフレイルとなるリスクが低いことなども明らかになり、地域ぐるみで取り組むことの重要性が実証されました。  こうした成果を踏まえ、区は、東京都健康長寿医療センター研究所との連携を継続し、高齢者を支える地域の多様な主体が参画するコミュニティ会議の設置など、モデル地区以外の地域においても地域ぐるみの取り組みを推進していくための体制づくりを広めております。  新型コロナウイルス感染症の影響により、参集型の事業展開には制約も生じておりますが、共同制作やスタンプラリーなど、新しい日常を踏まえた住民同士の新たな形の交流も生まれています。  第8期介護保険事業計画では、18の日常生活圏域ごとの地域の現状や特徴などを示した地域カルテを作成し、課題の共有を図りながら、住民同士の交流促進と互いに支え合う関係づくりの構築を進めることで、持続可能な介護保険制度の維持に努めてまいります。 ◆高山 委員 ぜひとも、持続可能な介護保険制度の維持に努めていただくことを要望させていただきます。  次に、新おおた重点プログラムについて、お伺いいたします。  少子高齢化の進展、大規模な自然災害の発生、そして感染症の拡大や地域経済への影響など、区を取り巻く社会経済環境は大変厳しい状況です。こうした中、区は限られた行政資源の下で自治体経営を余儀なくされ、区民生活に必要な政策の立案にあたっては、未来を大局的に捉え、優先順位をつけ、経営資源を適切に配分し、具体的に実現していく経営理念が求められているものと考えます。  自治体の根幹をなす中長期的な基本計画が策定できない今、区の戦略性と施策の実効性をいかに高めるかという観点が重要となります。  まずは、感染拡大の防止と区民生活を守ることを念頭に置いて、令和2年度の事業見直しを踏まえ、ポストコロナ時代の暮らしを支える区政運営として、令和5年度までを計画期間とした令和2年度版新おおた重点プログラムを、昨年10月に策定いたしました。  依然として感染拡大の収束が見通せない中、令和2年度版を踏まえて策定した令和3年度版新おおた重点プログラムの意図と狙いについて、まずはお伺いいたします。 ◎市野 企画経営部長 区は、新型コロナウイルスの感染拡大という未曽有の事態に対処するために、緊急対策を中心とした令和2年度版新おおた重点プログラムを策定し、併せて事務事業の見直しを進め、計画を着実に推進してまいりました。  新型コロナウイルス感染症の流行は、依然として予断を許さない状況であることから、引き続き緊急対策に取り組むとともに、今後は区民生活や地域経済の回復に向けた取り組みにも注力していく必要がございます。  したがいまして、令和3年度版新おおた重点プログラムでは、重点的に取り組むべき六つの柱について、直面した危機を乗り越えるための緊急対策に加え、ポストコロナを見据えた各種対策を新たに掲げてございます。  また、感染症拡大の影響を大きく受けた子どもたちの学びに対する保障や、ICTのさらなる活用による自治体経営の効率化を一層推進するとともに、気候変動などの影響により激甚化している風水害や大型地震といった大規模自然災害へ備えるべく、強靱な地域を構築することで、安全・安心な大田区を実現してまいります。  新たな日常の実現に向けた変革を踏まえ、中長期的に区の発展の礎となる施策も見据えながら本計画を推進し、区民の皆様のより豊かな生活の実現を目指して、的確かつ着実な区政運営に努めてまいります。 ◆高山 委員 特に、令和3年版新おおた重点プログラムでは、国土強靱化地域計画を包含するものとして策定をされています。ここで言う強靱性とは、強くてしなやかという意味であり、国土や経済、地域社会が災害などに遭っても致命的な被害を負わない強さと、速やかに回復するしなやかさを持つことを目指すものとされています。  区において、国土強靱化地域計画を策定することは、想定外の事態を想定し、将来への投資として事前の備えを積み重ね、地域防災計画をはじめ、既存計画に対する基本的な指針となり、今後の行財政運営の基礎となるものと考えます。  そこでお伺いいたします。本区における国土強靱化地域計画の意義と、他計画との関係性をどのように整理したのか伺います。 ◎市野 企画経営部長 大田区における国土強靱化地域計画の意義は、防災、減災を図るための施策、いかなる災害に遭っても区民の命と財産を守り、迅速な復旧、復興を図るための施策を、総合的かつ計画的に推進することでございます。  計画の策定にあたりましては、これまでの取り組み状況の把握、課題の抽出を行った上で、優先的かつ重点的に推進すべき取り組みを整理し、短期、中期的な取り組みの具体的な内容を、本計画を包含する新おおた重点プログラム上でお示しいたしました。  次に、他の計画との関係性についてでございますが、国土強靱化地域計画は、当該計画以外の国土強靱化に係る計画等の指針となるべきものとされてございます。  国土強靱化の取り組みにつきましては、単に建物や道路、橋りょうなどのインフラを強化するだけでなく、避難所の運営や災害時の医療体制整備、災害ボランティアの育成などのソフト施策も含まれており、関連する計画は多岐にわたってございます。  したがいまして、区は、国土強靱化地域計画を新おおた重点プログラムと同様に、区政の幅広い分野の指針となる計画と位置づけ、このたび一体的に策定することといたしました。  今後は、本計画の下でより一層強くしなやかな地域づくりに取り組んでまいります。 ◆高山 委員 今後の行財政運営の基礎という点では、2030年までに達成すべき世界共通の目標に掲げたSDGsもその一つとなります。  国は、2016年、今後の指針となるSDGs実施指針を策定し、2020年にはSDGsアクションプラン2020を決定し、計画や戦略、方針、個別の施策の策定や改定、実施にあたってはSDGs達成に向けた貢献という観点を取り入れ、その要素を最大限反映するとしています。東京都においても2019年12月に策定した「未来の東京」戦略ビジョンにおいて、SDGsという国際標準の目線に立ち、持続可能な都市東京を実現し、地球の持続可能性に貢献するとしています。  そこで伺います。本区においても新おおた重点プログラムにおいて、SDGsの要素を取り入れ、各施策の目標とSDGsの目標をひもづけ、SDGsについて広く普及啓発するとともに、目標達成に向けた様々な取り組みを推進していくとしていますが、どのように進めていくのかお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 国のSDGs実施指針及びSDGsアクションプランの策定を受け、区といたしましても、国際社会の一員としてSDGsの視点を持った持続可能なまちづくりを進めていくべきものと考えてございます。  新おおた重点プログラムの策定にあたりましては、SDGs推進の気運醸成を図るために、各事業に関係するSDGsの目標を掲げ、区のあらゆる取り組みがSDGsにつながっていることを示してございます。  区政の羅針盤となる本計画で、SDGsの理念、目標を示すことで、より広く考え方を浸透させるとともに、各種個別計画などを策定する際には、SDGsの目標と施策、事業との関連づけや指標設定など、SDGsの要素を踏まえることで目標達成に向けた様々な取り組みを推進してまいります。 ◆高山 委員 SDGsには、経済、社会、環境をめぐる広範な課題に対して統合的に取り組むための17の目標があります。その達成に向け、政府や民間セクター等のあらゆるステークホルダーが役割を担って取り組むこととされており、地方自治体もその一主体として重要な役割を果たすものとして期待されております。本区においても、率先して区内の事業者や区民の取り組みをリードしていくよう、要望しておきます。  新おおた重点プログラムでは、計画の中心に位置づける6本の柱の一つとして、新たな自治体経営へのシフトを掲げ、ニューノーマル時代と言われる新たな日常への対応として、効果的、効率的な働き方改革とともに、区民サービスの向上へ向けたDX、デジタルトランスフォーメーションを推進するとしています。  DXについては、先日の代表質問において、我が会派の鈴木隆之幹事長からの本区における今後の方向性についての質問に対し、区民のさらなる利便性向上を目指して、積極的かつ加速度的に施策展開を行っていく旨の力強い答弁をいただきました。  DXとは、データやデジタル技術を活用して、組織やビジネスモデルを変革し、価値提供の方法を抜本的に変え、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変えることであるとされています。感染症拡大により、人々に不要不急の外出自粛や三密を避けることが求められる中、行政手続のために来庁する人の多さに違和感を覚えた人も多かったと思います。  本年秋には、デジタル庁が新設され、行政のデジタル化、DXの推進はさらに加速していくことが予想されます。新たな日常へ向けた働き方改革と区民の利便性向上へ向けた取り組みの一層の推進を要望させていただきます。  ここまで、新おおた重点プログラムに関連して幾つか伺ってまいりました。計画は、策定すること自体が目的ではなく、計画に盛り込んだ施策の目的そのものを実現し、目標を達成することが本質となります。計画期間は3か年と短期ではありますが、だからこそ計画の策定、そして実施、検証評価、改善といったPDCAの仕組みが欠かせないものと考えます。  そこで伺います。国土強靱化計画やSDGsの貢献も含め、PDCAをどのように実施する考えか、具体的にお聞かせください。 ◎市野 企画経営部長 新おおた重点プログラムは、毎年度見直しを行った上で、翌年度の計画を策定することにしてございます。  新型コロナウイルス感染症の状況を含め、社会情勢は刻一刻と変化することから、区民生活、地域経済が大きく変化していることも想定されます。したがいまして、見直しにあたりましては、各施策の現状と課題を再度整理するとともに、各事業の進捗状況を踏まえて、年度別計画を更新いたします。また、課題の整理にあたりましては、SDGsの目標を踏まえるものといたします。  本計画の計画期間終了時には、各取り組みの実績と成果、並びに国土強靱化地域計画の進捗状況を振り返った上で、課題分析を行い、新たな基本計画の基礎資料として生かしてまいります。  引き続き、PDCAの考え方に基づき、継続的な改善を推進することで、時機を捉えた施策の展開を切れ目なく講じ、諸課題への取り組みを絶えず向上させてまいります。 ◆高山 委員 この未曽有の事態に、全庁挙げて取り組む覚悟で本計画を策定されたことと思います。ぜひ、計画に盛り込んだ具体的な施策がその目標を達成し、区民の生活を守るために生かされるものとなることを要望し、次の質問に移ります。  次は、SDGsに向けた環境対策について伺います。  昨年12月、国連事務総長のコメントでは、地球温暖化対策の新しい枠組みとなるパリ協定が採択されて5年が経過したものの、世界は正しい方向へ進んでいない、二酸化炭素の濃度は記録的な高さになっており、劇的な危機に直面していることは否定できないとのことであり、さらなる取り組みが求められております。  EUでは、2050年に温室効果ガスの排出を実質ゼロにする目標に基づき、洋上風力発電などに多額の投資をすることを公表いたしました。  中国は、2060年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすると表明しました。  アメリカでは、バイデン政権が誕生し、クリーンエネルギー、脱炭素社会の構築を政策の大きな柱に掲げています。  我が国においては、菅政権が2050年までに温室効果ガス排出をゼロにするカーボンニュートラルの実現を宣言し、小池都知事も2030年までに都内の温室効果ガスを対2000年比で半減させ、再生可能エネルギーの利用比率を50%まで高める目標を表明しています。  持続可能な社会の実現に向けて地球温暖化対策、脱炭素社会の構築に向けて本区にもさらなる取り組みが求められます。  そこで伺います。区内の温室効果ガスの排出削減に向け、区は率先して再生可能エネルギーの活用など、模範を示し、区内事業者や区民をリードしていくことが必要だと考えますが、今後どのように取り組むのかお聞かせください。 ◎落合 環境清掃部長 温室効果ガスの排出削減を推進するためには、区が率先して区民や事業者の皆様のモデルとなる具体的な取り組みをお示しすることが重要であると考えております。  再生可能エネルギー導入拡大の取り組みでございますが、昨年10月から本庁舎で使用する電力を再生可能エネルギー100%に、全ての区立小中学校及び清掃事務所の使用電力を23区の清掃工場のごみ焼却熱を活用して発電した電力に切り替えさせていただきました。  この二つの取り組みにより、区施設から排出される温室効果ガスを年間3,900トン、昨年度実績2万8,514トンの13.6%相当分を削減できると推計しております。  今後の取り組みでございますが、区施設への再生可能エネルギーの導入を計画的に拡大するとともに、照明のLED化の推進など、区施設のエネルギー効率改善に向けた取り組みを着実に進めてまいります。  引き続き、温室効果ガス排出削減に向けた区の率先行動を積極的に発信し、区民や事業者の皆様の温暖化対策を牽引してまいります。
    ◆高山 委員 区が既に様々な取り組みを行って成果を上げていることが、改めて認識でき、高く評価をいたします。  区の環境基本計画は、令和3年度末で計画期間終了となるため、来年度は(仮称)大田区環境アクションプランの策定を予定しております。この見直しの視点として、SDGsへの貢献も含まれていると聞いています。ぜひ、これまで以上に高い目標を設定し、具体的な施策を示し、その進捗を評価できる仕組みづくりを要望させていただきます。  次に、脱炭素車への取り組みについて、お伺いいたします。  現在、世界的に電気自動車EVをはじめとする脱炭素車への流れが加速しています。国や自治体、自動車メーカーなどがそれぞれに目標を定め発表しています。東京都では、走行時に二酸化炭素等の排出ガスを出さない電気自動車や、燃料電池自動車、プラグインハイブリッド自動車をゼロエミッション・ビークルと呼び、2030年の都内の乗用車新車販売に占めるゼロエミッション・ビークルの割合を50%まで高めるとの目標を掲げています。  特別区の中でも、一定の条件の下でEVを購入した場合、国や都の補助金に上乗せする制度を実施している区もあります。  そこで、お伺いいたします。ゼロエミッション・ビークルを含めたエコカーについて、区ではどのように考えているのかお聞かせください。 ◎落合 環境清掃部長 区内の温室効果ガス排出量のうち、14.4%が自動車に由来しております。温室効果ガスを減らすためには、自動車の環境対策は大変重要でございます。  ゼロエミッション・ビークルを含めたエコカーの普及促進は、自動車由来の温室効果ガスを削減する方策の一つです。エコカーの普及促進のためには、区民の環境意識の向上に向けた啓発、EV充電設備等のインフラ整備支援、エコカー購入助成等のインセンティブを付与する施策などが考えられます。  区は、現在、燃料電池自動車の公用車を活用した小中学校や各種イベントへの出前授業など、次世代エネルギーやエコカーの普及啓発に取り組んでおります。  今後、先進自治体の取り組み等を参考にしながら、来年度策定予定の(仮称)大田区環境アクションプランの中で、自動車に由来する温室効果ガスを削減する施策について検討してまいります。 ◆高山 委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。  また、区としての取り組みを目に見える形で推進するためにも、費用対効果を十分検証した上で、今後更新が必要となる庁有車に対して、順次ゼロエミッション・ビークルの導入も検討する価値はあるものと考えます。  台風の巨大化や豪雨災害の激甚化も地球温暖化が原因だとも言われる中、温室効果ガスの排出量削減は世界的な課題であります。本区においても、松原区長の強いリーダーシップの下、温室効果ガス排出量削減に向けた取り組みを強く推進していただくよう、要望させていただきます。  次に、教育について伺います。  2020年度から実施している現行の学習指導要領にSDGsが盛り込まれました。SDGsは2030年までの達成目標ですので、今の小中学生が成人し、社会人として活躍し始める時期となります。持続可能な社会の作り手を育成するという学習指導要領の理念はSDGsそのものであります。  先日、我が家でSDGsの話をしたところ、高校生の娘が、それ、中学でやったと話をしてくれていました。今、世界中で課題としていること、世界が目指していることを子どもたちが学ぶことは、とても意義があるものと考えます。  そこで、お伺いいたします。学校指導におけるSDGsのこれまでの取り組みと今後の進め方についてお聞かせください。 ◎玉川 教育総務部長 持続可能な開発目標、SDGsは、これからの時代を生きる子どもたちが学びを深めるための視点として、大変重要なものでございます。  例えば、エネルギーや気候変動などの目標と関連しまして、小学5年生では、公害の広がりや環境を守るための活動について学習しております。また、6年生では、持続可能な社会の実現に向けた世界や日本のエネルギー、気候変動に関する取り組みを調べて話合いを行っております。  さらに、中学校社会科では、地球環境問題や資源・エネルギー問題を解決するために、日本が果たすべき役割について考え、議論する学習を行っております。  大森第一小学校、赤松小学校、大森第六中学校では、環境問題や自然災害など、多くの課題を解決するために、各教科等の内容を相互に関連させた教科横断的な学習活動を重点的に実施しており、これらの取り組みを他の学校にも紹介しております。  今後は、SDGsについて、各教科を関連させた横断的な視点での指導をさらに充実し、持続可能な社会のつくり手として、よりよい世界を構築できる人材を育んでまいります。 ◆高山 委員 既に様々な取り組みを進めていただいていることを、高く評価いたします。  例えば、SDGsの14番、海の豊かさを守ろうをテーマにサステナブル・シーフードについても取り上げてみてはいかがでしょうか。将来もずっと魚を食べていけるように、海の資源を守っていこうという考え方です。食育という身近な視点でSDGsを学ぶことで、興味を持って取り組めるのではと考えます。引き続き、よろしくお願いいたします。  昨年、感染拡大に伴う学校の臨時休業により、家庭や教育環境に多大な影響が生じました。第3回定例会において、私は代表質問を行い、再度の臨時休業となった場合におけるオンライン授業などの学びの保障について見解をお聞きしましたが、小黒教育長は、子どもたちを誰1人取り残すことなく、学びを保障すると力強くご答弁いただきました。  その後、タブレット端末を1人1台整備するなど、速やかな対応をいただいていることは高く評価しています。  そこで伺います。学びの保障をより実効性のあるものとする必要があります。区は、新おおた重点プログラムの柱の一つに学びの保障を掲げ、いつでもどこでも質の高い学びを提供できる環境の整備を進めるとしていますが、今後の具体的な取り組みについてお聞かせください。 ◎玉川 教育総務部長 教育委員会では、大田区教育ICT化推進計画に基づきまして、小学校において、1人1台のタブレット端末の活用を開始したところでございます。  タブレット端末の活用で可能となるのは、多様な子どもたちを誰1人取り残すことなく育成する個別最適な学びと、子どもたちの多様な個性を最大限に生かす協働的な学びでございます。  このような学びをより実効性のあるものとするためには、タブレット端末を活用する教員の指導力の向上が重要でございます。  そこで、これまでに計13回にわたりまして、教員向けの研修を行い、指導力の向上を図りました。また、中学校2校をモデル校として、オンライン学習の実践的な研究を進めており、2月に各校のICT活用推進リーダーに対して、その成果についての中間報告をしたところです。  今後は、教育管理職経験を持つICT教育を推進する専門員を新設しまして、各校を巡回し、実践的な活用を支援いたします。このほか、ICTの支援員の派遣時数を増やすなどしまして、質の高い学びを提供できる環境をつくってまいります。 ◆高山 委員 しっかりと進めていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。  次に、コロナ禍における産業施策について伺います。  大田区のものづくり産業は、世界に類を見ない高度な技術力を持つ企業が集積しており、従前から我が国の産業競争力に大きく貢献してまいりました。かつてと比較すると、企業数の減少は見られるものの、現在も操業している企業は不断の努力の積み重ねによって、依然としてものづくりのまち大田としてその存在感を示しています。  区内ものづくり中小企業について、明るい話題も聞こえております。1月11日号の区報において、コロナ禍に負けずに前を向く企業を紹介する記事が掲載され、各社ともそれぞれが持つ技術やネットワークを駆使し、コロナ禍を乗り越えようとする気概を持って製品開発に努力されており、こうした取り組みの一つ一つが、区内ものづくり企業の技術力や経営力を向上させ、次の時代に必ずやつながっていくものと感じております。  そこでお伺いいたします。コロナ禍においても、精力的に新たな取り組みを進める区内ものづくり中小企業の実績を、区はどの程度把握しているのでしょうか。また、今後、どのように後押しをしていく考えか、お聞かせください。 ◎山田 産業経済部長 区内には、コロナ禍にありましてもしっかりと前を見据え、次につながる取り組みを進めている中小企業が数多く存在してございます。  一例でございますが、今年度の新製品・新技術開発助成事業におきまして、過去最多の52件の申請があり、補正予算を編成して対応したところでございます。今後も多くの企業から優れたご提案が多数寄せられることを期待しております。  また、区内企業の中には、感染拡大防止に貢献する製品を開発した企業も多数ございます。  産業振興協会ホームページでは、現在、これらの企業、約40社の製品情報を掲載しており、全国に先駆けて製品化をしました飛沫防止アクリルパネルやフェイスシールドをはじめ、タッチレス製品など、多岐にわたります。その中には、同協会の受発注あっせん相談サービスを通じて開発された製品もございます。  さらに、区内企業が区と共同開発した飛沫防止機能付きプロンプターが、複数の自治体で採用されるなど、コロナ禍にあっても多くの実績がございます。  今後の支援についてのご質問でございますが、アフターコロナに適応した働き方の実現が重要でございます。リモートワーク環境の整備のほか、人材確保や育成を地域で取り組めるような仕組みづくりの研究、さらには羽田PiOでの先進的イノベーション成果を区内企業に結びつけて、持続可能性を重視した経営への転換を促す、いわゆるサステナブル・トランスフォーメーション、いわゆるSXなどの産業のまち大田としての企業支援を様々な角度から展開してまいります。 ◆高山 委員 自ら努力する区内中小企業の汗がしっかり報われるよう、今後も区の強力な後押しを継続していただくよう期待しています。  ワクチンの接種が始まり、コロナ禍もその出口が徐々に見えてくる期待感も広がってきています。緊急事態宣言の終了後は、感染症の状況を注視しながらもGoToキャンペーンの再開や東京都の令和3年度予算に盛り込まれるデジタルでのプレミアム還元事業など、経済を回す取り組みにも期待されるところであります。  また、本年10月には南六郷に新たな創業支援施設のオープンが予定されており、新たな産業の芽を生み出す環境が整備されます。未来の世界に貢献する企業の誕生を支え、育てていくことは産業支援の軸の一つとなります。コロナ禍を乗り越えた先には、新たなステージが待っています。一気にV字回復とは行かないまでも、努力を重ねる企業や新たなスタートを切る企業が中心となって、ものづくりのまち大田が再び輝く、そんな未来が来ることを心から期待して、次の質問に移ります。  次に、新型コロナウイルスワクチン接種事業について、お伺いをいたします。  ワクチン接種により、世界的なパンデミックに一定のくさびを打つことを期待しております。区には、区民へのワクチン接種を速やかに開始できる体制づくりが求められています。  先日の我が会派からの代表質問に対するご答弁にもありましたが、区ではワクチン接種についてお知らせするため、3月1日号の区報において、高齢者予防接種の概要、接種券発送等の事前周知を行うほか、接種の流れをイラストで分かりやすく案内をしています。  そこで伺います。ワクチン接種に向けた区の推進体制の整備状況と、35億5,700万円の予算の内容についてお聞かせください。 ◎木田 健康政策部長 まず、予算の主な内容でございますが、区民への接種費用のほか、集団接種会場やコールセンターの運営に必要な人件費のほか、接種券や予診票などの発行に要する事務費を計上しており、基本的には全額国費で賄われます。  次に、区の推進体制の整備状況ですが、区は初めに供給されるファイザー社製のワクチンを、国が示す接種順位に従い、高齢者から接種を開始いたします。現時点では、区施設及び病院の手段接種及び診療所での個別接種を調整しているほか、高齢者が入所する施設で接種を行います。区施設会場については、検診事業を運営する法人に委託をして実施する予定でございます。  国からのワクチンの供給ですが、4月に区へ2箱、約1,000人の方が2回接種する分が入荷される予定になっております。また、3月1日からコールセンターを設置し、接種方法や接種会場などについて、区民から相談を受け付けております。1日平均40件の相談が寄せられております。  国は、6月までに高齢者向けのワクチンの出荷を完了させると表明しておりますが、入荷時期、入荷量はまだ未定です。区としましては、状況に合わせて迅速に接種できるよう体制をつくってまいります。 ◆高山 委員 希望する区民に速やかにワクチンを接種できる体制づくりをよろしくお願いいたします。  次に、ポストコロナのまちづくりについてお伺いいたします。  ポストコロナ時代、暮らしを支える区政運営に向け、蒲田や大森の駅周辺や沿線地域の機能更新、そして活性化につながるまちづくりは、将来を見据え、先見性を持って計画的に取り組んでいく必要があります。  先日、都市計画審議会に関連し、まちづくり環境委員会に区の都市づくりについて報告がなされた際、京浜東北線沿線の各地域が駅前を中心にいかなる開発動向にあるかまとめた資料の提供がありました。タブレットに配信した資料の1枚目をご覧ください。  はい、タブレットに資料を配信しておりますので、1枚目をご覧ください。  これは、都市計画に関わる都の方針や区の都市計画マスタープランに対し、区の見解を説明する際に用いた参考資料であります。  この資料を見ると、沿線の駅周辺では、区の中心拠点の核となる蒲田駅と大森駅を除き、将来を見据え交通結節点機能の向上やにぎわいの創出に向け、いかに再開発事業などを近年実施されているかが理解できます。  周辺都市がこのような状況において、このまま区のまちづくりが停滞すると、周辺の都市から取り残されてしまう危機感があり、非常に心配であります。  そこで伺います。コロナ収束を念頭に、区はまちづくりを今後どのように進めていくつもりなのか、お聞かせください。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 委員お話しのとおり、このまま区のまちづくりが停滞すると、周辺の都市から取り残され、埋没してしまうおそれがあるということで、私どもも大変な危機感を抱いております。  そのため、区では、コロナ禍においても継続性を持ってまちづくりを推進するため、都市計画マスタープランなどの改定に向けた作業を関係者と連携して進めてございまして、来年度は公民連携を見据えた組織改正も予定してございます。  改定作業中の都市計画マスタープランでは、蒲田・大森・羽田空港周辺・臨海部それぞれの広域拠点としての魅力向上とともに、四つの広域拠点域の連携について、より強固に位置づけてまいります。  また、新空港線整備及び蒲田・大森駅周辺や沿線のまちづくりは、多岐にわたる効果が見込まれる事業でございまして、それと同時に防災並びに減災等に資する国土強靱化に欠かせない事業ということであることから、コロナ禍においても計画的に取り組むよう、都市計画マスタープランに位置づけまして、今後も積極的に進めてまいります。 ◆高山 委員 蒲田・大森駅周辺は、特に区民生活における利便性の向上や住環境の充実、国際競争力の強化などの視点から推進していく必要があると考えます。  そこで伺います。区全体を都市計画マスタープランの改定により都市づくりの方針を定めて進めていく中、蒲田や大森のまちづくり戦略をどのように考えているのかお聞かせください。 ◎齋藤 まちづくり推進部長 まさにタブレット端末に配信していただいたように、ほかの地域が開発等発展を続ける中、蒲田・大森がこのままでいいのかといったことでございまして、私どもとしましても、そこは力強くこれから計画づくりを進めていかなければならないと認識しております。  蒲田駅周辺では、戦災復興の土地区画整理事業で形成されまして、街区は小さく、道路幅員も十分ではない上に、航空法の高さ制限、これがあるものですから、まちの機能更新を図る際は、自治体が関係者に積極的に働きかけを行い、公民連携を推進する必要がございます。  ここが他の地域の違うところでございまして、ほかのエリアは、比較的民間の資本が入りやすいというところでございます。  一方、大森駅周辺は、JR大森駅が乗換えのない単独駅といたしまして、都内有数の乗降客数を誇りまして、さらなる活性化に大きな可能性があるものの、一方で駅前空間と回遊性が不足しまして、駅舎の東西通路の確保なども課題になってございます。  そこで、このたび鉄道・都市づくり部を新設いたしまして、鉄道事業者と地域課題を共有し、公民連携を深めるとともに、現下のコロナ禍を踏まえ、中長期的な視点でゆとりある公共空間を創造するウォーカブルなまちづくりを目指しまして、都市機能更新に尽力をいたします。  このように、蒲田、大森、臨海部や、羽田空港周辺において、個性のある中心拠点の形成に取り組むとともに、それぞれが相乗効果を生むスクエアなまちづくり、これを強力に推進してまいります。 ◆高山 委員 蒲田と大森については、区の重要な中心拠点でもあるため、ぜひともまちづくりを着実に進め、発展させていただきたいと要望させていただきます。  次に、新空港線整備について、お伺いをいたします。  昨年の予算特別委員会において、しめくくり総括質疑を行った際、新空港線の進捗状況について、質問をさせていただきました。区長からは、都知事から協議の場を設置する提案があり、今後はその協議の場において速やかに検討を進め、合意形成に向けて積極的に取り組んでいくとの答弁をいただきました。  今年度に入り、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、多くの会議が中止となる中、新空港線の協議の場は、初回は9月3日に対面で、2回目は今年の1月22日にウェブ会議で開催されたとの報告を受けております。  そこでお伺いいたします。新空港線整備に向けた現在の協議状況と、区長の決意をお伺いいたします。 ◎松原 区長 協議の状況につきましては、東京都知事から設置の提案があった協議の場におきまして、まちづくりの要素等を加味して、よりよい事業プランとした上で、都区費用の負担について整理することを目的として、現在、乗換え利便性の向上などの検討項目について、整理、確認を進めているところでございます。  今年度末までに第3回を開催できるように、鋭意調整を、現在行っているところでございます。  また、さる先月の2月17日に新空港線を所管している都の都市整備局技監と私が会談いたしまして、早期に合意できるよう要請してきたところでございます。  また、新空港線の実現は、大田区にとって30年来の悲願でありますが、羽田空港の再国際化、沿線まちづくりの推進、コロナ後の経済復興など、これまで以上に新空港線の果たす役割は大きくなっていると思います。何といたしましても実現させて、区の将来にわたる持続的な発展の礎を築いてまいりたいと思います。  引き続きまして、私が先頭に立って頑張ってまいりたいと思います。 ◆高山 委員 新空港線整備に向けた区長の熱い思いを再確認させていただきました。  ぜひとも、早期に合意していただき、来年度には整備主体が設立され、事業に着手していることを切に要望いたします。  続いて、新空港線に関連し、下丸子地区のまちづくりについて、お聞きいたします。  令和元年第3回定例会において、私は一般質問を行い、下丸子及び多摩川線沿線のまちづくりを今後どのように進めていくのか、質問をさせていただきました。その際、地域の皆様に分かりやすいまちづくり構想を本年度策定していく、この構想を基本にしたまちづくり計画を地域の皆様と一緒に策定していくと答弁をいただき、その後、駅前広場整備についての課題などが提示されたところであります。  先ほどの京浜東北線沿線の開発動向の中では、蒲田・大森が埋没してしまうのではないかと危機感を持っておりますが、現在、私の地元である下丸子地区においても、新空港線整備の動向を待ち、早期整備が待たれているところであります。  そこでお伺いいたします。下丸子地区のまちづくり構想について、現在どのような状況になっているのか、お聞かせください。 ◎齋藤 新空港線・まちづくり調整準備室長 下丸子地区のまちづくり構想(案)は、昨年度から学識経験者、国土交通省、東京都、鉄道事業者及び大田区によります研究会を開催しておりまして、法指定を受けた下丸子1号、2号踏切の対策と合わせたまちづくりの方向性について、検討を進めているところでございます。  昨年度は3回行いまして、今年度もウェブ会議も活用して3回行い、これまでに合計6回開催し、区の考えた素案を取りまとめているところでございます。  来年度以降は、この素案を基に地域の皆様と連携して、まちづくり構想を策定していく予定でございます。 ◆高山 委員 ぜひとも早期に下丸子のまちづくり構想(案)をお示しいただき、下丸子においても地域と一体となってすばらしいまちづくりを進めていただきたいと要望させていただきます。  ここまでの質疑で、ポストコロナのまちづくり、そして新空港線整備の重要性を確認させていただくことができました。ここで、コロナ禍を経験した社会における自治体経営とまちづくりの在り方について、お伺いしたいと思います。  タブレットに配信した資料の2枚目を、皆様、ご覧ください。  この資料は、昨年9月、まちづくり環境委員会に報告されたもので、我が会派の湯本良太郎委員長も決算特別委員会の総括質疑で取り上げた資料であります。  この資料の中で、新空港線を契機とした蒲田のまちづくり事業は第2段階で実施する国土強靱化への取り組みであることから、一部の意見として今取り組むべきではないとの発言もありましたが、国土強靱化の意義については、先ほどの質疑でも確認させていただいたところであります。  そこでお伺いいたします。コロナ禍の今だからこそ、将来展望を見据えた自治体経営の観点に基づくまちづくりを進める必要があると考えますが、区の見解をお聞かせください。
    ◎齋藤 まちづくり推進部長 区としては、コロナ禍を踏まえた経営方針の中で、新空港線を契機とした蒲田のまちづくり事業を第2段階の国土強靱化への取り組み強化として位置づけまして、区の財政状況やコロナの収束時期などを勘案しながら、他の段階と合わせた3本の柱を複合的に展開し、適切かつ効果的に実施するとしております。  そのため、令和3年度版新おおた重点プログラムでは、国土強靱化地域計画を内包して位置づけ、新空港線整備事業をはじめ、蒲田・大森駅周辺のまちづくりや身近な地域の魅力づくりなどのまちづくり事業を重点施策として鋭意取り組むこととしております。  委員のお話しの将来展望を見据えた自治体経営の観点に基づくまちづくりは、まさに今こそ必要な視点でございまして、大田区100年の計の礎を築くという大所高所に立った戦略が不可欠でございます。  コロナ禍においても、まちづくりは待ったなしの状況でありますので、これからも全身全霊をかけて推進してまいります。 ◆高山 委員 力強くご答弁をいただきました。ポストコロナを見据えて示されたまちづくりの経営方針を着実に進め、選ばれるまちを目指していただきたいと、期待いたします。  本日は、新型コロナウイルス感染症の危機から区民生活を守るとともに、ポストコロナを見据えた行財政運営について、いろいろとお伺いしてまいりました。10年先、20年先、今、この時期の変化が正しかったと振り返ることができるよう、議会と区は真に連携していくことを確認し、私の総括質疑を終了させていただきます。 ○湯本 委員長 次に、公明、質疑願います。 ◆岡元 委員 大田区議会公明党の岡元由美でございます。会派を代表して、令和3年度予算について、総括質疑させていただきます。早速、入ります。  はじめに、一般会計予算案の財政について伺います。  地方公共団体は、住民と密接に関わる行政サービスを、一定の水準で提供する責務があり、実施する多くの事務について、法令による基準や実施の義務づけがなされております。また、行政サービスを実施するための財源を保障するため、国は毎年度、地方公共団体の標準的な行政水準に関わる歳入歳出総額の見込額、いわゆる地方財政計画を策定し、公表しています。  本年1月に総務省が公表した令和3年度の地方財政計画のポイントを見ますと、歳入では感染症の影響により地方税が大幅な減収となり6.5%の減となる一方、歳出では、防災、減災、国土強靱化の推進などを増額するものの、投資的経費は6.5%の減、一般行政経費は地域社会のデジタル化を集中的に推進するための地域デジタル社会推進費を新たに計上し1.3%の増となっています。そして、歳入歳出総額は0.1%の減です。  23区でも減額予算の区が多くある中で、大田区は2,937億7,761万1,000円、前年度比2.2%の増で過去最大となっています。地方財政計画と比較して、どのように評価しているのか伺います。 ◎市野 企画経営部長 地方財政計画は、地方財政運営上の指針となるものであり、区財政と比較することは一定の意義があるものと考えてございます。  こうした観点から、令和3年度地方財政計画と区予算を比較いたしますと、地方財政計画の地方税は前年度比較6.5%の減となる一方で、区予算の特別区税は前年度比2.1%の減にとどまっており、現時点では影響は限定的な状況であると見込んでございます。  次に、歳出における投資的経費は、地方財政計画では防災、減災、国土強靱化の推進を拡充する一方、前年度比6.5%の減となってございますが、区予算では前年度と比較し、ほぼ同程度の水準を確保してございます。  地方財政計画が強化する防災、減災、国土強靱化の推進の観点では、区は新たに仲六郷及び田園調布地区への水防活動拠点の整備のほか、木造密集地域の防災性向上、公園など有効な空間の確保や整備など、必要な予算を盛り込んでございます。  次に、その他の経費につきましては、地方財政計画では地域デジタル社会推進費を計上するなど拡充してございますが、区予算では新型コロナウイルスワクチン接種事業や区民生活に寄り添う様々な施策に加え、キャッシュレス決済やウェブを活用した行政サービスの拡充など、地域社会のデジタル化を集中的に推進する施策も盛り込み、前年度比6.0%の増としてございます。  このように、地方財政計画と比較いたしましても、区は中長期的な見通しを踏まえながら、財政の対応力を発揮し、喫緊の課題への対応はもちろん、魅力ある都市づくりなど、区の発展の礎となる施策にも、的確かつ積極的に対応した予算と評価をしているところでございます。 ◆岡元 委員 コロナ禍で、困窮する方々に対しても安心や希望につながる予算の執行となるよう、創意工夫の事業推進をよろしくお願いいたします。  本区の特別区税は、前年度比2.1%減との見込みで、地方財政計画の6.5%と比較すれば、その影響は限定的との見解ですが、昨年までは預貯金や場合によっては貸付けを受けるなどして、何とかしのいでこられた方々の生活の相談が、今年に入って急増しています。感染症の長期化による影響は、今後、さらに顕著に表れてくると考えられ、保険料や保育料などの収入未済や不納欠損の増加も懸念されます。  その上で、区民福祉サービスの維持や向上といった行政需要に応えるためには、起債は避けられないものと考えます。来年度の起債限度額は70億円ですが、今後の特別区債の活用の考え方を伺います。 ◎市野 企画経営部長 新型コロナウイルス感染症による経済活動の停滞の影響を受け、特別区税や特別区交付金といった区の基幹財源の減収を見込んでおり、財源の確保は重要な課題でございます。  区は、計画的な償還による区債残高の着実な減少や、発行抑制により将来の財政需要に対応できる発行余力を蓄えるなど、堅実な財政運営に努めてまいりました。  特別区債の活用にあたりましては、年度間の財政負担の平準化や、将来に及ぶ便益の世代間負担の公平性を図ることなど、特別区債が有する機能を十分生かし、中長期的な視点の下、公債費負担比率にも留意しながら、強固で弾力的な財政基盤を堅持してまいります。 ◆岡元 委員 昨年、本区は、約1,500件の全事務事業について見直しを行いました。その際の見直しの視点は、1、事務の効率化、生産性の向上、2、公民連携と多様な指標の活用、3、ICTの導入推進の3点ですが、予算案の概要を見ますと、特にICTの予算が多く上げられています。  その中でも、対象者や目的が同じような事業が重複しているように感じます。例えば、地域力推進部のICTリテラシー向上のための地域支援事業と、福祉部の高齢者オンライン交流促進事業、また観光・国際都市部のおおたプライド事業「大田区学」と産業経済部の区内回遊型おおた商い観光展など、目的や連動する事業について、部局をまたがる事業をどのように調整されていくのかをお知らせください。 ◎市野 企画経営部長 デジタルを活用した区民ニーズに即した安全かつ利便性の高い行政サービスを提供することは、極めて重要と考えてございます。  昨年12月に国が策定いたしました自治体DX推進計画につきましては、行政手続のオンライン化や地域社会のデジタル化などを着実に実施するためには、全庁横断的な推進体制が不可欠であるとしてございます。  区におきましては、区長を本部長とする大田区ICT推進本部を設置し、情報化施策の総合的かつ計画的な推進や施策間の相互調整などを図ってございます。  現在、策定を進めております(仮称)大田区情報化推進計画では、情報化を通じたずっと住み続けたい大田区の実現に向けて、区が進める情報化施策として、区民サービスの利便性の向上に加え、デジタル技術を活用した地域課題の解決を目標に掲げてございます。  今後、社会状況の変化などにより、情報化を推進する必要性がさらに高まることが予測されており、デジタル施策におきましても、全庁的なマネジメント体制の強化が必須でございます。  区のデジタル化に向けた様々な取り組みの連携を強化し、相乗効果につなげていくためには、ICT推進本部が全庁をさらに牽引する組織となるよう、体制の強化を図る必要があるものと考えてございます。  区は、区民サービスのより一層の向上に資するデジタル化を、引き続き全庁一丸となって取り組んでまいります。 ◆岡元 委員 それぞれの事業が、より効果的となるよう、期待をいたします。  次に、防災、減災への取り組みについて伺います。  コロナ禍でも避難所に避難できるのか、備蓄品は十分かといった声が多く聞かれ、自宅での避難生活を想定されていないと感じることがあります。自助意識の普及啓発も行政の役割です。各避難所の地域の人口と収容人数などを明確に示し、広報していくこと、そして自分の命を守るための住まいの耐震化や備蓄品の確保など、できることから準備していただくことが重要です。  昨年は、要配慮者を対象としたマイ・タイムライン講習会が開催されました。障がい者については団体の代表の方69人が参加され、高齢者については参加者数37人で、高齢者自身ではなく支援者の参加でした。マイ・タイムラインが最も必要なのは高齢者ですが、なかなかご本人に参加していただくことができません。  特に、要配慮者には、避難のための個別支援計画、災害時ケアプランの作成が必要です。我が党の田村幹事長が代表質問で、兵庫県丹波篠山市の取り組みを紹介しましたが、公明党として在宅介護を担っていただいているケアマネジャーに、通常のケアプランに加えて、災害時のケアプランを作成していただくことを提案してまいりました。  本来は、国がケアプランの項目に加えるべきですので、国に対して要望を上げていただきたいと思います。とともに、小さなコミュニティで顔の見える関係の地方とは異なり、都市部では災害時ケアプランを実効性のあるものとするには、支援が得られない方々への支援者づくりが急務です。  昨年、水害リスクの高い地域において、避難行動要支援者の聞き取りが行われたとのことですが、その調査によって見えた課題と対応策についてお知らせください。 ◎今岡 福祉部長 近年、風水害が激甚化しており、避難の際に個別の支援が必要な高齢者に対し、公助の備えと自助、共助の備えの両面から対策を講じていくことが大切です。  今年度、多摩川の氾濫時に甚大な被害が想定される家屋倒壊等氾濫想定区域の低層階にお住まいの避難行動要支援者を対象に、区職員が1軒1軒、電話や訪問によりヒアリングを実施いたしました。  このヒアリングの結果、水害時緊急避難場所及び福祉避難所への避難に際して、一部の方は支援者が確保できていないことが分かりました。このような方に対しては、区による支援も視野に検討しております。  また、今年度初めて開催いたしました要配慮者のためのマイ・タイムライン講習会では、大田区シニアクラブ連合会の皆様や高齢者の相談支援を行う地域包括支援センターの職員にも参加いただきました。参加者からは、マイ・タイムライン作成による準備が安心感につながる、独り暮らしの方の避難支援が重要であるなどの意見があり、高齢者の避難を地域で支援する方を確保していくことが課題であると、改めて認識する契機となりました。  今後も、区の支援とともに、高齢者と日頃からつながりのある福祉専門職も含め、地域で高齢者の避難を支援する方との連携により、避難支援が必要な高齢者に支援が行き届くよう検討を進めてまいります。 ◆岡元 委員 職員の方が、直接約150人の聞き取りをされたことを高く評価します。しかし、認知症などで理解や判断が困難な高齢者を含む、区内の要配慮者全員を職員で賄うことはできません。ケアマネジャーに災害時ケアプランの作成を依頼するには、それなりのコストがかかるかもしれませんが、命を守る災害時の救援活動の負担軽減からも実施していくべきと考えます。まずは、風水害の被害が大きいと想定される地域を選定し、モデル事業として実施することを要望します。  来年度、マイ・タイムライン作成を支援する動画が予算化されています。多くの方にこの動画を見ていただき、ご自宅で、ご家族で話合いながら、それぞれのマイ・タイムラインの作成が推進されることを期待します。  また、防災教育の観点から、学校でマイ・タイムラインの必要性を学び、支給されているタブレットで動画を見ながら、保護者も一緒にハザードマップを確認して作成ができたらよいのではと考えます。マイ・タイムライン作成支援動画の活用について、教育委員会の見解を求めます。 ◎玉川 教育総務部長 学校では、風水害の発生時において、自分と家族の行動のサポートツールとして役立てるために、チェックリストを家族と話し合い、作成するよう子どもたちに指導しております。  家族が防災行動の共通認識を持つとともに、子どもも十分に理解することが重要です。  今後は、学校だよりなどで、家庭にもマイ・タイムライン作成支援動画を紹介し、この動画を活用しながら、家族でマイ・タイムラインを作成するよう、各校に周知してまいります。 ◆岡元 委員 よろしくお願いいたします。  次に、安心して産み育てられる環境づくりについて伺います。  東京都は、都議会公明党の強い要望を受け、来年度から2年間に誕生する新生児に育児用品や育児サービスを選べる1人10万円分の支給を決定しました。さらに、追加の要望に応じ、事業を前倒しして今年の1月から3月生まれの新生児も対象に加えました。コロナ禍で不安を抱えながら出産、子育てに奮闘される大田区のママたちに心からエールを送りたいと思います。  妊婦面接が24時間予約できるシステムの導入を評価します。大田区の妊婦面接は、平日の開庁時間と月2回の土曜日、うち1回は半日とのことですが、土曜日や日曜日に複数の会場で実施している区も少なくはありません。働く女性が増え、妊娠届を提出する段階では、育児休業もとっていない中、妊婦面接を受けるためにわざわざ仕事を休まなければなりません。両親学級の土曜開催も決して父親のためだけではなく、働く女性のためにも必要なことです。来年度から、カタログギフトがこども商品券に変更になる妊婦支援も、東京都は全妊婦面接を条件としています。  今後土日にも妊婦面接の機会を拡充すべきと考えますが、見解を伺います。 ◎伊津野 保健所長 妊婦面接は、妊娠から出産、子育て期まで切れ目のない支援の最初の接点であり、支援の必要な方へ早期につながる重要な機会と捉え、全数面接を目指しております。  現在、各地域健康課と健康づくり課で開庁時間に実施しているほか、土曜日につきましても健康づくり課において予約制で実施しております。土曜日につきましては、面接希望者もほぼ横ばいで、予約枠にも空きのある状況であります。  次年度からは、面接率のさらなる向上のため、予約システムの導入を予定しております。また、面接を受けていただいた方に郵送しているカタログギフトを、こども商品券に変更し、サービスを充実していく予定です。  全ての妊婦の方に面接を受けていただき、支援の必要な方と区がつながるよう、一層の体制強化を図ってまいります。 ◆岡元 委員 おおた健康プラン(第三次)が期間延長され、令和6年度までの目標がこの妊婦面接が90%となっています。妊婦面接は、妊娠届を出した方が対象ですので、本来100%できるはずなのです。それがいかないことについて、こう具体的に環境を整備してくださいというお願いをしていますので、100%にするための最大限の工夫をよろしくお願いいたします。90%ではなく、100%を目指していただきたいと思います。  先日、国連子どもの権利委員会の委員で、東京都こども未来会議委員の大谷美紀子さんと子どもの貧困や搾取問題に取り組むNPO法人フリー・ザ・チルドレン・ジャパンの代表の中島早苗さんの講演を伺う機会がありました。  子どもの権利条約には、生きる権利、育つ権利、守られる権利、参加する権利の四つの権利が示されています。世田谷区の12歳の少女が母子健康手帳を見て、全てのお母さんが持つ母子健康手帳に子どもの権利条約を載せてほしいと、保坂区長に直接要望し、2019年に実現しました。自ら考え、行動を起こした少女の行為こそが参加する権利の行使であり、それを受け入れたことは、子どもの権利を実現した好事例です。  本区の母子健康手帳には、昭和26年に作成された児童憲章が掲載されています。児童は人として尊ばれる、児童は社会の一員として重んぜられる、児童はよい環境の中で育てられるという児童憲章は、子どもは守られる受け身の存在とされています。しかし、児童憲章から38年後に国連で採択された子どもの権利条約では、子どもは権利を行使できる主体としています。  したがって、子どもが意見を表明する権利を保障するだけでなく、子どもの権利が、意見が、正当に重視されることを確保すべきと、全ての人が認識を改める必要があります。以前、北澤委員も要望されていますが、その後令和2年度から港区や練馬区でも子どもの権利条約を掲載しています。  本区においても、子どもの権利条約を母子健康手帳に掲載してはいかがでしょうか。また、母子健康手帳のアプリを導入する自治体が増えています。港区では、みなと母子手帳アプリを導入し、育児相談や健診、両親学級などの予約システムをはじめ、様々な情報が掲載されています。母子健康手帳への子どもの権利条約の掲載、並びにデジタル化についての見解を伺います。 ◎伊津野 保健所長 母子手帳は、子どもが健やかに成長するために必要な知識や情報をお伝えする貴重な媒体です。あらゆる分野でICT化が進む中、子育て情報の電子化は若い世代にとって日々の育児の利便性向上につながるものと考えます。  しかしながら、母子手帳のICT化につきましては、手軽に保護者が操作管理できる反面、医療機関や保健所で直接書き込めないため、紙の母子手帳も併用する状況となってしまいます。また、現在既に子育て関係の情報を配信している、きずなメールと内容が重複してしまう課題もあります。  子どもの権利条約の掲載やICT化につきましては、他自治体からの情報を収集し、母子手帳がさらに効果的な媒体となるよう、関係部局とも連携し、検討してまいります。 ◆岡元 委員 質問通告からわずか1週間でございますので、他区の状況確認や問合せをする時間はなかったと思います。改めて、何のための母子健康手帳なのか、またどうあるべきなのか、デジタル化を含め、しっかり検討していただくよう要望しておきます。  産後ケアが充実した予算となりました。かねてから要望してきた産後ケアの宿泊型が、出産後引き続いて都の条件つきですが、区内医療機関で実現できることになり、助産師による訪問型の対象は生後4か月から1歳未満までに、利用回数が1回から3回に拡充されたことも、本当によかったと思います。そして、産後家事・育児支援の専門家である産後ドゥーラの派遣が、ついに予算化されたことを高く評価いたします。出産後7か月未満を対象とした産後ドゥーラの派遣ですが、一日も早く開始できますよう準備するとともに、事業の周知をよろしくお願いいたします。  今年度700人の定員拡充がなされ、待機問題については一定の解決を見たと考えます。量の確保に続いて、質の担保が求められるところですが、認可保育園としての公平性からも区は各認可保育園の質についてどのように把握し、向上のためにどのような対応を目指しているのか、お知らせください。 ◎浜口 こども家庭部長 区のこれまでの待機児童解消の取り組みにより、待機児童数が着実に減少する中、より一層の保育の質の向上を図ることは大変重要です。  現在、区内の保育所は、認可保育所をはじめ、336施設が存在しております。これらの保育施設が、一つ一つがそれぞれの利点を生かしながら、質の高い保育サービスを提供していくために、区立保育園のノウハウに基づく支援や地域の保育施設間の連携を推進するなどの取り組みがますます重要となっています。  このため、区立保育園がこれまで蓄積してきた保育に関する知識、技術、経験などをまとめた保育の手引書、「こころを育てる大田の保育」を区内保育施設向けに再編成し、各施設への巡回訪問の際に活用することで、保育の実践力の向上に役立てています。  あわせて、各区立拠点園で行う公開保育では、地域の保育施設から多くの保育士が参加しており、外部講師の助言を含め、学びや気づきを自園に持ち帰り、保育の質の向上につなげているところです。また、指導検査における認可外保育施設への対象拡大や医療的ケアを必要とする乳幼児の受入れ環境の整備など、保育の質の向上に取り組んでいます。  今後も、地域の保育施設への支援や相互の連携をより進めていくことで、区全体の保育の質の向上を図ってまいります。 ◆岡元 委員 よろしくお願いいたします。  続いて、在宅での子育て家庭の子どもの預かり支援について伺います。  一時預かり事業は、通院やPTAの会合、リフレッシュ等理由を問わず、時間単位でご利用いただけるものです。利用料金が下がったものの、実施している施設が遠く、子どもを連れて預けに行くのは難しいとの声があります。認可保育園で0歳児に月額60万円以上の公費が投入されていることを鑑みれば、在宅で子育てされているご家庭に対し、保護者のためのレスパイト利用を拡充していくことが望まれます。  また、現在の一時預かり事業についても、ホームページ上では検索しにくく、利用を促す形にはなっていません。どうしても必要に迫られた場合に限って利用するのではなく、利用目的のとおり、リフレッシュするために積極的に利用して、ママが元気になって子どもと接してくださいといったメッセージが伝わるような工夫をお願いします。  身近な保育園や小規模保育所の欠員枠での一時預かりの実施と周知について、区の見解を伺います。 ◎浜口 こども家庭部長 委員お話しのとおり、在宅で子育てをしている家庭が一息ついたり、加えて子育てに関する様々な支援を利用していただくことが重要と考えております。  現在、区では、キッズな大森をはじめとした13か所で、保護者の用事やリフレッシュなど理由を問わずに時間単位で利用できる一時預かり事業を実施しております。このうち、私立認可保育園では欠員を利用した預かり事業を、4施設が余裕活用型一時預かり保育として実施しております。また、保護者の出産や疾病などの理由により、緊急に保育が必要なときに、各区立保育園や区が契約する緊急保育室で緊急一時保育を実施しております。  在宅子育て世帯に対する理由を問わない預かり保育の拡充については、引き続き私立認可保育園へ、余裕活用型一時預かり保育の実施を働きかけてまいります。  また、子育てに不安を感じているご家庭が緊急一時保育の利用を希望する際には、きめ細やかな相談と併せて、柔軟に対応してまいります。  一時預かり利用や緊急一時保育利用のご案内については、区のホームページや区報、子育て施設でのチラシ配布などで行っておりますが、ホームページをより分かりやすくするなど、広く利用されるよう周知を図ってまいります。 ◆岡元 委員 次に、学びの保障について伺います。  公明党が長い間取り組んできた私立高校授業料の実質的無償化と大学や専門学校など高等教育の無償化が今年度から全国的に始まり、東京都においては所得制限が大きく緩和されました。さらに、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、経済的に困窮する学生を支援するため、1人当たり10万円または20万円を支給する学生支援緊急給付金も昨年5月に公明党が文部科学大臣宛てに行った緊急提言に沿った形で実施されました。  大田区でも、こうした国や都の対応に合わせる形で、ここ数年区の奨学金制度を充実してこられ、特に今年度はコロナ禍対策として臨時的な対応を様々してこられたことを高く評価しております。しかし、経済的に苦しいご家庭の学生・生徒を支援する第6次補正予算が今回減額補正となったことは残念でした。  減額の理由の一つが、申請の要件である成績を満たさなかったために申込みに至らなかったとのことです。この成績要件ですが、中学3年生の1学期までの全科目平均3.0以上という基準は、十分な学習環境が得られにくい生活困窮世帯の生徒にとっては、なかなかハードルが高いのではと思います。  一般質問で、我が会派の大橋議員も述べていますが、中学2年生の後半から、あるいは3年生になってから本格的に勉強に取り組む生徒も多いと思われます。そうであれば、全学年の平均ではなく、努力して成績が上がった申込み時点での成績で判断することで、本人の学習意欲のさらなる奮起にもつながるものと考えます。  給付型奨学金ですから、一定の成績要件が必要なことは理解できますが、判断基準となる期間については、来年度以降、改善するよう検討をお願いしたいと思いますが、区のお考えを伺います。 ◎張間 福祉支援担当部長 今年度新たに創設しました高校等給付型奨学金の募集につきましては、申込者数が想定を下回り、その大きな要因の一つに成績要件があったものと考えております。  来年度につきましては、1人8万円、125人分を計上し、予算案の審議をお願いしております。  本事業は、生徒の皆さんの経済的支援とともに、学習意欲の向上につなげることも目的としております。その目的を達するための効果的な成績要件の対象期間について、検討してまいります。 ◆岡元 委員 続いて、児童館などへの入退館システムの導入について伺います。  事業の目的と内容について、お知らせください。 ◎浜口 こども家庭部長 児童館の学童保育を利用する児童の入退室時刻を保護者と共有することにより、安全・安心な受入れを行うため、入退館システムを導入することといたしました。  入退館システム機能としては、アプリを通じて保護者への連絡を一斉に行うことや、児童の利用実績を一元管理することが可能となるため、業務の効率化につながることができます。
     特に、新型コロナウイルス感染症などに関連する緊急連絡の際には、電話で連絡のつかない保護者への連絡手段として有効な機能になると考えております。  なお、入退館システムに係る来年度予算約750万円の内訳ですが、ICカードリーダーなどに係る導入経費として約140万円、サーバー利用等維持費として約610万円を見込んでいるところでございます。 ◆岡元 委員 私は、かねてより子どもの安全・安心のための見守りの必要性から、防犯ブザーではなく、品川区のまもるっちのような見守りシステムの導入を求めてきましたが、このたびの児童館などの入退館システムを区立小学校に導入することでその目的の一部が達成できることになります。25施設で751万6,000円、1施設当たり約30万円ですから、全小学校に導入すると約1,770万円となります。導入するのが児童館なので、所管がこども家庭部になっていますが、対象者は全て小学校の児童になりますので、教育委員会に見解を求めます。 ◎玉川 教育総務部長 児童の登下校時の安全・安心を確保することは、大変重要であり、委員お話しの入退館システムは有効な手段の一つであると考えております。  現在、区におきましては、小学新1年生に防犯ブザーを配付するとともに、全区立小学校の通学路に防犯カメラを設置するなどして、登下校時の防犯体制を強化しております。  入退館システムを学校に導入する場合、カードリーダーの設置数や設置場所の検討、また児童一人ひとりへのカード配付が必要となり、初期費用及びランニングコストなど、運用面に課題がございます。  教育委員会といたしましては、今後、児童のさらなる安全・安心の確保に向けまして、その手段について研究してまいります。 ◆岡元 委員 子どもの命に関わることですので、ぜひ前向きに検討をよろしくお願いいたします。  続きまして、思い出づくりプロジェクトについて伺います。  昨年、会派として松原区長に、コロナの感染拡大によって中止となった修学旅行に代わる思い出づくりに財政支援をと要望いたしました。既に実施している中学校もあるとのことですが、状況をお知らせください。  あわせて、行き先や内容によって費用も大きく違うようですが、例えばレジャー施設に行った場合は、その入場料が自己負担となりますが、移動手段として借上げバス代については、ぜひ大田区として応援していただきたいと思います。いかがでしょうか。 ◎玉川 教育総務部長 コロナ禍で修学旅行が中止となった中学3年生が、大田区の学校で学んだ思い出を胸に卒業できるよう、国土交通省、航空会社、羽田イノベーションシティの関連会社の協力を得るとともに、区の危機管理室のほか、地域力推進部、産業経済部、空港まちづくり本部、そして都市基盤整備部などと連携し、全庁挙げた公民連携事業として、卒業の思い出づくりを企画いたしました。  具体的には、五つの学校約700名の生徒が参加し、昨日から12日まで羽田空港での航空機への搭乗体験のほか、羽田イノベーションシティの見学、アンダージェットクルーズなどを行います。また、ほかの学校独自で日帰りによる思い出づくりを企画している23校につきましても、借上げバス代について区が支援いたします。 ◆岡元 委員 次に、東京2020大会に向けた取り組み、約1億4,200万円の予算について伺います。  新型コロナウイルスの感染拡大によって、1年間延期された東京2020大会ですが、海外からの観客を受入れない方向で検討されています。予算書では、1、おおたウエルカムボランティア事業、2、ブラジル選手団の事前キャンプ受入れ、3、大会気運醸成事業、4、大会関連事業が上げられています。大会が縮小されて、海外からの選手だけの来日になりますと、主要駅などの観光案内を行っていただくおおたウエルカムボランティア事業そのものが実施できなくなってしまいます。  また、ブラジル選手団の事前キャンプ受入れに合わせた区民との交流や総合体育館を会場としたコミュニティライブサイトなど、縮小や代替案などの具体的な検討はどのようにされているのか伺います。 ◎町田 スポーツ・文化担当部長 東京2020大会につきましては、国や東京都、大会組織委員会等は、安全に大会を開催するために、聖火リレーの実施方法や海外からの観客の受入れなどについて、様々な選択肢の中で検討を進めているところです。  その結果によっては、区が予定している事業につきましても見直しを想定しております。例えば、海外からの観客の受入れが困難となった場合に、おおたウエルカムボランティアの活動に影響が生じてまいります。ボランティアは既に研修を受講し、一部の方には事前に実施したイベントに協力していただくなど、ボランティア活動への意欲が高まっておりますので、個々の希望に応えられるよう、ボランティア活動の範囲を広げるなど、配慮をしてまいります。  また、ブラジル選手の事前キャンプでは、感染防止対策として、キャンプ中、選手と接触するような交流は控えるよう求められており、観客席からの公開練習の見学やオンラインでの交流を検討しております。あわせて、試合後にも選手との交流が可能となるよう、ブラジルオリンピック委員会と調整をしております。  さらに、コミュニティライブサイトや聖火リレーのセレモニー会場では、事前申込制とし、入場者を制限するなどの対応を検討しております。  このように、実施方法が変更されたとしても、東京での大会開催が多くの区民にとって最高の体験となるよう、弾力的な対応を行い、区の目指すレガシーを残せるよう取り組んでまいります。 ◆岡元 委員 著名人の聖火ランナーが辞退する報道が続いていますが、長期にわたる自粛や制限を受入れ、一日も早いコロナの収束を待つ区民の希望となる東京2020大会の開催、そして大田区の取り組みとなることを要望いたします。  次に、プレミアム付商品券について伺います。  東京都は、令和3年度補正予算で、デジタルの力を活用した地域経済の活性化に向け、キャッシュレスによるポイント還元などに取り組む市区町村に4分の3を補助する予算125億円を計上しています。プレミアム付商品券の発行については、本区はこれまで様々な方法を模索しながら実施してきました。  昨年は、緊急経済対策として1億5,000万円を補正予算に計上し、商店会単位、あるいは複数の商店会合同という利用範囲を限定した商品券を発行しました。一昨年は、国が消費税引き上げに伴う低所得者や0歳児から2歳児までの子どものいる世帯に限定した商品券の発行を行っています。  今回の東京都予算は、当初デジタルに限ったものでしたが、都議会第1回定例会における公明党の東村幹事長の代表質問で、紙製の商品券を発行する際にも支援するようにとの要望に対し、都知事から紙の商品券を認めるとの答弁があり、紙とデジタル併用で実施できることになりました。  三鷹市では、既に昨年、デジタル商品券を10億5,000万円、紙商品券を4億5,000万円で実施しています。キャッシュレス化の推進につきましては、我が党として何度も提案、要望してまいりましたが、導入してくださった商店会における機器活用の意味でも、デジタル商品券は非常に有効と考えます。  大田区にとっては、初めての取り組みとなりますが、ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。見解を伺います。 ◎山田 産業経済部長 東京都の令和3年度補正予算、「生活応援事業コロナに負けない」につきましては、詳細については調整中とのことでございますが、当初キャッシュレス決済によるポイント還元、またはデジタル商品券を原則デジタルのみで実施する事業に対して4分の3を補助すると示されてございましたが、ただいま委員のお話しにもあったように、知事から紙と併用できるという話も今聞いたところでございます。  キャッシュレス決済やデジタル化につきましては、消費者と事業者の双方に心理的、物理的なハードルがあると言われておりましたが、コロナ禍における新しい日常において、非接触が感染拡大防止につながることなどから、その必要性が一気に高まったと考えてございます。  デジタル商品券への取り組みにつきましては、区政全体のデジタル化への潮流にも合致をすると考えてございます。  関係部局と連携を図るとともに、都が検討している事業の詳細を今後しっかりと把握、認識をすることで、参加に向けて積極的に取り組んでまいりたいと考えます。  一方、今年度新たな手法で実施したプレミアム付地域商品券事業につきましては、地域における経済循環の創出に一定の効果があったものと考えてございます。  引き続き、デジタル化への対応を前提に、より効果的、効率的な制度設計に向けて検討を進めてまいります。 ◆岡元 委員 デジタル商品券は、これまで区が発行してきた紙製の商品券を利用できなかった世代の方々にも利用していただけるかと思いますので、ぜひ前向きに検討を進めてください。  最後に、新型コロナウイルスのワクチン接種について伺ってまいります。  コロナの脅威は世界共通であり、全世界で危機を回復できなければ安心はできません、2010年新型インフルエンザが流行したとき、先進国がワクチンを買い占め、途上国が置き去りにされる事態となりました。そこで、途上国でのワクチン接種を支援する国際機関ガビやWHOが中心となりワクチン確保のためにつくったのが国際的な枠組みCOVAXファシリティです。先進国や団体が拠出金を出すことによって、途上国にもワクチンを届けることができる枠組みです。  公明党は、日本がいち早くCOVAXファシリティに参加すべきと財務省、厚労省への要請活動を行い、締切りより早く9月15日、日本政府として正式に参加することが決まりました。  日本が参加表明したことで、最初は入らないと言っていたEU27か国、そしてアメリカの参加表明によって、2021年1月22日時点で190か国が参加、その中には低中所得国の92か国も含まれ、世界の人口の8割以上をカバーすることができることになりました。  日本政府の参加を後押しした公明党に対し、ワクチンの開発支援をしているビル&メリンダ・ゲイツ財団から謝辞が、そしてGaviのセス・バークレー最高責任者からは、ワクチン調達に関する提言書を党として厚生労働省に提出するなどの働きかけをしてくれたことがCOVAXへの正式参加と資金拠出につながった、日本が最初に署名し、他の国も参加を促してくれた公明党の支援に心から感謝したいと公明新聞にも寄稿されました。  このように、ワクチン接種を推進してきた公明党としては、全世界的な事業であり、国として接種費用を全額負担して実施する一大プロジェクトを何としても成功させていきたいと決意しております。我が大田区においても、全力を挙げて速やかに、そして安心して接種できる体制の整備を期待して質問させていただきます。  大田区では、既にコールセンターの受け付けが3月1日から開始されていますが、平日17時15分以降、また土曜正午以降や日曜日の相談、予約についてはどのように対応されるのかお知らせください。 ◎木田 健康政策部長 区は、独自の予約システムを開発し、インターネットで24時間いつでも簡単に予約できるように整備をしております。また、簡単な相談にはAIチャットボットを用意しております。  予約と相談を電話で受けるコールセンターについては、4月からは土曜日の受付時間を拡大しまして、月曜日から土曜日まで8時30分から17時15分の開設とするほか、回線数を3月中の24回線から124回線に増設し、対応いたします。  なお、開設時間につきましては、状況を見ながら拡大を検討してまいります。 ◆岡元 委員 次、質問の予定だったものを今お答えいただきましたので、結構でございます。  次に、接種体制について伺います。  上限額が上積みされた令和2年度のワクチン接種体制確保事業費国庫補助金が3月3日に示されました。一覧を見ますと、本区のワクチン接種体制確保事業費は18億5,799万3,000円でした。本区は、医療機関以外の集団接種を業者委託の予定ですが、集団接種か個別接種かで1人当たりの接種費用がかなり異なります。  集団接種と個別接種の割合をどのように計画されているのか、また接種券の発送時には集団接種、また個別接種の日程も同封しなければいけませんが、その日程はいつ頃決められるのかお伺いします。 ◎木田 健康政策部長 集団接種と個別接種の割合をどのように考えていたのかということでございますが、ファイザー社製のワクチンを想定するとする区の現在の接種体制は、区施設に開設する集団会場での接種と、病院での接種を主軸としております。  元来、ファイザー社のワクチンは厳格な温度管理の下、接種する必要があり、取扱いが難しいとされております。しかし、海外での接種が進む中、ファイザー社製のワクチンの温度管理については、マイナス20度で2週間の保管が可能な温度管理の緩和が行われました。また、ワクチンの小分け配送につきましても、自治体の責任の下、実施することが可能になりまして、このような取扱いが、ワクチンの取扱いが緩和されたことを受けまして、診療所の接種も可能となったことを受けまして、ワクチンの安全な配送が確保される条件の下、65歳以上の高齢者がかかりつけ医である診療所で接種できる体制について調整をしております。  正直を申し上げまして、予算編成の際には、接種の考え方としまして、区民にとって身近なかかりつけ医の接種が望ましいと考えておりまして、高齢者でいえば9割の方がかかりつけ医で接種を想定しておりました。ただ、ファイザー社のワクチンでの接種となりまして、その方向転換を図らせていただいたところでございます。  接種券の発送時期につきましては、3月30日とさせていただいておりましたけれども、一般の高齢者のワクチンが5月末ぐらいにずれ込むことを予想しまして、接種券は5月に発送することを決めております。 ◆岡元 委員 5月に発送される段階では集団接種、個別接種の接種日程、いつからどの集団接種会場で接種が開始する、また個別接種である各クリニック、診療所でいつからできるということを、日程を入れなければ接種券を発送できないのですけれども、そうしますと、5月の接種券の発送の段階では、計画が集団及び個別接種の細かな計画が固まると判断してよろしいでしょうか。 ◎木田 健康政策部長 委員おっしゃるように、5月の接種券を発送する際には、個別接種できる診療所も含めて、お知らせをしてまいりたいと思います。 ◆岡元 委員 4月から開始される高齢者の優先接種、基礎疾患のある方の優先接種、その他の接種についての計画の提出は3月中旬となっています。今お話を伺っているとおり、ワクチンの供給そのものが遅れておりますので、この辺の今の計画がずれ込むのかとは思いますが、この計画の提出は変わらないのでしょうか、3月中旬というのは。 ◎木田 健康政策部長 はい、3月中旬に提出をしております。 ◆岡元 委員 すみません、重ねて、5月に分かる接種計画、今のお話しですと、個別が9割というお話しで、残り1割の集団ということですけれども、その計画をもう3月中旬に出してしまうということですか。 ◎木田 健康政策部長 今申し上げたのは、予算編成時にそのような予想をしておりましたけれども、ワクチンの種類ですとか、それからワクチンの供給量がどんどんずれ込んでまいりましたので、そのあたりも含めた接種計画になっております。 ◆岡元 委員 それが3月で答えられるのかなと思いました。  今の、もともとのベースとなる割合が変わってしまうということですので、この予算自体も流動的になってしまったのかなと、今の答弁で伺いました。  これまで、複数の特別養護老人ホームでクラスターが発生しています。本区の接種開始が4月12日からの週に到着するファイザー社のワクチン2,000人分ですが、供給量が非常に限られること、またクラスターのリスク回避のためには、高齢者の中でも特別養護老人ホームや介護老人保健施設等において、最優先で接種すべきではないでしょうか。特別養護老人ホームや介護老人健康施設等は、当該施設の嘱託医や施設医等に、また医師の関与がない施設等には、医師会に委託して施設を巡回していただく、そして訪問診療の方には、主治医に接種していただくというように、高齢者が移動するのではなく、医師の方に出向いてもらう体制の整備が必要だと考えます。  そのためには、ワクチンが無駄にならないような調整や分配、配送体制を整える必要があります。介護施設入所者やデイサービス等の利用者に対する最優先の接種について、区の見解を伺います。 ◎木田 健康政策部長 委員お話しの介護施設等の入所者につきましては、高齢でかつ基礎疾患のある方が多いとされ、重症化もしやすいため、区は最優先すべきとされ、福祉部と連携し接種体制を急ぎ検討しているところでございます。  施設の嘱託医が可能であれば嘱託医が、また嘱託医がいない施設については区が医師を派遣して接種をすることを検討しております。また、例えばデイサービスの利用者などにつきましては、国からは優先接種対象とはされておりませんけれども、なかなか集団会場ですとか、病院に行かれることが困難な方がいらっしゃると考えております。  接種方法としては、例えばファイザー社のワクチン接種を実施するかかりつけ医での接種が想定されておりますが、そのあたりは医師会ときちんと調整をしてまいりたいと思います。  また、他社のワクチンが国内にて承認申請をしておりますので、区はそのワクチンの供給も見据えまして、高齢者の方が本当に接種しやすいように、なるべく多くの診療所で接種できるよう、引き続き医師会等と連携を深めてまいりたいと思います。 ◆岡元 委員 まずは、特別養護老人ホームや介護老人健康施設等で速やかに実施できるように要望します。  区が公表している集団接種会場を出張所単位で確認しますと、蒲田東地区が4か所、池上が3か所、田園調布、大森西、新井宿、蒲田西、矢口が2か所ですが、一方、馬込、入新井、鵜の木、久が原、羽田地区はゼロです。馬込と入新井、そして鵜の木と久が原も隣接しています。これらの地域では、広範に接種会場がありません。また、高齢者人口で比較すると、令和3年1月現在で馬込の65歳以上人口は約1万1,000人、入新井は約8,700人、合わせて約2万人になります。それに対し、蒲田東は約1万人です。約1万人に蒲田東に4か所の集団接種会場があるのに、馬込と入新井で約2万人の高齢者がいる地域で集団接種会場が全くないことは問題だと思います。  ご存じのとおり、馬込は坂道が多く、路線バスの通らない地域もあり、コミュニティバス等の公共交通手段の要望も高い地域です。国は、ワクチン接種にあたって、交通不便地域や移動困難者へのバスの借上げ等を計画する場合、補助対象とする。また、タクシーについても自治体が委託する場合は対象とする方向で検討しているとも聞いています。  集団接種会場がない地域の高齢者に対し、バスの借上げ等移動手段の確保を行うのか、またあるいは学校体育館等を会場とする巡回型の集団接種を行うのか、どのように対応されるのか伺います。 ◎木田 健康政策部長 ファイザー社のワクチン接種は、集団接種会場と病院での接種を基本として計画いたしましたが、地域によっては、委員お話しのとおり、接種会場への交通アクセスがよくない地域が幾つかあるということは認識をしてございます。  そのため、ワクチンの取扱いが緩和されたことや、多くの高齢者がかかりつけ医での接種を希望している声もあることから、診療所での接種に向け調整をしております。  委員お話しの65歳以上の高齢者の巡回型の臨時接種会場をワクチンの供給量や接種体制を踏まえまして、地域も含めて善処をしてまいりたいと考えております。 ◆岡元 委員 巡回型とかではなくて、個別接種で行うということでよろしいのですか。 ◎木田 健康政策部長 今申し上げましたが、個別接種、それから巡回型の接種、臨時会場を設置いたしまして、巡回型の接種も検討してまいりたいと思います。 ◆岡元 委員 以前、品川区や目黒区、世田谷区などに隣接する地域では、かかりつけ医が他区であるケースが多いことから、健診等の相乗りについて提案、要望いたしました。特定健診は、健診項目や単価の違いがハードルとなっていると聞いていますが、今回のワクチン接種ではその心配はありません。また接種者の持病や服薬等、接種者の状況に詳しいかかりつけ医による接種が望ましいとされています。今後は、国の動向を注視して、かかりつけ医が他区である場合の個別接種が可能となる場合を想定した医師会や隣接区との連携を速やかに行われるように準備をお願いいたします。  今、部長がご答弁されましたけれども、例えば北馬込には、個別接種できるクリニックがないのです。だから、皆さん、旗の台とか、荏原とかというところにかかりつけ医がいるのです。だから、個別になっても、今の問題は解決しないということですので、ぜひ巡回型を推進してください。お願いいたします。  集団接種会場として荏原病院や東邦大学医療センター大森病院をはじめとする医療機関15か所に設置予定となっていますが、先月も大森赤十字病院でクラスターが発生し、外来が止まりました。外来診療が停止をしました。予定している医療機関では、これまでに外来診療が停止してきたところも複数あります。区民が接種を予約した、特に1回目ではなく2回目の接種のタイミングでいきなり休診となれば、3週間の間隔で接種ができない事態が起こります。区はどのような代替手段を検討されているのか伺います。 ◎木田 健康政策部長 今後も、病院内でクラスターが発生することは想定され、そのため区民のワクチン接種が停止される可能性はあるかと考えております。これまで、病院内でクラスターが発生した場合でも、予約のある患者につきましては対応していたこともあり、病院により、また状況により、接種への対応はそれぞれであることが予測されております。  万が一、急に病院での接種ができなくなった場合は、急な代替手段は難しく、改めて予約を取っていただくことになるかと思いますが、様々な状況が想定される中で、区は区民が円滑に接種できるよう、ワクチンを接種する病院の体制を確認いたしまして、様々な調整の対応をしてまいります。 ◆岡元 委員 緊急で急に休診になった場合、接種者は予定どおりバスに乗って行ったりするわけですけれども、その方に今日はできませんよといった連絡も必要になります。また、そこが難しいので別の会場でと、こうなると、そこが近いから、またはアクセスが便利だからそこを選んでいるわけで、別の会場に安易に移ることは容易なことではないのです。そういうことも考えますと、接種が滞りなく進んでいくような体制をしっかりと検討してください。  河野大臣は、高齢者の優先接種はファイザー社のワクチンで実施すると会見しています。取扱いが難しいファイザー社は高齢者接種には向かないということも事実ですが、全国がこのファイザーワクチンで接種する以上、大田区だけは特別とはいきません。本区は個別接種について、ファイザー社以外のワクチンを使用して、区内200か所の診療所で接種予定とのことですが、アストラゼネカやモデルナ社のワクチンの供給時期についても、まだ明言されていないことから、個別接種でもファイザーのワクチンを使用しなければいけません。  本区が見込む週に4万2,620回、5.06週で高齢者の接種が完了するという予定ですけれども、こうなりますと、ここの対象となる全ての高齢者が電車やバスを使って集団接種会場に運ぶ前提があることから、今、お話がありましたけれども、個別接種をしっかり進めていただきたいと思います。  個別接種の場合、ディープフリーザーの設置される基本型の会場から各診療所への分配と配送が必要になります。  テレワークや在宅で過ごす時間が増え、宅配業の仕事量が増えていることから、配送計画は非常に難しいと思います。例えば、小回りの利く軽トラックなどを多数所有するトラック協会への協力依頼など、個別接種の分配や配送はどのような計画かお知らせください。 ◎木田 健康政策部長 ファイザー社製のワクチンは、厳格な温度管理が必要です。特に、一度に多くの小分け作業には細心の注意が必要と考えております。  また、個別集団会場となる診療所などへワクチンを配送する際には、振動をさせないなど安全にワクチンを輸送できる業者を選定する必要がございます。  現在、これらの条件をクリアできる複数の企業に対してヒアリングを実施しております。適正な輸送体制がとれる企業へ委託する方向で調整を進めております。 ◆岡元 委員 特別定額給付金の支給で、委託事業者との契約の問題で、大田区の支給が遅かったという批判がありました。この契約から、委託契約の難しさも実感したところでございます。  提供される供給量の日程も変化し、臨機応変な対応が求められるワクチン接種においては、変化に柔軟に対応できる体制をよろしくお願いします。  ワクチン接種成功の鍵は、首長のリーダーシップと言われています。国が推奨するモデルとする他区の計画もありますが、危機管理のための想像力と解決のためのあらゆる知恵を発揮させ、全庁を挙げた取り組みで、さすが大田区、大田区を見よと全国に誇れる接種となることを心から期待し、全質問を終わります。ありがとうございました。 ○湯本 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後 0時01分休憩                午後 1時00分再開 ○湯本 委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、総括質疑を行います。  それでは、共産、質疑願います。 ◆荒尾 委員 日本共産党大田区議団の荒尾大介です。会派を代表して、総括質疑を行います。  大田区の新年度予算一般会計2,937億7,761万1,000円、前年度比2.2%の増となっております。区は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて、今後の収支見通しで2020年度から3年間、約580億円の財源不足が生じるとし、2020年度全事務事業1,478件の見直しを行い、事業廃止、縮小を実施しました。廃止した事業は39件、50%以上縮小した事業は76件になります。
     廃止、縮小した事務事業の中には、リフト付き福祉タクシー運行委託、応急小口資金貸付金、家具転倒防止器具の支給、感震ブレーカーの支給などは、区民生活に欠かせない大切な事業であります。  一つ一つについて伺います。  まず、リフト付き福祉タクシー事業についてですが、身体障害者手帳か愛の手帳を持っている方で車椅子を常用しているか、寝たきりの方を対象にしており、負担額は運賃のみで、ようやく迎車料は無料となっております。  移送サービス利用券を使うこともでき、羽田交通という事業者に委託をして実施をされてきました。  そこで伺います。リフト付き福祉タクシー運行事業を廃止した理由をお答えください。 ◎今岡 福祉部長 区では、車椅子やストレッチャーを使用する方が利用できる車両のタクシーが一般的でなかった平成2年度から、車椅子等を使用する方の日常生活の利便と生活圏の拡大が図られるよう、リフト付き福祉タクシーの運行委託を実施してまいりました。  この間、平成18年には、高齢者、障害者等の移動等円滑化の促進に関する法律が施行され、近年では車椅子のまま乗降できるユニバーサルデザインタクシーやストレッチャーでも乗車可能なタクシーが増加しております。  車椅子等を使用している方が、必要とされるタクシーを利用しやすい環境が整ってきたことから、本事業を廃止することといたしました。 ◆荒尾 委員 環境が整ったというご答弁だったのですけれども、実際には本当にそうした環境が整っているのかどうかというのは、私は疑問に思います。  都内では、ユニバーサルデザインタクシー、UDタクシーという言い方をしますけれども増えています。車椅子を利用している方から伺った声ですが、乗車をさせてもらえない、手を上げても止まらない、利用するとしたら事前予約でないと使えないなど、不便だという意見をいただいています。区はこうした実態があるというのは、把握しているのでしょうか。 ◎今岡 福祉部長 障がい者団体の方々とのお話の中では、そういった事例があるということは聞いているところはございます。  そういったことも含めまして、福祉有償運送の会議等を通じてタクシー事業者等に乗車拒否等が行われないような働きかけ、あるいは話合いを続けてまいりたいと思っております。 ◆荒尾 委員 乗車拒否というのは、旅客自動車運送事業輸送規則、道路運送法で原則禁止となっています。とはいえ、乗車拒否をされているという実態はある程度、区としてつかむ必要があるのではないかと思います。  その理由として、車椅子の乗車には時間がかかるということです。とあるメーカーのサイトでは、3、4分あれば車椅子の乗車は可能だという動画つきで、紹介をしていますけれども、実際にはその何倍もかかるというのが現場の声なのです。  それが運転手の皆さんの負担になっているので、その部分はしっかり、やはり公助で支える必要があるのではないかと思います。  廃止の理由は、民間業者も増えたからということも挙げられていますけれども、しかしここは区としてしっかりと公助を充実させて、利用率アップのため努力を引き続きやるべきではないかと思います。  この事業があることで助かっている方もいると思うので、ばっさり切ってしまうというのはやはり問題だと思います。なので、ぜひ、引き続きこの事業復活の検討をして、より障がい者の方が移動を円滑にできるような事業を進めていただきたいと要望いたします。  次に、応急小口資金貸付金について伺います。応急小口資金貸付金も50%以上の減額となっています。55.5%予算規模を縮小しています。その理由をお答えください。 ◎張間 福祉支援担当部長 来年度の応急小口資金貸付金の予算につきましては、この数年間、貸付の実績が減少していることを踏まえ、ご利用に支障のない範囲で見込み件数を推計して計上させていただきました。  今後も一時的な資金が必要な方に対しましては、応急小口資金貸付制度や他の制度活用など、ご事情に応じて丁寧な案内をしてまいります。 ◆荒尾 委員 実績に基づいて減額をしたということですけれども、実際に今、コロナ感染症拡大で生活に困っている方もいる、一時的にお金が欲しいという方もいらっしゃると思うのです。そういうときに、やはり使いやすい制度であるべきだと私は思っています。  応急小口資金は、生活資金という目的では使われませんけれども、一時的にお金が必要だという場合に活用する資金ですけれども、そうだとしても、やはり充実する必要はあると思います。  応急小口が利用率がなかなか低いと私どもいつも思っているのですけれども、貸付資格と理由、用意する書類、これが非常に多いのです。今、私、しおりを持っているのですけれども、貸付理由は六つありまして、火災などの災害や避難等により自己所有の住宅または家財に被害を受けた場合、本人または同居の家族が病気やけがの治療費など費用にお困りの場合、療養期間が3か月を超えないもの、本人または同居の親族、結婚、出産、区内の転居、進学、入学金または同居の家族の葬祭などの費用にお困りの場合、本人または同居の親族が交通事故により被害を受け、医療費などにお困りの場合、本人または同居の親族が三親等内の親族の冠婚葬祭等に関する国内旅行費用にお困りの場合、その他補装具等日用生活必需品の購入または保守費用などお困りの理由が貸付けに該当すると認められた場合と、これが理由として挙げられています。  貸付額は1世帯18万円以内、区長が特に認めた場合は45万円以内となっています。  連帯保証人も必要となります。10万円を超える貸付けに対しては、連帯保証人が1人必要だとあります。  必要書類も本人が用意するものが10種類あるのです。貸付申込書、借用証書、本籍地、続柄の記載のある世帯全員の住民票、実印、印鑑登録証明書、家族全員の健康保険証、家屋の賃貸契約書と直近3か月の家賃の領収書、直近3か月の収入の分かる書類、資金の使い道を証明できる資料、金融機関受付印押印済みの口座振替依頼書、印紙税法により収入印紙が必要となるとあります。  非常に用意するものも多く、貸付理由も非常に限定的だということで、ここはしっかりと充実させることを求めます。  続きまして、家具転倒防止器具の支給、感震ブレーカーの支給についてです。こちらは、50%を超えた減額はないのですけれども、予算を縮小した事業です。その理由をお答えください。 ◎須川 危機管理室長 家具転倒防止器具、それから感震ブレーカーの支給取付事業につきましても、予算の見積もりにあたりましては、過去の支給実績、こういったものを勘案しながら積算をしております。  まず、家具転倒防止器具につきましてでございますが、直近3年間の平均支給数を基に積算をいたしました。  平成28年に熊本県で大きな地震が発生しております。これをきっかけとして、平成28年と29年の実績が高くなったわけでございますけれども、この増加は一時的なものと考えまして、来年度予算では、過去3年間の実績を基に積算をし減額したものでございます。  次に、感震ブレーカーでございます。今年度の予算につきましては、この感震ブレーカーについては一昨年の12月からスタートしたものでございます。今年度の予算は、過去の実績がございませんので、家具転倒防止器具、こういったものの支給実績を参考にして積算をいたしました。  ただ、来年度の予算につきましては、今年度の一定の実績がございますので、事業開始からの平均値を基に積算し減額したところでございます。  今回、先月13日に発生しました福島県沖の地震、残念ながら家具の下敷きで亡くなられた方も見られます。こうしたことがきっかけで、家具転倒防止器具や感震ブレーカーの支給取付事業の申請数も増加してくるのではないかと考えられます。  今後もいただいた申請につきましては、速やかに家具転倒防止器具並びに感震ブレーカーの支給取付ができるように対応してまいります。  両事業とも、要支援者への支援と非常に重要な取り組みであると認識してございます。引き続き、さらなる普及啓発に取り組むとともに、コロナ禍といえども手を緩めることなく、区民の生命と財産を守る使命を果たしてまいります。 ◆荒尾 委員 大変力強い答弁ではありましたけれども、だったら何で減らすのかということなのです。災害対策は、コロナ対策と並んで重点課題となっているのではないでしょうか。この事業は、災害対策です。だったら、しっかりと予算を拡充するべきではないでしょうか。  予算の概要版の7ページにも重点課題が四つ挙げられています。そのうちの1番にあるわけです。新型コロナウイルス感染症拡大防止対策や激甚化する自然災害に備え、区民の生命、安全を守る取り組みと書いてあるので、この家具転倒防止だったり、感震ブレーカーはそれにあたるものだと思うのです。なので、しっかりとそこは予算をつけて対応することを求めます。  答弁にもありましたけれども、2月13日の福島県沖の地震、マグニチュード7.3、最大震度は6強、この地震で家具の下敷きになって亡くなられた方がいます。福島市在住の50代の方だということでした。  こうした事例もあるので、改めて家具転倒防止器具の重要性というのを私、痛感しました。災害から区民を守るために必要な事業です。削減ではなく、充実することを求めます。  2020年度の事務事業の見直しで、見直しと再構築を行って、新年度予算に反映した事業が挙げられています。昨日3月8日の総務財政委員会の資料でもありますけれども、見直し、再構築をした主な事例として新しい学びの提供、おおた商い観光展、健康づくり、木造住宅耐震化助成制度、住宅関連事業、本庁舎窓口業務、妊婦面接予約システム、電子図書館等々を予算に反映をしたということであります。  感染症拡大と区民生活を守る施策が最優先するために、事務事業の見直しを行って、予算をつくったということになるのですけれども、その中で土地の購入や大規模開発が含まれているということは問題であると思います。  その中でも、蒲田駅前広場の再生整備34億8,033万6,000円、事項別明細書199ページにありますけれども、これは際立っていると思います。このうち、土地購入にかかる費用が32億1,553万6,000円、土地開発公社からの購入となっています。この土地は、旧三和銀行のビルの跡地で蒲田駅東口に地下駐輪場を設置するための、そのための用地取得ということになります。  この土地は2017年に土地開発公社が取得し、2021年度、新年度に購入をするという予定となっています。そこで伺います。  蒲田駅東口区画街路7号線、新おおた重点プログラム令和3年度版では、工事は令和5年度から開始となっています。事務事業の大幅な見直しをしている中、なぜ今、この時期に32億円で土地開発公社からこの土地を購入するのでしょうか、お答えください。 ◎久保 都市基盤整備部長 JR蒲田東口駅前広場でございますが、区画街路7号線につきまして、蒲田駅周辺再編プロジェクトに基づきまして、平成28年4月に東京都から都市計画事業として事業認可を取得しまして、国庫補助金や都市計画交付金等を充当しながら、計画的に用地取得・工事に取り組んでいるところでございます。  令和3年度は、駅前広場の整備にあたりまして、JR東日本との協議を開始することから、国庫補助金や都市計画交付金等の財源を確保し、区の核となる地域の発展のため、滞りなく事業を進めてまいります。 ◆荒尾 委員 先ほどの答弁では、急いで買う必要はないのではないかと私は、そう受け止めました。令和3年度、2021年度は実施設計等を予定していると、工事の開始は2年後の2023年になるわけです。今、コロナで大変な中で、こうした大規模な事業というのは見直しをしている自治体もあります。  この予算枠32億円という額ですけれども、それ自体も大変な中で、予算案概要にも全然触れられていないというのは、どういうことなのかと思ったのです。蒲田の駐輪場を整備するために必要な予算ですということで、紹介して載せればいいのですけれども、今、本当にこの時期に必要なことなのかというのは、私は疑問です。  都区合同庁舎、新蒲田のほうで工事をやっていますけれども、都区合同庁舎の建設工事でさえも延期をしているわけですから、この事業については不急の事業だと思いますので、延期することは可能だと思います。なので、それはぜひ検討していただきたいと要望します。  次に、新空港線について伺います。整備主体設立予算1億8,000万円、整備促進事業1,164万6,000円計上されています。重点プログラム2021年度版では、国際化した羽田空港へのアクセス機能の強化は、区内の移動の利便性を向上させるとともに、人々の国内外への往来をさらに快適なものとしますと述べられています。  しかし、当面は人の往来だったり、動きというのはこのコロナ禍の下では見込めないと思います。全国各地の観光地も非常に人が少ないということで、観光で商売をされている方は大変厳しい状況に置かれているわけですけれども、今、そういう現状なわけです。  なので、しばらくは空港を利用する人、あと、鉄道を利用する人もコロナ以前の状態に戻ることというのは、しばらくは見込めないように思います。  そこで伺います。新空港線計画は、凍結をすること、一たん、立ち止まることを求めます。お答えください。 ◎齋藤 新空港線・まちづくり調整準備室長 現在、区ではコロナ禍で打撃を受けた区民生活や区内経済の早期復興に向けまして、全力で取り組んでいるところであります。  同時に、将来にわたる区の持続的な発展を見据えた中長期的な視点に立ちまして、国土強靱化に向けた取り組みを推し進めることも必要不可欠なことです。  区のまちづくり方針といたしましては、ポストコロナ社会を見据え、核となる都市政策を推し進めることが重要と考えておりまして、その一つが新空港線の整備であります。  新空港線の整備に向けましては、現在、新空港線及び沿線まちづくり等の促進に関する協議の場におきまして、都区合意に向けた協議を重ねているところでございまして、着実に前進をしております。  今回計上している新空港線関連予算は、区の悲願である新空港線の早期整備に向けまして、関係者合意がなされた後、速やかに整備主体を設立するために必要な予算であることから、見送ることは考えてございません。 ◆荒尾 委員 見送る考えはないということだったのですけれども、いずれにしても今、本当に1億8,000万円もお金をかけてこれを進める必要があるのかと。2020年度は、1億8,000万円丸々減額補正していますよね。協議の場で進展しているというご答弁だったのですけれども、その中身がどうなっているのか。  本当に今年度内に整備主体ができるのかどうかというのも、まだ不確定なわけです。そうであるならば、一たん、やはりこれだけの1億8,000万円というお金を計上するわけですから、区民生活への影響とかも考慮して、一たん、私はこれは減額する必要があると思います。すぐにでもできるものでもないと思いますので、検討をお願いします。  続きまして、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策について伺います。まず、ワクチン接種計画について伺います。先日の健康福祉委員会で、接種の計画について案が示されました。これによりますと、65歳以上の高齢者の65%、10万7,900人を対象に2回接種をすることで、21万5,800回分を用意する。  集団接種会場9箇所、医療機関、現在調整中とのことですが、15か所程度を想定し、週4万2,620回の接種が可能となり、5.06週で完了するという計画が出されております。  そこで伺います。高齢者施設入居者に対しての接種の方法ですけれども、施設内接種、施設外接種、施設従事者の同時接種を福祉部と調整しているとあります。高齢者の中には、居宅の方でも外出が難しいなどの理由で、外に出られない、動くことができないという方もいらっしゃると思います。アウトリーチ型も検討する必要があると思いますが、いかがでしょうか。 ◎木田 健康政策部長 高齢者施設へ入所されている方は、高齢で、かつ基礎疾患をお持ちの方が多く、重症化もしやすいため、区は最優先に接種されるべきと考えております。  介護施設入所者につきましては、福祉部と連携し接種体制を急ぎ検討しているところでございます。  施設の嘱託医が対応可能であれば、嘱託医が接種をいたします。また、嘱託医がいないなどの場合は、区が医師を派遣することを検討しております。 ◆荒尾 委員 接種体制と実施計画に出されているこの目標、計画どおりのことを進めようとすると、そうした対応を当然、求められると思うのです。午前中の質疑でもありましたけれども、本当にこのスケジュールどおりで、この計画でスムーズにワクチン接種が進むのかどうかというのは、私はちょっと不透明かと思っています。  そうした不測の事態も当然起こるでしょうし、そうしたことも踏まえて計画を作ること、ワクチン接種をスムーズに進めることを要望いたします。  次に、予約の方法について伺います。計画案の中では、三つの方法が示されています。ワクチン予約受付システムへのアクセスと、コールセンターへの電話、本庁舎1階窓口での申込みの3種類が示されています。簡単、速い、一人ひとりに合った予約方法を選べると書かれてあります。  Aのコールセンターへの電話についてですけれども、昨年、定額給付金の件でコールセンターが非常につながりにくいという、そうした苦情もありました。私のところでも、コールセンターがなかなかつながらないから、今、どういった進捗状況なのか確認してほしいという相談も受けたことがあります。  こうしたことが起こらないように、その反省を十分に踏まえて、十分な体制を強化して臨むものと思いますけれども、そこで伺います。コールセンターの体制の状況は、どのような体制で進めていくのでしょうか。計画、見通しについてお答えください。 ◎木田 健康政策部長 接種予約方法は、全日24時間対応のインターネット予約と月曜日から土曜日のコールセンターでの電話予約となりますけれども、高齢者はコールセンターでの予約の割合が高くなると予想しています。4月からは、124回線で1日8時間45分の対応で予約を受け付けます。  コールセンターのみで、1日当たり約6,000件の予約を受けることができると想定をしております。  高齢者の方がスムーズに予約ができるよう、予約体制を整えまして、接種を希望する高齢者の方が迅速に接種完了できるよう努めてまいります。 ◆荒尾 委員 ここで示されている予約方法ですけれども、ワクチン予約受付システムへのアクセスはスマートフォンでQRコードを読み取るという方法と、あと、パソコンなどタブレットも使ってできるということを聞いています。  最近はスマホだったり、タブレットを使う高齢者の方も増えているので、そうした対応もしているのかと思うのですけれども、やはりコールセンターの充実というのが何よりも一番だと思いますので、ぜひ引き続き強化をしていただきますよう、つながらないということがないように対応をお願いいたします。  続きまして、相談窓口について伺います。本庁舎に相談窓口が設置をされるとされておりますけれども、各特別出張所にも本庁舎と同様の相談窓口を設置することを求めます。  昨年の定額給付金のときも出張所に相談窓口を設置したので、そうした対応を同様に求めます。お答えください。 ◎木田 健康政策部長 出張所への相談窓口でございますけれども、窓口というところまではなかなか難しいかと思いますが、ただ、区民に身近な出張所で気軽に相談できるということは、区民にとってもとても利便性が高いと認識してございますので、出張所には情報提供、また、マニュアルなどの情報提供いたしまして、区民の方の簡単な相談には乗れるような体制をつくっていきたいと考えております。 ◆荒尾 委員 確認ですけれども、そうすると体制を取る、窓口とまではいかないけれども、体制を取るということで理解していいのでしょうか。 ◎木田 健康政策部長 それは、窓口という本当に出張所での窓口ということには、例えば広報するということまでは考えておりませんけれども、ただ、出張所にいらした方が気軽に相談できるよう、聞けるよう体制を整えてまいります。 ◆荒尾 委員 体制を整えてください。窓口を設置するようにしてください。要望します。  次に、ワクチンについてですけれども、今、メディアで様々な情報が広がっています。ただ、日本ではワクチンに対しては非常に懐疑的な見方が根強く残っています。世界を見ても、日本はワクチンに対しての見方が非常に最下位ぐらいに低い状況です。  ワクチン接種については、時間がかかります。今、これからワクチン接種が始まりますけれども、最初の段階で遅れている状況もありますので、いつ全ての国民の皆さんにこのワクチンが接種されるのかというのは、まだ不透明な状況です。  それとあわせて、ワクチンの安全性、有効性、副反応等のリスクについても迅速、かつ徹底的な情報公開と啓蒙も必要となります。ワクチン接種をスムーズに実施する上でも、大田区として努力することを求めます。  ワクチン接種が始まりますが、それとあわせて引き続きPCR検査体制の強化も必要です。予算案では、PCR検査センターの予算1,922万円で、従来の3か所のセンターの維持経費にとどまっています。改めてPCR検査の重要性について、ここで確認したいと思います。  新型コロナウイルスをチェックする方法、現時点ではPCR検査と抗原検査の2種類があります。PCR検査は、ウイルスのDNAの特徴的な部分を増幅して検出する検査です。抗原検査は、ウイルスのたんぱく質を見る検査です。抗原検査の感度は、PCR検査の20分の1と低いため、そうなるとPCR検査に選択肢が絞られることになります。  PCR検査は、ゲノムの一部分に狙いを定めて検出し、ほんのわずかなサンプルからでも目的の遺伝子を発見することができる画期的な技術です。新型コロナだけではなく、乳がんや白血病、結核の診断にも使われている一般的な検査でもあります。  最近では、変異株による感染拡大が起こっています。通常の検査を行い、陽性になったサンプルの中から変異ウイルスに特徴的な遺伝子配列を抑えるために再度、PCR検査を行い、そこで陽性となると変異ウイルスであることが確認できます。  さらに全体のゲノムを見て、特徴を把握するために解析を行って、予防対策を立てることが必要となります。なので、PCR検査体制は、さらに強化する必要があります。  そこで伺います。大田区と連携している東邦大学の舘田一博教授も、無症状陽性者を見つけることが重要だと強調しています。その上でも、PCR検査の強化が必要だと思います。区の考えを伺います。 ◎木田 健康政策部長 新型コロナウイルス感染症は、無症状でも感染力があることが判明しております。ただし、無症状のまま経過する無症状病原体保有者よりも、患者の発病直前の無症状である時期の感染力が高いと言われております。患者周囲の濃厚接触者への対応等に注力することが効果的と考えております。 ◆荒尾 委員 それは、PCR検査の精度の問題ではなくて、やる時期、タイミングの問題だと思うのです。時間帯によって、ウイルスの排出量というのも変わってきますし、だから複数回PCR検査をやるのです。1回やって陰性となっても、改めてやると陽性になるというのは、そういうことなのです。なので、今、部長が答弁された認識は改める必要があると思うのです。  区長は、さきの我が党の代表質問で、新型コロナワクチン接種が始まって効果が見込まれる、よって、PCR検査を実施する考えはないと答弁をされております。  区は、ファイザー社ワクチンを想定していますけれども、このファイザー社ワクチンは90%の人に有効だと言われています。接種率が70%を超えると集団免疫を獲得して、接種していない人も含めてウイルスから守られるとなっています。  しかし、接種には時間がかかります。それまではPCR検査の手を緩めるわけにはいきません。  そこで伺います。ワクチン接種とPCR検査は、同時並行で強力に進めることを求めます。お答えください。 ◎木田 健康政策部長 ワクチン接種がある程度進むまでは、マスクの着用や手指の消毒などは継続していく必要があると考えます。  新型コロナウイルス感染症を疑う症状がある場合に、すぐに検査を受けられる体制の整備や、陽性者が判明した施設等での検査は重要であり、今後も継続して対応をしてまいります。
    ◆荒尾 委員 無症状の陽性者を見つけることが大事だということを言っているのです。そのためにも、PCR検査は大事だということを言っているので、マスクだったり、手指消毒というのは当然必要です。  ですけれども、PCR検査も同時にやる必要があるのです。集団免疫獲得する70%の接種率に到達するまでは、検査をやる必要があるのです。東京都もPCR検査を今、推進する立場に立っています。国の動きも活発になっています。  なので、大田区だけがPCR検査をやらないという立場になるのは、私は間違っていると思うので改めてください。  高齢者への検査について伺います。東京都が高齢者施設における新型コロナウイルス感染症対策強化事業として、高齢者施設への接種を進めるという事業を独自に行っています。  PCR検査等、必要な措置は講じていると大田区の認識であると思うのですけれども、東京都のこうした事業、実績等を把握しているのでしょうか。 ◎今岡 福祉部長 高齢者施設等における検査についてですが、国、東京都、区の多段階でPCR検査経費の補助事業を実施しており、検査の体制は整っております。  都は、昨年10月から都内の高齢者施設に対し、高齢者・障害者支援施設等における新型コロナウイルス感染症対策強化事業により、PCR検査経費の直接補助を実施しております。  区は、東京都の区市町村との共同による感染拡大防止対策推進事業を活用し、PCR検査等経費の補助事業を行っており、ホームページやファクスで事業を周知しております。  また、国の要請を受け、都では、高齢者入所施設等のうち、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設及び介護医療院について検査を集中的に実施する計画を策定し、希望する施設に検査資材を直接配付しました。  大田区内の施設からは、1,500キットを超える申込みがあったと承知しています。  検査の実施状況につきましては、区から各施設に確認し、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設等、21施設が都の事業を利用し検査を行っていることなど、状況について、適宜、適切に把握しております。  加えて、民間団体による検査の動向も含め、随時、各高齢者施設に対し、必要な情報提供を行っています。 ◆荒尾 委員 実態把握はしているというご答弁でした。しかし、この間、多摩川特養だったり、糀谷特養でクラスターが発生するという事態が起こっています。  把握しているのであれば、それに相応した対応を大田区としても独自でとる必要があったのではないかと私は思います。  なので、東京都だったり、国の動向を注視するということをよくおっしゃいますけれども、大田区としてどのようにこの感染症を食い止めるのかという、そうした姿勢をしっかりと示す必要があると思います。  重大な事案が発生している中で、把握していますと答えるだけでは駄目です。やはり対応をしっかりと取ること、感染症の拡大を抑える、大田区としての独自の手だてを取ることを強く求めます。  続きまして、コロナ禍の下で、区民の暮らしと営業を守るための支援策について伺います。  昨年の4月15日から実施されている新型コロナウイルス対策特別資金、融資限度額500万円から5,000万円に、返済期間は36か月から108か月以内に、据置き期間は6か月から12か月以内に拡充をされました。  しかし、長期化、深刻化するコロナ禍の下で拡充され、据置き期間が経過し、返済が始まりますけれども、返済の見通しのつかない区内中小零細業者が続出しています。  台東区では、新型コロナの影響が長期化することを踏まえ、昨年1月から今年3月の間に、区の融資制度を受けている区内事業者を対象に、返済期間の軽減を目的に借換融資制度を4月12日から実施することを発表しました。  借換対象となる既存融資制度は、経営持続化特別資金、コロナ対策特別資金、小規模企業小口資金など、区の制度融資7本で10年間の貸付けで1年間の返済据置期間を設定、また、貸付利率は1.8%以内ですが、5年間は区が全額利子補填し、本人負担は0、6年目からは区が1.5%補填で、本人負担は0.3%、また、信用保証料も台東区が全額補助する制度となっています。  伺います。長期化するコロナ禍の下で、新型コロナウイルス対策特別資金などの制度融資を借りている返済の見通しのつかない中小零細業者のために、返済期間、据置期間の延長を図る提案をします。  具体的には、窓口金融機関との協議や台東区のような借換融資制度の創設をすることを求めます。お答えください。 ◎山田 産業経済部長 新型コロナウイルス対策特別資金による融資あっせんの元金返済期間は、制度上108か月以内となってございます。したがいまして、据置期間を延長しますと、逆に返済に充てる期間が短くなってしまうということで、元金に係る返済回数に影響し、1回当たりの返済額がかえって増えてしまうことも考えられます。  融資条件の見直しなど、条件変更につきましては、利用者の方と金融機関との契約に基づいているものでございます。案件ごとにケース・バイ・ケースであることもございます。借入先の金融機関や信用保証協会などにご相談いただくことを区としてはご案内をしているところでございます。  なお、借換制度を作るべきとのことでございますが、大田区では、あっせん金額の上限を5,000万円までに制度拡充した昨年4月から、新型コロナウイルス対策特別資金のあっせんを受けた事業者からの借換えのご相談や申込みなどに対して、既に対応していることを申し添えさせていただきます。 ◆荒尾 委員 代表質問での答弁とほぼ似たような答弁となりました。こっちは提案をしているわけなので、やはりそれに対してしっかりと答えていただきたかったと思います。  区内業者の実態について一言触れます。ある町工場の方は一昨年から仕事が減り、2019年度から消費税が10月に10%に上がって、それから経営が厳しくなったということでした。  昨年春の感染症拡大で仕事が全くない月が続いて、工場の家賃の支払いにも窮する状況となりました。  持続化給付金、家賃支援給付金を申し込んで受け取りました。それでも経営は改善されない状況です。今、工場を続けるか、それとも廃業して生活保護になるかどうか、そうした相談を私と一緒にしているところです。  この方を支えている知り合いの方もいまして、この知り合いの方とも協力して、何とかこの方の生活を支えていこうという思いでいます。  また、大田市場で仲卸をしている業者も大変厳しいという声を聞いています。仲卸がこのままではなくなるのではないかという、そうした深刻な声も寄せられています。  そこで伺います。区長は、区内事業者への直接支援を求めた区議団の代表質問に対し、国や東京都の動向を注視するとともに、区内産業支援に全力で取り組んでまいりますと答弁をしています。この全力で取り組んでいる区内産業支援の中身は何でしょうか。 ◎山田 産業経済部長 区は、住民生活に最も身近な行政を担う基礎自治体であるとともに、産業のまちを標榜する自治体としまして、区内経済団体との連携、協力の下、産業経済部と産業振興協会が一体となった区内事業者への支援を通じて、経済の活性化、にぎわいの創出に取り組んできてございます。  引き続き、組織間の連携の中で多岐にわたり展開をしている全ての産業施策、支援について全力で取り組んでいく姿勢に変わりはございません。 ◆荒尾 委員 具体的な中身がないのですよ。全力で取り組んでいる事業、例えばこういうものがこうこうこうです。これです。これですという答え方だったら分かったのですけれども、ざっくりした答弁だったので、よく分かりませんでした。  続けて伺います。大田区の緊急経済対策として、家賃や人件費、リース代など固定費を直接支援する制度を作り、持続可能な経済対策を今こそ実施することを求めます。お答えください。 ◎山田 産業経済部長 固定費などへの直接支援につきましては、先ほども申し上げましたとおり、本区は基礎自治体でございます。基礎自治体といたしまして、地域経済に密着して寄り添い、地域経済の波及効果を目指す立場にございます。  したがいまして、国や都と立ち位置が異なるという中で、基本的に現在、固定費に対する直接支援につきましては、国や東京都が担っていると考えてございます。  引き続き、国や東京都と役割分担の下に、緊密な連携の下、基礎自治体としての産業支援の役割をしっかりと果たしてまいりたいと考えます。 ◆荒尾 委員 大田区は先端産業を支援するということを言っていますけれども、その先端産業が存在し得るのは基盤産業があってこそという考えだと思っています。その基盤産業というのは、大田区のものづくりだと思っています。  今、そのものづくり企業の町工場が大変な状況になっているのです。なので、そこをしっかりと支えなければ、先端産業も成り立たないわけです。なので、そこをしっかりと捉えて、おおたのものづくりを守るという姿勢に立っていただきたいということを要望します。  続きまして、学生への支援についてです。コロナ禍で多くの学生が苦しい生活を強いられています。コロナで学校に通えない、授業やゼミなどはリモートがほとんど。高い学費を払うためにアルバイトをしていたが、アルバイト先がなくなり、生活が苦しくなり、学校をやめざるを得なかったという実態も報告をされております。  大田区の18歳から22歳までの大学、短大、専門学校生の数ですけれども、18歳が5,403人、19歳が5,855人、二十歳が6,577人等々で合計約1万7,000人の学生が住んでいるということです。  そこで伺います。コロナ禍で多くの学生が追い詰められています。食べ物などがなく、困窮を極めているケースもあります。区内の大学生、短大生、専門学校生を救済するために1人5万円の給付金を実施することを求めます。お答えください。 ◎張間 福祉支援担当部長 新型コロナウイルスの影響のある中で、学生が学びを継続できるよう支援することは重要です。既に、区は今年度、区の奨学金の貸付けを受けている在学中の学生を対象として、5万円の奨学金給付を実施いたしました。  国も緊急対策として、収入減少等の一定要件を満たす住民税非課税世帯の学生に、学生支援緊急給付金を約42万人に給付しております。  区といたしましては、引き続き、今後の経済的状況や国・東京都の支援の動向を注視し、現在の奨学金制度を活用しながら、学生への支援を行ってまいります。 ◆荒尾 委員 狛江市では、1人5万円の給付金を実施しています。大田区でも、ぜひ実施するよう求めます。先ほど、奨学金を実施するということですけれども、この5万円を1万7,000人に給付をするとなると、総額8億5,000円の予算が必要になると計算しています。可能だと思いますので、ぜひ検討してください。  この間、予算案で高校、大学進学者向けの給付型奨学金が創設されたということでありますけれども、大変評価をしております。しかし、財源がクラウドファンディングで募るということには反対です。学生の皆さんをはじめ、若い人たちが将来に希望を抱き、安心して学べるよう大田区が責任を負うべきと考えております。  続きまして、生活保護について質問をします。コロナ禍の下で、生活に困窮する人が増えています。製造業の派遣切りで、男性の労働者の困窮が問題になった2008年から2009年の年越し派遣村のときと異なり、今回のコロナ禍では、女性も含む自営業者、フリーランス、派遣、パート、正社員など、ありとあらゆる働き手の仕事、生活が困難な状況に追い込まれています。  コロナ禍の影響で、最後のセーフティネットである憲法第25条に基づく生活保護の役割が問われています。区内の生活保護の状況を見てみますと、生活保護利用者数はほぼ横ばいで大きな変化はありませんが、企業の業績悪化による解雇や雇い止め、倒産、廃業は増加をしており、予断を許さない状況ではあります。生活保護にスムーズにたどり着けるよう、周知への努力が求められます。  そこで伺います。ホームページなどに必要な情報を掲載し、申請書やしおりなど、ダウンロードできるようにするなどの対応をすることを求めます。お答えください。 ◎張間 福祉支援担当部長 区では、ホームページに「生活保護を希望する場合には、保護の申請をしていただきます」という記載をしましたとともに、生活保護のしおりの内容である相談から開始決定までの流れを図式化してお示ししております。  本年2月には、厚生労働省のホームページを引用し、生活保護の申請が国民の権利であることや、ためらわず相談をしていただくことを新たに掲載いたしました。  今後も、ご相談をしっかりと受け止めるとともに、申請しやすい環境づくりに努めてまいります。 ◆荒尾 委員 申請しやすくするためにも、申請書やしおりをホームページでダウンロードできるような体制をする必要があるのではないかという質問だったのです。これはほかの自治体でも取り組んでいるところも増えていますので、ぜひやっていただきたいと思います。  一般社団法人つくろい東京ファンドというところの調査では、生活保護を利用しない理由の1位が、家族に知られるのが嫌というのが理由の1位となっています。全体の34.4%ということでした。  厚生労働省は昨年9月11日、現下の状況における適切な保護の実施についてという事務連絡を通知し、申請権の侵害をしないこと、侵害していると疑われる行為を慎むことを各自治体に求めています。  この中で、扶養照会の取扱いについて、相談段階で扶養が保護の要件であるかのような説明は不適切であるので、改めるようにと述べています。  また、今年2月26日の事務連絡、扶養義務履行が期待できないものの判断基準の留意的等についてでは、扶養が保護の要件と異なる位置づけであることを改めて確認し、扶養義務の履行が期待できないと判断されるケースについては、直接照会を行わない取扱いとすることが明記をされています。その上で調査の手順、判断基準、類型の例示が示されております。  そこで伺います。扶養照会の制度上、義務ではなく、保護の要件でもありません。厚生労働大臣も、我が党の国会質問に対し、3回繰り返し強調して答弁をしています。義務でない以上、しおりの(注)扶養義務の取扱いの部分については、削除するべきであると考えます。お答えください。 ◎張間 福祉支援担当部長 生活保護における扶養照会は、実地もしくは書面により行うこととされており、全く行う必要がないものではありません。  また、区のしおりにおける扶養照会に関する記述についてですが、これは、扶養できる親族がいる場合は、その扶養が保護に優先することを記載したものであり、扶養が保護の前提条件であることを意味しているものではありません。  本年2月に厚生労働省から、扶養義務の取扱いに関し、新たな通知が発出されました。  その通知では、扶養義務の履行が期待できないと判断される扶養義務者には、扶養照会を行わない取扱いとされております。  今回の通知が発出される以前から、区では、扶養義務者の存否の確認を行うとともに、相談者からの聞き取り等をしっかりと行いながら、扶養照会を行わない取扱いとすべき方には、十分配慮をしてきております。 ◆荒尾 委員 義務ではないので、だったら、しおりに義務ではありませんぐらいは書き加える必要はあるのではないですか。もう扶養義務はしないと決めている自治体もあるのです。厚労省がこの通知を出したことを受けて、なぜそのぐらいは私はやる必要があると思うのです。  実際、扶養照会で、扶養につながったケースは本当にごくわずかですよね。すごい労力もいりますし、調査などで。その労力を要する割には、さしたる成果も上がらないというものなので、なくてもいいような制度です。だったら、やらなくてもいいではないですか。現状に見合った運用に改めるべきです。  小田原市の生活保護のしおりについてですけれども、扶養義務についての記述では、親、子ども、兄弟、姉妹など、民法上の扶養義務のある方から援助を受けることができる場合は受けてください。  なお、親族の扶養は可能な範囲の援助で行うものであり、援助可能な親族がいることで生活保護が利用できないことにはなりません。  また、DVや虐待など、特別な事情がある場合には、親族への照会は見合わせることもあるため、事前に相談してくださいとなっています。非常に丁寧な記述となっています。  大田区のしおりは、こういう記述になっていないですよね。変えないというのであれば、せめてこういう小田原市のような丁寧な記述に改める必要があると思います。ちゃんと文章で、読んで見て分かってでは、扶養は義務ではないし、必ずやらなくてもいいのだと読んだ人が受け取れるような、そういう中身に変える必要があると思います。なので、そうした対応をぜひともやってください。よろしくお願いします。  今、コロナの影響で、どんどん生活が苦しくなる人が増えることも予想されます。大田区の直近の生活保護の動向を見てみましても、それほど変化はありませんけれども、今、いろいろな支援制度などもあるので、その支援制度が切れた後に、こうした相談などが増えるおそれもあるので、ぜひ丁寧な、親切な対応を求めます。  最後に、自治体本来の役割を果たす地域支援事業について伺います。介護保険特別会計地域支援事業について伺います。  区では、2018年度から介護予防・日常生活支援総合事業をスタートさせました。2016年度は予算額11億7,055万7,000円、2017年度、17億3,646万1,000円、2018年度、17億6,572万4,000円、2019年度、16億3,655万9,000円、今年度、2020年度は11億668万5,000円、そして、2021年度は7億6,043万8,000円と推移しています。  2019年度以降は予算額が減り続け、約9億円の、この2年間で減額となっています。コロナの影響を考慮しても減額幅が大きいと思います。減額の要因は、総合事業のサービスが原則1年で終了すること、生活援助サービスを絆サポートとしてボランティアに担わせていることなどが挙げられます。7期では、この3年間で要支援の認定を受けている方も数が減っています。  そこで伺います。前年度の実績ベースで予算計上していると思われますけれども、住民の福祉を増進する自治体の裁量を発揮して、介護予防・日常生活支援総合事業の予算を増額することを求めます。お答えください。 ◎今岡 福祉部長 地域支援事業につきましては、高齢者が要介護、要支援の状態になることを予防するとともに、要介護状態等になった場合でも、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援することを目的として実施しております。  また、介護予防・日常生活支援総合事業につきましては、多様な主体が介護予防や生活支援の担い手として参画することで、高齢者を地域で支える体制づくりを推進するものでございます。  総合事業の実施につきましては、毎年度、事業ごとの執行状況の分析に加え、地域包括支援センターや、訪問、通所等の専門的なサービスを提供する事業者など、現場を担う関係者との情報交換を重ねながら、将来的な需要を予測した上で、地域支援事業の予算を適切に計上しております。 ◆荒尾 委員 適切ではないと思います。多様な主体を使って、多様なサービスをということですけれども、これまでは介護保険のサービスとして、予防給付として訪問と通所サービスが位置づけられていましたけれども、それが、ボランティアだったり、あと、1年限りというサービスに置き換わって、今、こういう状況になっているのです。なので、継続してサービスを使いたい人も当然いるわけで、そういった人たちのニーズは全く満たしていない状況になっているのです。  なので、やはりここは自治体の裁量を発揮して、サービスを拡充することが求められていると思います。  地域支援事業予算については、その自治体の介護予防に対しての姿勢がよく表れるものだと私は思っています。  一つ例を挙げますと、岡山県倉敷市では、新総合事業を2016年度から実施をしています。その内容は、通所訪問とも介護保険の予防給付サービスと同等のサービスを提供しています。  加算、減算、単価も全く同様です。処遇改善加算も同様の掛け率で設定をされています。介護保険のサービスとほぼ変わらない内容で、事業者も安心してサービスを提供でき、利用者も安心してサービスを受けられる仕組みが作られています。自治体の努力次第で、保険サービスと同等の非常に手厚いサービスが継続をできるわけです。  そこで伺います。介護予防には専門性が求められます。ボランティアでは介護予防を担うことは荷が重過ぎます。保険サービスと同等のサービスを実施すべきです。お答えください。 ◎今岡 福祉部長 介護予防・日常生活支援総合事業は、専門職だけでなく、ボランティアなど、住民主体による支援を積極的に推進する制度です。  このため、区は、訪問・通所介護事業者が提供する専門的なサービスのほか、平成28年度から地域の方々が高齢者の生活を支援する事業を開始し、令和2年度からは、絆サポート事業として展開しております。  このサービスの利用者は年々増加しており、今後も担い手の拡充に取り組んでまいります。  また、本区における総合事業は、専門事業者が提供するサービスと、住民等、多様な主体による支援により、地域の介護予防の取り組みと、生活支援の体制づくりを着実に進めており、委員ご質問の保険サービスと同等のサービスにつきましては、現在、対応する予定はございません。  区といたしましては、引き続き、地域の多様な主体により高齢者を支える地域包括ケアシステムの推進に取り組んでまいります。 ◆荒尾 委員 ボランティアとか、多様な主体では難しいと言っているのです。なので、介護予防の専門性を発揮するように、大田区として地域支援事業だったり、介護予防の在り方というのを改めて考え直して、高齢者の皆さんが安心して暮らせるような大田区を実現するために、ぜひ努力していただきたいということを要望いたしまして、私の総括質疑を終わります。 ○湯本 委員長 次に、令和、質疑願います。 ◆三沢 委員 令和大田区議団の三沢清太郎です。会派の先陣を切って総括質疑をさせていただきます。  1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数の減少ペースが鈍化していることを受け、東京、神奈川、千葉、埼玉の首都圏1都3県では緊急事態宣言が2週間延長となりました。  先の見えない状況が続き、明るい話題が少なく、私のところに寄せられる相談の中には、いわゆる自粛警察という方々から飲食店に対するいわれなき誹謗中傷に対する相談も増えてきており、総じて皆様、精神的に相当まいってきていることをひしひしと感じております。  帝国データバンクの調査によりますと、新型コロナウイルスの影響で破産などの手続をとって倒産した企業と、事業を停止して法的整理の準備に入った企業は、個人事業主を含めて去年2月から今月3日、午前10時までの累計で1,100社になったそうです。  今回の緊急事態宣言再延長によって、個人消費落ち込みの長期化は避けられず、さらなる倒産の増加が加速する可能性がございます。  かように厳しい状況ではありますが、少しでも有効活用できる制度を広く知っていただき、まちのにぎわい創出につなげていただくべく、最初に道路占用許可基準の緩和について改めて質問したいと思います。
     新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店などを支援するため、国土交通省は昨年11月末まで、道路占用許可基準の緩和を暫定的な緊急措置として実施をしました。その後、本年3月末まで延長がなされているところでございます。  私は、この道路占用許可基準の緩和は、本区内の飲食店を盛り上げていく上でとても有意義であると考え、令和2年第2回定例会で取り上げさせていただきました。  理事者からは、商店街やまちづくり協議会などからの要望に基づき、交通や歩行者の妨げにならないことや、清掃等の道路維持管理へのご協力をいただくことを条件に、占用料の免除も含め、交通管理者と協議の上、飲食店に対し柔軟に対応すると前向きな答弁をいただきました。  そこでお聞きいたします。その後、問い合わせはどれほどいただき、何か所実施に至ったのかを教えてください。 ◎久保 都市基盤整備部長 現時点における区内商店街からの問合せ件数は11件、道路占用許可を行った件数は2件でございます。 ◆三沢 委員 具体的にどこで実施されたのか教えてください。 ◎久保 都市基盤整備部長 大森銀座商店街振興組合、池上本門寺通り商店街で実施されております。主に飲食業の店舗で、大森銀座商店街振興組合では8店舗、それから池上本門寺通り商店街では13店舗が実施しております。 ◆三沢 委員 私もMilpaの商店街のおおはしで、つい先日もオムライスとビーフシチューをいただきました。本当に外でいろいろとやっているのが、すばらしい取り組みだと思っております。  問い合わせをいただきながら、実施に至らなかったところの理由を教えてください。 ◎久保 都市基盤整備部長 これまで区にありました11件の問い合わせのうち、9件が実施に至りませんでした。道路を占用して事業を行うにあたっては、歩行者等の通行に支障が出ないよう、安全な余裕幅を確保する必要がございます。  このような条件を踏まえ、道路管理者、交通管理者と協議した上で、判断しているところでございます。  実施に至らなかったところにつきましては、こうした検討・協議の結果、通行の安全を確保するに至らなかったためなどが理由となっているところでございます。 ◆三沢 委員 それでは、実施された商店街の反応はいかがでしたでしょうか。 ◎久保 都市基盤整備部長 事業を実施された店舗におかれましては、店舗内の三密を避けられるというメリットを言ってございました。  一方で、商店街に加入されていない店舗との調整や、交通管理者である地元警察との道路使用における対応において、やはりご苦労されたということを聞いているところでございます。 ◆三沢 委員 緩和措置は延長されたといっても、3月末までとなっております。もし再び延長された場合、気候がよくなり外で過ごしやすくなる時期が到来することを考えると、引き続き道路占用許可基準の緩和措置を積極的に推進していただきたいと考えておりますが、理事者の見解はいかがでしょうか。 ◎久保 都市基盤整備部長 今回の道路占用許可につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を受ける飲食店などを支援するために、国土交通省からの通知により、3月31日までの暫定的な緊急措置として実施しておりまして、国道・都道も同様の緩和措置を行っているところでございます。  区としましては、再び延長された場合におきまして、引き続き本事業に取り組んでいきたいと考えております。 ◆三沢 委員 産業経済費の中に、にぎわい・つながりの創出として2億4,128万1,000円計上されております。再延長された暁には、道路占用許可基準の緩和に伴う飲食店等のにぎわい創出にも予算配分されることを期待いたしますが、理事者の見解はいかがでしょうか。 ◎山田 産業経済部長 にぎわい・つながりの創出事業では、予算の多くを商店街チャレンジ戦略支援事業補助金が占めてございます。  当該補助金は、東京都と区による合同事業で、商店街活性化が期待できるイベントなどがその対象となってございます。  したがいまして、道路占用許可基準の緩和が4月以降も再延長された折には、商店街からのご申請に応じて対応は可能と考えてございます。  また、にぎわい・つながりの創出事業では、今後、商店街戦略的PR支援補助金を創設する予定でございます。  店舗の販売促進に係るPRを、商店街や個店グループが戦略的に実施する場合に宣伝広告費を補助する制度でございまして、こちらもテラス営業などをPRする際にご活用いただけるものと考えてございます。 ◆三沢 委員 保健所にお聞きいたします。飲食店で調理した食品を店の前に並べて販売している事例がありました。店内飲食減少を補うために、外で陳列販売したい気持ちはとてもよく分かりますが、適切に温度管理が行われていないと食中毒が発生することも心配しております。今も外での陳列販売は散見されますでしょうか。 ◎伊津野 保健所長 現状でも、少ないながら路上販売の実態はございます。  食品衛生監視員による日々の巡回では、そのような状況を発見次第、適正な温度で販売するよう指導しております。  これから気温が高くなる時期を迎えることから、営業者の方に講習会等で、食品の特性に応じた温度管理を適正に行うよう、普及啓発に努めるとともに、現場での直接指導を重ねながら、食中毒予防を徹底してまいります。 ◆三沢 委員 衛生面で食中毒などを起こしてしまっては、せっかくの緩和措置が台なしになってしまいます。区民の安全を守るために、本制度推進をお願いしておきながら言うのもなんですが、引き続き厳しい目で監督いただきますよう、よろしくお願いいたします。  また、お酒が入るとついつい気が大きくなってしまいトラブルが起こることが想定されます。商店街組合や地元警察との協力が不可欠となりますが、緩和措置後トラブルは起きておりますでしょうか。 ◎久保 都市基盤整備部長 現在では、実施されている商店街の皆様、所轄の警察などからトラブルの情報は入っていない状況でございます。引き続き、大田区商店街連合会を通じまして、各商店街や区民の皆様へ事業を周知いたしまして、事業への理解を図ってまいります。 ◆三沢 委員 近隣住民に迷惑をかけることのないよう、巡回パトロールなど引き続きトラブル未然防止にご協力をお願いいたします。  この質問に絡み、最後の質問です。外での飲食は店内の閉ざされた空間よりは三密を避けやすく、感染拡大抑止に効果的ではありますが、人が集まるという意味では、やはり感染対策を十分に考慮しなくてはなりません。本区として、何かしらの指針がありましたらお示しください。 ◎須川 危機管理室長 国からの啓発ではございますが、感染リスクが高まる五つの場面の一つとしまして、飲食を伴う懇親会、また、大人数や長時間に及ぶ飲食を挙げております。その中で、飲食の場面での感染拡大防止の啓発を行っているところです。  そして、区は、飲食店の皆様に向けまして、東京都が作成した、長時間での会食や大声での会話は避ける、食事中はマスクをするといった、新しい日常の新しい会食マナーを記載した啓発チラシなどを活用して、協力をお願いしているところでございます。  また、店外での飲食につきましても、マスクを外すきっかけとなりますので、区内の感染を抑制する上で、こうした啓発の内容を守っていただくことは極めて重要であると考えております。  引き続き、飲食店及び区民の皆様にも、感染拡大防止対策に取り組んでいただけるよう、呼びかけてまいります。 ◆三沢 委員 今回の国土交通省の道路占用許可基準の緩和を受けて、全国各地で様々な取り組みが行われておりますが、上野の仲町通りにある複数商店街では、街頭に小さなスタンドテーブルをつけて立ち飲みできるようにするプロジェクトを期間限定で実施をしていました。  テーブルや椅子を並べると、規定の車道幅を確保できない狭い通りが多い大田区でも有効な方法だと思っております。  また、湯島の本とメイドの店、気絶のメイドが街頭スタンドを清掃、消毒して回り、美化を呼びかけるのも参考になります。  さしずめ蒲田では、某特撮映画の第二形態に巡回パトロールにご協力いただくのも面白いかもしれません。  道路占用許可基準の緩和は、様々な部署が関わってまいりますので、今回、総括質疑で質問させていただきました。  本制度をどう活用し周知をすれば大田区を盛り上げていくことができるのか、そのような視点で全庁一丸となって取り組んでいただきますことをお願いしまして、次の質問に移ります。  続いて、フリーアドレスの推進について、質問いたします。私はこれまで、アクティビティベースドワーキングABW、フレキシブルオフィス、リモートワークなどなど、用いる単語は若干異なれど、複数回にわたって本件に絡む質問を続けてまいりました。それは大田区のスマートワークをさらに加速、推進することが業務効率を高めるのみならず、不動産関連経費や電気代を抑制し、働く方の生活の質をも向上させることにつながる。そして、働き方改革の推進に寄与すると考えているからにほかなりません。先日、議会事務局と企画経営部の一部環境において、フリーアドレスが導入されました。このことを大変うれしく思っております。しかし、導入することがゴールではありません。あくまでも働き方改革のスタート地点の一つにすぎず、全庁的に進めていくためにしっかりと効果検証を行っていく必要があります。平成30年9月の決算特別委員会のとき、私はサラリーマン時代に勤めていた会社での事例をお話させていただきましたが、ここで改めて紹介をさせていただき、様々な可能性について、少しでもお感じいただければと思います。  その会社では、1990年代の後半から自社製品のシンクライアントをベースにして、フリーアドレスの環境を段階的に構築をしてきました。社員はICチップが埋め込まれた社員証カードを携帯し、そのカードはオフィスやサーバールームへの入退出キーとしてシンクライアント端末へのログインキーとして、プリンター複合機からセキュアにプリントするための認証キーとして活用されました。この社員証カードさえあれば、どのシンクライアント端末からも直前の作業環境をクラウドから画面に呼び出すことができるため、どこでも仕事を継続できました。電車で別オフィスに移動しても、飛行機でメンロパークにある本社に移動しても、座った場所が自分の仕事スペースになりました。育児休暇を取得している社員や、オフィスから遠く離れたところに住んでいる社員たちは、自宅からリモートワークで仕事をしていました。1人で集中して企画書を作成したいときは個室ブース、部署横断的にブレインストーミングをしたいときはスタンディングミーティングスペース、コーヒーやドーナツを楽しみながら雑談したいときはブレイクルームといった感じにオフィス内は整備され、どの場所でもシンクライアント端末を通して仕事ができました。  その結果、組織は縦割りではなく、メンバーが必要に応じて集まったり、解散したりするアメーバのような組織となり、社内の風通しがとてもよくなりました。  私は、今回のフリーアドレス環境導入が縦割り組織の弊害を打破するきっかけにもなると期待しているところでありますが、本区はフリーアドレスを含めた働き方改革のこれまでの取り組みを、どのように振り返り、今後、どのような方向性を思考していくのか、お答え願います。 ◎市野 企画経営部長 働き方改革は、柔軟で多様な働き方を目指すことで、職員一人ひとりの意欲や労働生産性を高め、ワークライフバランスの実現や、事業継続性の確保に寄与するものと期待されてございます。区は、これまで全国に先駆けてスマートワーク宣言を行うなど、働き方改革を着実に推進してまいりました。一方で、新たな日常に対応した働き方への変革が求められることから、区は本年度、テレワークやウェブ会議の推進のほか、フリーアドレスにも取り組んでまいりました。  執務環境の改善は、執務環境の省スペース化や、ペーパーレス化の促進のほか、業務内容に応じた柔軟な働き方の実現に寄与するものであると考えてございます。これまでの検証を通して、紙文書量の削減や、職員同士の情報の共有化が進んだことなどが主な効果と捉えているところでございます。引き続き、これまでの取り組みの効果を検証するとともに、働き方改革を着実に推進することで区民サービスの一層の向上につなげてまいります。 ◆三沢 委員 どうしても、なれた席に座りたくなるのは人間の性だと思います。私もフリーアドレスが導入された当初、毎回違う席に座ることに居心地が悪かったことを覚えています。ぜひ、そのような方々にも寄り添い、気持ちよく仕事ができる環境構築をお願いいたします。  最後に、近未来像について触れたいと思います。私は各地域庁舎や特別出張所にもフリーアドレス環境を構築することによって、区内を移動することの多い職員が出先から職場に戻ることなく、各地域庁舎や特別出張所で作業を継続できるようになり、移動時間を減らせる分だけ、作業効率化や残業時間削減が見込めると考えております。さらには、フリーアドレスは固定席を減らせる分だけスペースを有効活用できるため、本庁舎が手狭のためにアロマスクエアやPiOに移った部署を本庁舎に戻すこともできるようになるかもしれないと考えております。そうすると、不動産賃貸費を大幅に削減することが可能になります。本庁舎建て替えの際にも役立つかもしれません。今回の取り組みには、大きな可能性を秘めておりますので、引き続き、他の自治体や民間企業の先進事例に常にアンテナを張っていただきたいと思います。  続いて、空きスペースの有効活用の流れで増改築を伴わない少人数学級の推進について、質問いたします。  今年2月2日、政府は公立小学校の1学級当たりの上限人数を35人とする、義務教育標準法改正案を閣議決定いたしました。現行は小1のみ35人で、小2から上の学年は40人となっておりますが、2021年度から5年かけて1クラス当たり35名に引き下げていくこととなります。私も大いに歓迎しているところでございます。  しかし、クラス数が増える学校の一部では使っていない部屋などを教室に転用したとしても、教室数が足らないケースが生じることが予想されます。その場合、増改築を視野に入れなくてはならなくなりますが、区内の多くの校舎は老朽化が進んでおり、増改築を行ったとしてもすぐに建て直ししなくてはならなくなる場合もあり得ることを考えると、慎重に進めなくてはなりません。そこで着目したいのが、特別教室など、移動する間に使われていない教室の有効活用です。体育や音楽など、特別教室に移動することで、自クラスの教室が空いている時間があるかと思いますが、大体どれくらいの割合で空いているか、分かりますでしょうか。 ◎玉川 教育総務部長 学習指導要領には、各学年、教科ごとに年間標準時数が示されております。学校によって多少異なりますけれども、各教科の週あたりのコマ数から、自分の教室を空けている割合を算出することができます。これによりますと、小学校低学年ではおおむね12%の割合で自分の教室を空けております。これが中学年では23%、高学年では24%となります。また中学校では、1年生で26%、2年生で24%、3年生で21%の割合で教室を空けております。 ◆三沢 委員 約20%前後ということが分かりました。私が在学していた高校は、私立の学校でしたが、自分の教室はなく、全て移動教室でしたが特段の問題は生じておりませんでした。極論かもしれませんが、小中学校も移動教室にすれば空いている教室を有効活用できるようになり、増改築を行わなくても少人数学級に移行できるかもしれません。移動教室になれない小学校低学年には固定教室を利用いただき、中学年以降からは全て移動教室にするということも考えられます。この自クラスの空き時間の有効活用について、理事者の見解はいかがでしょうか。 ◎玉川 教育総務部長 授業ごとに教室を移動し、固定された教室を持たないシステムは、単位制の高等学校や大学などで見られます。教育委員会といたしましては、次の二つの理由から現状の所属学級の固定された教室が望ましいと考えております。  第1は、子どもの心の安定を図ることでございます。例えば、自分の作品が掲示されている固定された教室を持つことによりまして、心の安定が図られます。特に発達障がいがある子どもにとりましては、毎時間環境が変わることにより情緒が不安定になることがございます。また、子どもたち同士の関わりを深めやすく、対人関係を営む知識、技術を育むことができます。さらに担任が子どもたちとしっかり関わり、小さな変化やいじめを早期に発見しやすいことが挙げられます。  第2は、教室の移動時間数の短縮を図ることでございます。授業間の休み時間は、小学校は5分、中学校は10分しかございませんので、移動の労力や効率化を考慮する必要がございます。  以上の理由から、中学生まで固定された教室が望ましいと考えております。このため、35人学級化に向けましては現状の教室利用を踏まえて対応したいと考えております。 ◆三沢 委員 郊外であれば増改築を比較的しやすいかもしれませんが、大田区をはじめ都心部では、増改築はそう簡単ではないという現実がございます。以前は都道府県教育委員会の定める基準に従って学級編制しなくてはなりませんでしたが、現在は見直されて市区町村教育委員会は地域や学校の実情に応じて弾力的な学級を編制できるようになりました。少人数学級実現に向けて、幅広に可能性を検討いただくことを要望し、次の質問に移ります。  続いて、公衆浴場施設改善助成について、質問いたします。大田区が誇る地域資源は、たくさんありますが、私は銭湯もその一つだと思っていますし、多くの方もそう思っていらっしゃることと思います。私は幼少期は父親と一緒に馬込温泉の少し色目の薄い黒湯につかり、自宅の風呂釜が壊れたときは環7を越えて美奈見の湯まで足を伸ばし、多摩川の花火大会の後は子どもたちと一緒に風情ある六郷温泉を楽しみ、箱根駅伝往路を大田区総合体育館の前で応援した後は、ヌーランドさがみ湯に移動し、外湯やサウナを味わった後に2階の大広間で山登りを引き続き応援するといったように、小さい頃からずっと大田区の銭湯に慣れ親しんできました。  しかし、これもまた皆様ご存じのとおり、大田区内の銭湯の数は年々減り続けてきております。私の幼少期の昭和50年当時は180件近い銭湯がありましたが、現在は37件、約5分の1にまで、その数が減ってしまいました。先に私が名前を挙げた銭湯もヌーランドさがみ湯を除いて、全て店を畳んでしまいました。特に私の住む大森地域周辺では、徒歩圏で行ける銭湯は全滅してしまいました。本当に残念でなりません。  翻って、事項別明細書に目を通しますと、公衆浴場に関係する予算として、公衆浴場施設改善助成と公衆浴場事業助成が毎年計上されております。公衆浴場施設改善助成については、過去5年間、6,360万、5,860万、4,728万、4,728万、そして令和3年度は4,438万と、漸次軽減傾向で推移してきております。  一方、公衆浴場事業助成については、2,862万4,000円、2,570万5,000円、2,570万5,000円、2,620万5,000円、そして令和3年度は2,666万円と、ほぼ横ばいではありますが、やや増加傾向を示しております。  公衆浴場数の減少に伴い、公衆浴場施設改善助成費も減っていることは理解できるのですが、公衆浴場事業助成費が、ここ数年増加傾向を示しているのはなぜなのか、どういったことに使われているのか教えてください。 ◎山田 産業経済部長 公衆浴場事業助成の中には、しょうぶ湯や子ども入浴デーといった入浴事業助成のほか、施設運営費助成や衛生管理助成などの運営助成、さらには浴場利用促進事業などの助成があり、幅広くご利用いただいてございます。  公衆浴場数につきましては、一昨年秋の令和2年度予算要求締切時点では39の浴場がございましたが、昨年秋の令和3年度予算要求締切時には37浴場となり、二つの浴場が減少してございます。こうした中、来年度におきましてはコロナ禍の影響も踏まえ、施設内の衛生管理に対する助成を拡充することなどにより、助成金額が増額しているものでございます。 ◆三沢 委員 公衆事業助成費を増やしているのに公衆浴場の減少に歯止めがかかっていない、その理由をどのようにお考えになっておりますでしょうか。 ◎山田 産業経済部長 事業助成費を拡充するなど、支援を続けていく一方で、公衆浴場を取り巻く環境につきましては、一般家庭への浴室の普及による利用者の減、経営者の高齢化及び後継者不足、燃料費の高騰、施設の老朽化などが挙げられ、こうした背景が減少に歯止めがかからない一因と考えてございます。  こうした中、転廃業を防止し、減少に歯止めをかけるためには、事業助成と施設改善助成の両事業を推進していく必要があると考えてございます。このうち、事業助成では浴場の運営並びに利用促進に関わる事業を、施設改善助成では浴場施設や設備の維持及び更新を図るため、経費の一部を補助してございます。  公衆浴場は、公衆衛生の維持向上に必要な大切な施設であると考えてございます。区といたしましては、公衆浴場の経営の安定化を図り、区民の利用機会の確保に努めるとともに、浴場組合大田支部とも引き続き連携をしながら、今後も公衆浴場の維持、存続に向けて取り組んでまいります。 ◆三沢 委員 大型温浴施設は自由料金、自由競争のため、館内でのサービスや設備や飲食に工夫を凝らし、集客に力を入れることができます。一方、公衆浴場は条例によって料金の上限が決められているため、創意工夫の余地が少ないという意見もありますが、大田区内だけを見回してみても、サービスや設備や飲食を充実させて差別化している公衆浴場も多々ございます。このまま抜本的な見直しを図らずに、公衆浴場事業助成を続けていても、銭湯数の減少に歯止めはかけられないかもしれません。それならば、極論ですが、事業助成をなくしてしまう。もし区は反対に、積極的に設備投資を行っていただけるところにもっと厚く助成することも検討すべきと思いますが、理事者の見解はいかがでしょうか。 ◎山田 産業経済部長 公衆浴場の確保のための特別措置法がございますが、その中では公衆浴場の利用機会の確保に努める地方公共団体の責務が定められてございます。事業助成により利用促進を図るとともに、施設や設備投資により利用環境を整備し、利用者を増やしていくことは法の趣旨に沿うものでございまして、公衆浴場を確保し、減少に歯止めをかけるにあたって重要だと考えてございます。今回のコロナ禍において、区の融資あっせん制度を活用して設備投資を行った浴場もございます。区では、引き続き組合支部等の研究会や意見交換を重ねていく中で、事業を取り巻く環境の維持、向上に取り組んでまいります。 ◆三沢 委員 飲食店は一たん辞めても、ほかの場所で商売を再開できるかもしれませんが、公衆浴場は建物ありきの商売のため、一たん辞めてしまうとほかの場所ですぐに商売再開というのは難しい業界です。銭湯という公衆浴場が、大田区民の福利厚生を支える公衆衛生上の施設として助成金を出しているという建てつけであるならば、その大切な公衆浴場を減らさないために、もっと支援の手を差し伸べるべきと考えます。  私が大田区議会にご縁をいただいてから約6年たちますが、この間にも公衆浴場関連の事業として、民泊との連携、大田区と川崎市、そして大田区と品川区の銭湯をめぐるスタンプラリー、黒湯ビール、銭湯マイスターなどなど、様々な取り組みが展開されてきております。私も黒湯ビールを飲んだり、スタンプラリーを楽しんだりしております。このような楽しめる取り組みにも引き続き助成をしていただきつつ、根本となる設備投資や燃料費助成など、前向きに検討いただきたいと思います。  また、大田区の公衆浴場といったら黒湯は切っても切り離せません。この地域資源を最大限に生かすために、駅前に黒湯の手湯を設けるのも一考と考えております。  私は過去に2回ほど、蒲田駅東口駅前広場で黒湯の足湯を楽しんでいただくイベントに携わりました。多くの方に楽しんでいただけたのですが、靴を脱ぐという動作を嫌う女性が多くいました。黒湯をちゃんと循環しているにもかかわらず、はだしで足をつけることに抵抗感のある方もいらっしゃいました。それが手ならば、抵抗感なく、大田区の黒湯を経験していただけますし、コストも足湯ほどにかからなくなります。手湯をきっかけとして、大田区の黒湯の認知度が上がり、区内の公衆浴場に興味を持っていただけるようになるかもしれません。ぜひ、このような取り組みもアイデアの一つとして検討いただくことを要望し、次の質問に移ります。  最後に、公衆喫煙所の整備推進について質問いたします。  公衆喫煙所に関しては、これまで様々な会派の議員が、様々な角度から質問をしてきております。私もその中の1人でございますが、喫煙者、非喫煙者、それぞれの権利を守る必要があるという観点から、受動喫煙対策を中心に質問させていただき、その中でも駅前公衆喫煙所のボックス型への転換と、民間の力の活用について、要望を続けてまいりました。3年前の同じ予算特別委員会のときには、理事者から京急蒲田駅東口、大森駅東口、大岡山駅、雑色駅前の4か所でボックス型公衆喫煙所の整備を行うとお聞きしたところでございますが、大森駅東口駅前広場については自宅から近いものですから、供用を開始したことを確認しているのですが、ほかの箇所が分からないため、その後の推進状況についてお聞かせ願います。 ◎落合 環境清掃部長 昨日、3月8日から大森駅東口駅前広場、雑色駅前、六郷土手駅前の3か所で午前6時30分から午後9時までの運用で供用を開始しております。 ◆三沢 委員 運用時間は午前6時半から午後9時までとのことですが、そうしますと時間外は喫煙所周辺でたばこを吸い、ポイ捨てされることが想定されます。対策は何かお考えでしょうか。 ◎落合 環境清掃部長 閉鎖式公衆喫煙所の運営にあたりましては、地域の声も踏まえまして、防犯上の観点から夜間の利用はできないようにしてございます。また、吸い殻のポイ捨てでございますが、公衆喫煙所周辺を1日1度は清掃することとし、美化の維持を図ってまいります。さらにポイ捨て禁止などの喫煙マナー向上にも、より一層取り組んでまいります。 ◆三沢 委員 雑色駅前と六郷土手駅前は住宅街に近接しているため、夜間に使用できないようにすることは理解できるところです。しかし、ボックス内で吸えないがために、その周りで喫煙される方が増えてしまい、逆に防犯上マイナスになることも考えられます。今後の利用実態を注視していただきますよう、よろしくお願いいたします。  また、大森駅東口駅前広場については、商業地域の真ん中に位置していることから、24時間利用できる形にしてもよいのではないかと思います。こちらにつきましても利用実態を確認した上で、必要に応じて供用時間の変更を柔軟にご対応いただきたいと思います。  続いて、こちらもかねてから要望させていただいております民間喫煙所の推進について、質問いたします。大田区内では、平和島駅前のたばこ屋が運営している民間喫煙所がありますが、そのほかの場所では、なかなか数が増えないでおります。大田区以外に目を転じても、ひと頃はやった有料喫煙所はビジネスモデルが成り立たないからなのか、それほど数は増えていない状況に見受けられます。しかし、東京都の助成とともに本区も助成することで、1か所でも多くの喫煙所を開設することは、多くのステークホルダーにとって有益なことだという思いに変わりはありません。  そこでお聞きいたします。区設の公衆喫煙所だけでなく、民間でも喫煙所の設置を推進すべきと考えますが、理事者の見解はいかがでしょうか、 ◎落合 環境清掃部長 民間事業者等の公衆喫煙所設置につきましては、平成31年4月1日から大田区公衆喫煙所設置等助成要項を施行し、必要な要件を満たす場合には設置費用等について助成の申請が可能となってございます。  現在の状況でございますが、蒲田五丁目のアロマスクエア裏手に公衆喫煙所を設置し、今月末までに供用開始予定の申請が1件ございます。区といたしましては、分煙環境の推進に向け、助成制度を活用いただけるよう今後も広報などで周知をしてまいります。 ◆三沢 委員 アロマスクエア裏にある建物は、自動販売機が複数台設置されていることから、アロマスクエアで働いているサラリーマンを中心に多くの方が飲み物を購入するついでに、建物の内外でたばこを吸われる光景が続いておりました。それを見かねた我が会派の犬伏委員は、路上喫煙を取り締まるべく尽力された場所でもあります。東京都と大田区の助成のもと、JTも協力して民間喫煙所が整備されることを大変うれしく思っております。今後の展開はいかがでしょうか。 ◎落合 環境清掃部長 大田区屋外における喫煙マナー等に関する条例の目的にございますように、喫煙する人としない人が共存できる地域社会の実現に向けて、区としましても分煙環境の整備を進めてまいります。その際には民間事業者等に向けた講習喫煙所設置助成制度の活用を促すとともに、喫煙マナーの向上に、より一層取り組んでまいります。 ◆三沢 委員 コロナ禍の影響で公衆喫煙所の中の密を避けるため、喫煙所周辺でたばこを吸う方が増加しております。これでは喫煙所をつくった意味がなくなってしまいますし、共存できる社会の実現からかけ離れてしまっています。私も昔はヘビースモーカーだった建前、あまり厳しく言いたくない気持ちもありますが、受動喫煙防止、そして環境美化の観点から、引き続き取り締まりにもご尽力いただきますことをお願いし、私からの質問を終わります。 ○湯本 委員長 会議が長時間にわたりましたので、しばらく休憩いたします。                午後 2時36分休憩                午後 3時00分再開 ○湯本 委員長 ただいまから、予算特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、総括質疑を行います。  それでは、エールの質疑に入ります。庄嶋委員の質疑に際しまして、資料の使用を許可いたしましたので、ご了承願います。 ◆庄嶋 委員 エールおおた区議団、庄嶋孝広です。明後日は3月11日です。東日本大震災と福島第一原発事故から10年を迎えます。犠牲になられた方々、ご遺族の方々、今もなお不自由な生活を送られている方々に思いをいたしながら、会派を代表して総括質疑を行います。  令和3年度の一般会計の予算総額は2,937億7,761万1,000円、前年度比2.2%の増です。23区のうち、過半数の12区が前年度比マイナスの予算を組む中で、本区はプラスの予算となっております。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、令和2年度から令和4年度の3年で、約580億円の財源不足が見込まれる中で立てられた予算案でもあります。
     我が会派は、福祉、保健、教育などに関心のある議員が多いため、総括質疑ではそれ以外の分野を扱いたいと思います。金額の増加が目立つ部分を中心に質疑をしてきたいと思います。  まず令和3年度予算案の第一印象ですけれども、ICT活用の事業が目立つということであります。大田区情報化推進計画が策定されるタイミングであることですとか、新型コロナウイルス感染症への対応が求められていることによると思います。  ICT活用は区民の利便性向上、行政の業務改善につながるものであると思いますけれども、区政の区民参加を重視している我が会派としては、区民が参加する会議との関連で取り上げたいと思います。  そこで、まず伺います。今年度はコロナ禍のため、区政にかかる様々な会議が中止や書面開催などを余儀なくされたと認識しておりますが、どのような状況でありましたでしょうか。 ◎須川 危機管理室長 区は、新型コロナウイルス感染症を受けまして、新型コロナウイルス感染症対策本部会議におきまして、区民の生命、安全を守ることを最優先に令和2年度における区主催のイベント、式典などを、原則として中止とする決定をいたしました。その上で、区が主催する区民の皆様が参加する会議や、庁内での会議などを含め、感染拡大防止の観点から、どのような実施方法が適切かを十分検討しまして、中止、また規模の縮小、書面での開催、またウェブ会議への変更などの対応をしてまいりました。  いずれの場合にも、その会議の趣旨や目的を損なわないよう、また円滑に進められるように工夫をしてまいりました。 ◆庄嶋 委員 今、ウェブ会議の話も出たのですけれども、私が委員を務めております他自治体の会議があるのですが、そちらのほうも今回の緊急事態宣言の発出によりまして、急きょオンラインに変更されたということもありました。当然、オンラインに対応できないという委員の方もいらっしゃいますので、その場合は役所に来て、役所の端末から参加すると、そういう対応を取ったということもあります。  大田区でも、有識者委員が中心の会議ではあるのですけれども、空港臨海部グランドビジョン専門部会、こちらのほうがオンライン併用で開催されるということでしたので、傍聴をさせていただきました。  そこで伺います。今年度、大田区でもいろいろな取り組みをされてきたとは思うのですけれど、そういった取り組みを踏まえまして、審議会、説明会、ワークショップなど、対話型の区民参加の会議でも双方向のウェブ会議を活用できるように備えておくべきと考えますが、いかがでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 社会状況の変化に伴い、地域課題が複雑化、多様化する中、地域課題を解決するためには区民一人ひとりが区政に参画することは非常に重要でございまして、ICTの積極的な活用は、区民参画をさらに促進する仕組みの一つであると捉えているところでございます。  会議などに関してでございますが、区ではウェブ会議システムの活用を推進しておりまして、今年2月に区が事務局となって開催した、おおたクールアクションのつどいでは、参加型に加え、オンラインでの配信も実施し、好評をいただいたところでございます。  ウェブ会議システムは、ウェブ上での対話型の区民参加を実現するほか、感染の拡大防止や会場に行くことが難しい方への参加機会の提供のほか、移動時間の節約などの効果も期待できるところでございます。  区は引き続き、区民参画に資する情報化施策を積極的に進めてまいります。 ◆庄嶋 委員 ぜひとも、よろしくお願いいたします。やはり話すことで、よいアイデアとは生まれてきます。そして、区民自ら取り組む意欲というのも高まってきます。特に地球温暖化防止ですとか、脱炭素社会づくりといったテーマ、そうだと思います。  新年度は、ぜひとも感染状況が厳しい場合、書面会議に安易に流れてしまうのではなくて、ウェブ会議に切り替えられるよう備えておいていただきたいなと思っております。  次に、予備費について伺います。今年度と新年度の当初予算を比べたときに、主要な款では衛生費が43.1%と最も高い伸びとなっていますが、予備費を含めますと133%ということで、予備費の伸び率が断トツで高いわけです。  もっとも、既にこの2年間、予備費の果たす役割というのは増してきていると思います。令和元年度は台風15号、19号への対応で、当初の3億円から5億円が増額補正されまして8億円。そして、新型コロナウイルス感染症に対応した令和2年度は、当初の3億円から、まず7億円が、次に2億円が増額補正されて12億円となりました。  そこで伺います。最終補正後、12億円となりました令和2年度の予備費を、どのような考え方で活用してきましたでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 予備費は自然災害や感染症など、不測の事態が生じた際、柔軟で機動的な財政運営を行うために必要な予算でございます。今般の感染症対策におきましては、8次にわたる補正予算の編成のほか、予備費などを活用し、感染拡大防止への対応をはじめ、区民生活と区内経済を守り、子どもたちの学びを補償する対策を、機を逸することなく迅速かつ的確に講じてまいりました。  予備費活用の具体的な内容につきましては、マスクや消毒液、アクリルパーテーションなど、感染防止対策物品の購入。感染症患者の移送や検体の運搬、医療費の負担、相談窓口の体制強化、ワクチン接種にかかる準備経費など、必要な経費に充用いたしました。  予備費の執行額は、2月末現在、8億8,000万円余となっており、昨今の感染の状況等に鑑み、第8次補正予算にて、さらに2億円の増額を計上したところでございます。今後も財政規律の確保に留意しつつ、時機を失することなく、必要な施策を講じるため、適切に対応してまいります。 ◆庄嶋 委員 いろいろ、この1年間を思い出しますと、そういったこともあったなということを感じておりました。  これまで予備費は、基本的にいつあるか分からない解散総選挙に備えて、3億円を計上するというのが常であったかなと思います。次年度に関しましては、解散がなくても任期満了を迎えるということもありまして、新年度予算には総務費の中の選挙費のほうに、衆議院議員選挙の部分があらかじめ計上してあると見ております。その意味で、当初予算の予備費7億円というのは、純粋な予備費と言えるのでないかと思います。  そこで続けて伺いますが、この7億円という規模の予備費は、どのような考え方によるものでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 予備費は、地方自治法の規定により、歳入歳出予算に計上しなければならないとされており、区の当初予算におきましては平成25年度以降、3億円を計上してまいりました。  令和3年度予算におきましては、新型コロナウイルス感染症の終息が不透明な状況におきまして、令和2年度における予備費の重要実績を十分勘案し、想定し得る経費を各事業に計上するとともに、令和元年度に生じた自然災害での予備費充用状況も踏まえ、予備費7億円を計上することといたしました。 ◆庄嶋 委員 分かりました。繰り返しになりますけれども、この2年、予備費は非常に重要な役割を果たしてきたと思っております。緊急的な対応ですとか、国や東京都が予算措置したお金が入ってくるまでのつなぎですとか、そういった形で必要な使途であったと考えております。ただし、予備費はフリーハンドではございませんので、引き続き、財政民主主義の観点から説明できるような活用の仕方をしていただきたいと思います。  さて、令和2年度は、新型コロナウイルス感染症によりまして、松原区政の2大看板であります地域力と国際都市の両方が脅威にさらされた1年であったと言えるかと思います。地域力に関しましては、自治会・町会をはじめとしまして、地域活動団体の定例会合ですとか、イベントなどが多く中止されました。  そこで、まず伺います。新型コロナウイルス感染症の影響をもろに受けました令和2年度の地域活動の状況を、どのように捉えていらっしゃいますでしょうか。 ◎今井 地域力推進部長 新型コロナウイルス感染症拡大という未曽有の事態は、地域活動に多大な影響を及ぼしました。活動が大きく制限される中においても、地域の団体は懸命に活動の継続を模索しており、区は地域力が途切れることのないよう、支援していく必要があります。  そこで今年度、区は新型コロナウイルス感染症対策区民協働事業を補正予算措置し、自治会・町会やNPOなどへの助成や、東邦大学との連携協定に基づく地域活動団体に対する感染症対策研修の実施や、活動ガイドラインの作成支援などを行ってまいりました。  地域の皆様には、これらの区の支援も活用していただきながら、例えば、感染症対策を講じての防災訓練や、ウォーキングイベント。友好都市に実際は訪問せずに、行ったつもりツアーと称してPR動画を鑑賞しながら地域の名産品を手に取って楽しむ企画の実施など、様々な工夫をしていただき、こうした事例は18区で共有化しました。しかしながら、全体としては厳しいものであったと認識しております。 ◆庄嶋 委員 私自身も様々な地域活動に携わっておりますけれども、コロナ禍への対応には非常に差があったと感じております。PTAやおやじの会、NPOなどでは、定例会や講座などにオンライン会議を導入して、文化として定着したというところもあります。  また、ポールウォークの会など、もともと外で活動していた団体は、コロナ禍での健康づくりの需要ということもありまして、三密を避けながら活動を再開しております。  一方で、自治会・町会、青少対などは年齢層の高いメンバーがいらっしゃるということもありまして、通常の活動がストップしたままということも多いです。答弁にもありましたけれども、区も東邦大学との連携で、自治会、町会や青少対向けの感染症対策講座などを実施したことは承知しております。  私も青少対の立場で受講しましたけれども、活動継続のヒントが伝わる内容で、非常に評価しておるところでございます。  そこで伺います。コロナ禍が続く、令和3年度の地域活動の状況を、どのように想定して、どのような支援を行うことが求められていると考えていらっしゃいますでしょうか。 ◎今井 地域力推進部長 新型コロナウイルス感染症の終息は当面見えない状況にあります。令和3年度においても、先ほど申し上げたコロナ禍を踏まえた地域イベントを実施、継続するとともに、大きな状況の変化にも負けないつながりづくりや環境整備が求められております。  そこで区は、今後若い世代への活動参加促進につながるようなICTを活用した情報発信や、ウェブ会議の推進、誰もがいつでもどこでも参加できるオンライン講座の開催など、新たな日常を意識した行政運営と地域づくりを進めてまいります。  一方、デジタル化の進展に伴い顕在化する情報格差の解消や、地域団体のデジタル環境の整備など、新たな対策も重要です。このため、区民のICTリテラシー向上のための講座の実施や、地域団体へのICT環境基盤整備支援など、誰一人取り残さない取り組みを強化してまいります。  地域社会がコロナ禍を契機として変容を求められる今こそ、地域の声を聞きながら、地域活動が途切れず、つながりが保たれるよう支援してまいります。 ◆庄嶋 委員 今日、ほかの委員からも話が出ていますが、ワクチン接種もまだまだこれからということもありますので、コロナ禍の終息の時期が確実でない中、地域のつながりが途切れないようにすることが大事だと思います。先ほど出ました東邦大学との連携講座で学んだことが、どう生かされたかを検証したりですとか、引き続き、コロナに負けないで取り組む活動事例、こういったものも集めて、提供していっていただけるといいかなと思っております。  次に、令和3年度予算では、中長期的なテーマであります公共施設の整備にかかる予算も目立ちます。複数の公共施設の建設工事が進んでおりまして、令和6年度が整備のピークになると理解しております。その複合施設のトップを切りまして、旧大田区民センター跡地に現在建設中の新蒲田一丁目複合施設、令和2年12月に条例が制定されまして、令和3年度内には竣工、そして令和4年度にオープンというスケジュールで整備が進んでおります。  複合化した施設の運営を考えるために、(仮称)大田区地域コミュニティセンター検討会というのを設けて検討してきたと聞いております。単なる施設の寄せ集めではなくて、施設間の相乗効果を発揮するには、運営が鍵となると考えます。  そこで伺います。この検討会では、これまでどのような検討を行ってきましたでしょうか。 ◎今井 地域力推進部長 新たな複合施設を大田区民センター跡地に整備するにあたり、あらゆる世代が活躍する地域づくり、地域課題の解決に貢献できる施設運営を目指し、(仮称)大田区地域コミュニティセンター検討会を設置いたしました。検討会では、保育園、中高生ひろば、地域包括支援センターや集会室などの活動の場など、それぞれの機能が役割を果たすことはもちろん、各機能が連携することにより生み出される相乗効果について議論してきました。  また、地域コミュニティが活性化され、地域全体へ効果を波及させるためには、施設の利用者や団体が施設外で活動をする団体、近隣の施設などと交流を深めることが重要であり、その方法について検討してまいりました。  そうした議論を経て、新蒲田一丁目複合施設の運営にあたっては、施設間や施設と地域を結びつけるコーディネート機能を持たせることは重要であるとの方向性が示されました。 ◆庄嶋 委員 今おっしゃった、やはりコーディネート機能が重要だと思うのです。ただ、コーディネートというのはスキルというだけではなくて、大田区の地域に詳しいことですとか、地域のキーパーソンを知っているといったことが重要になってきます。各施設の関係者が協議をしまして、地域情報の共有を図ることなども大事だと考えております。新蒲田一丁目複合施設のオープンまでは、まだ1年ほどありますので、コミュニティセンター検討会での検討を生かして準備を進めることが大事だと思います。  そこで伺いますが、条例にうたっております各施設が連携し、相乗効果を高める、そういった地域づくりの拠点として出発できるように開設に向けてどのような取り組みを行っていきますでしょうか。 ◎今井 地域力推進部長 検討会で示されたコーディネート機能とともに、生涯学習をキーワードに、学びを通して人と人、団体がつながることで連携を生み出すといった、新蒲田一丁目複合施設の意義を理解し、その効果を十分に発揮させることができるノウハウを持った事業者の選定を進めてまいります。  また、区、指定管理者、各施設の運営者で運営上の課題を検証、改善し、施設の価値を高めていくための運営協議会の立ち上げや、地域住民や利用者の声を施設運営の改善に反映させるための仕組みを構築してまいります。さらに、新たに生まれる複合施設のコンセプトや利用方法などを利用者や地域の方々に知っていただくために、効果的に情報を発信してまいります。  様々な世代が利用し、相互に学び、つながることで地域ににぎわいを創出し、地域課題の解決に貢献できる拠点となるよう準備を進めてまいります。 ◆庄嶋 委員 今おっしゃったようなことを、ぜひ進めていただければと思います。  新蒲田一丁目複合施設がうまく運営できるかどうかというのが、今後も続きます複合施設の試金石になると思っております。しっかり準備を進めてください。  また、コーディネートには物理的な環境も重要だと思います。気軽に立ち寄れて、異なる年代や特技を持った利用者が交流を図れるような空間的な工夫もお願いしたいと思います。  次に、松原区政のもう一つの看板、国際都市、これを代表します羽田空港に近接しまして、昨年7月に羽田イノベーションシティが開業をいたしました。本来であれば、東京オリンピック・パラリンピックに合わせて大々的にオープンしまして、世界とつながるまちとなることを思い描いていたと考えますが、新型コロナウイルス感染症の世界的流行で厳しい船出となったと考えております。それでも、羽田に新しいまちができたことは、区民の間で話題になることも多く、実際に行ってみたという話ですとか、行ってみたいけど何があるのという話、そういったこともよく出ます。  そこで伺います。羽田イノベーションシティは区民の注目度も高いと思うのですが、どのような場所かと問われると説明しづらいというところがあります。どのような魅力があると考えますでしょうか。 ◎白鳥 空港まちづくり本部長 羽田イノベーションシティでは、日本のゲートウェイである羽田空港に近接する立地の優位性を生かし、区内はもとより、国内外から来訪される多くの方々に日本文化のすばらしさに触れていただいたり、区内ものづくり企業と先端産業のマッチングなどを通じた経済波及を創出するなど、新産業創造、発信拠点の形成を公民連携の下、進めております。具体的には、自動運転バスへの乗車やロボットのショーケーシングなどを目の当たりにすることで、近未来を感じていただくとともに、空港が一望できる足湯や、日本文化を題材にしたイベントの開催、臨場感ある音楽の発信など、先端産業と文化産業の融合を楽しむことができることが、このまちの魅力と考えます。  引き続き、公民連携の下、様々な取り組みを行うとともに、こうした動きを広く発信することで、このまちの認知度向上に努めてまいります。 ◆庄嶋 委員 先端産業、文化産業というキーワードがあったかと思いますが、それがやはり分かりやすく区民に伝わっていくことが大事だと思います。私自身もたびたび出かけておりますけれども、今、お話の中にあったショーケーシング機能というのですか、昨年9月にオープニングイベントでやりましたが、ロボットですとかモビリティに触れるということで、近未来的な雰囲気を体験することができました。  また昨年11月には、全国の信用金庫ネットワークが主催します、2020よい仕事おこしフェアが開催をされております。東日本大震災の復興応援というテーマで始まりましたフェアが区内で開催されたということで、感慨深いものがありました。  今日、実はタブレットに配信をしているものがあるので、ご覧いただきたいのですが、あまり詳しく説明する時間がないので、そのよい仕事おこしフェアの様子を見ていただければと思います。少しだけ説明しますと、昨年、私は実はこの場、予算特別委員会の款別質疑の中でオリパラ大会の文化事業として、朝の連続テレビ小説エールのモデルであります福島市出身の作曲家、古関裕而先生の楽曲を活用するということを提案しましたけれども、ステージイベント、当日、このよい仕事おこしフェアのステージイベントの古関メロディで日本を繋ごうプロジェクト発表会というところで、それに近いことが実現したかなと思っております。古関先生作曲の全国の校歌ですとか社歌、こういったものをアーカイブするということも行われたのですが、区内では雪谷中学校がそれにあたりますが、雪谷中学校の生徒たちが歌う映像、こちらも上映されまして、それが縁で古関先生直筆の校歌の楽譜が雪谷中学校に寄贈されたと伺っております。  すみません、つい長くここの部分を話し過ぎてしまったのですが、大田区が保有する土地に民間企業9社による特定目的会社が建設して運営しております、この羽田イノベーションシティ、これがどのようなまちになっていくのかということが今後問われるわけです。公民連携の取り組みのモニタリングの必要性については、令和2年、第4回定例会の一般質問でも取り上げたところです。  そこで伺います。羽田イノベーションシティは新しいタイプの公民連携による取り組みでありまして、公の施設の指定管理とは異なる面がありますが、モニタリングにどのように取り組んでいきますでしょうか。 ◎白鳥 空港まちづくり本部長 公民連携事業では、事業を進めるにあたって、民間事業に任せるだけではなく、公と民が役割分担をした上で互いに連携、補完し合うことが求められます。そこで、第1期事業におきましては、従来からの施設の管理、運営状況の各員に加え、成果の分析や改善点の提言まで区が行い、民間事業者との活発な議論を誘発することで、公と民が手を携えながらまちの発展につなげていく工夫をしております。  このように効果測定に基づく提案など、従来のモニタリングからさらに踏み込むことで、それぞれの主体が有する知識、ノウハウ、資源を最大限に生かす事業の推進が可能になるものと考えております。  以上のような公民連携ならではのモニタリングを通じて、公民両方のよさを出し合い、地域経済の活性化など、区民の皆様への波及効果の創出につなげてまいります。 ◆庄嶋 委員 地域経済の活性化といったことがあるかと思いますが、まだまだ区民には分かりづらい面もある取り組みかと思いますので、ぜひとも区民目線を取り入れたモニタリングを行っていっていただきたいと思います。  そして、今日、岡元委員が取り上げられたのですけど、中止された中学校の修学旅行に代わる企画として、羽田イノベーションシティも組み込んだ校外学習が今週行われております。教育も含めて、区民に役立つ活用もお願いしたいと思います。  今、教育のことに触れましたので、次は少しだけ教育について伺います。1年前の一斉臨時休業で在宅学習になった場合の学びの保障ということが課題となりました。令和2年第2回定例会で行った代表質問に対して、教育長からもさらなる在宅での学習環境の充実が必要であると、改めて認識した旨の答弁がありました。その後、決算特別委員会では新型コロナウイルス感染者の濃厚接触者となって2週間の出席停止となった児童・生徒への学びの保障も取り上げました。  そこで伺います。一斉臨時休業、濃厚接触者の出席停止など、在宅学習における学びの保障の課題があらわれた一年だったと考えますが、改めて認識を伺います。 ◎玉川 教育総務部長 各学校では、臨時休業や濃厚接触者となったことによる出席停止などの際に取り組むべき学習につきまして、ユーチューブでの動画配信等を通して支援を行ってまいりました。しかし、1人1台のタブレット環境が整備されていなかったことなどから、学びを進めることや、子どもたちの状況を把握し、つまずきや疑問等に対して十分な指導、助言をすることに課題が残りました。  今後は、オンライン学習などにより、学びを止めないよう、在宅におけるきめ細やかな学習指導の充実を図ってまいります。 ◆庄嶋 委員 ぜひともお願いしたいと思います。タブレット端末のほうも、小学校ではこの2月に1人1台配付されまして、我が家の小学生の子どもも持ち帰ってまいりました。中学校でも5月末には1人1台配付されると聞いております。  本定例会での他会派の代表質問を取り上げて恐縮ですが、その中でも教育長の答弁で、新年度は家庭においても学びが進められるICT環境を整備するとの力強い言葉がありました。  そこで伺いますが、いよいよ1人1台、タブレット端末の配備、区立小中学校でも完了します。このことで、在宅学習における学びの保障、どのように変わっていきますでしょうか。 ◎玉川 教育総務部長 今後、1人1台のタブレット端末及び家庭のオンライン環境の整備完了によりまして、臨時休業などの際には教員がチャット機能を通して、家庭で取り組む学習コンテンツを指示したり、子どもの学習状況をリアルタイムに把握しながら、双方向型のオンライン授業が実施できるように準備をしているところでございます。  先月には、モデル校として研究してきたオンライン学習の実践的な成果を各校のICT活用推進リーダーに対して中間報告をしたところでございます。  こうした取り組みを通じて、今後臨時休業や出席停止になった際にも、児童・生徒の学習を止めることなく、学びの保障を確実に行えるよう、ICTの活用を進めてまいります。 ◆庄嶋 委員 コロナ禍の収束時期が確実でない中ですので、在宅学習となった場合に一層備えていただきたいと思います。併せて1人1台という意味で、不登校状態にある児童・生徒の学びの保障にも、どのように活用できるかの研究も進めていただきたいと思います。  それでは、最後に予算案におけるSDGs、持続可能な開発目標について伺いたいと思います。昨日、全ての常任委員会に報告されました新おおた重点プログラム令和3年度版では、SDGsの17目標を各事業に関連させる記載の仕方となっていることが分かりました。  一方、令和3年度予算案ではSDGsの関わりが明確でないのではないかなと思います。予算案の概要におきましては、環境産業まちづくりのところでSDGsに貢献という表現が出てくるのみですし、個別の事業を見ましても、(仮称)大田区環境アクションプランの策定で、SDGsが若干触れられている程度です。  そこで伺います。SDGsは、言うまでもなく環境分野だけの目標ではありませんけれども、SDGsの考えは予算案全体に反映されていると考えてよろしいでしょうか。 ◎市野 企画経営部長 SDGsに掲げられた目標を達成していくためには、様々な主体が自らの強みを生かして取り組み、有機的に連携していくことが重要とされてございます。区は、区政運営の根幹として、地域の様々な主体が連携、協働していく地域力や日本のゲートウェイとして地域の力を結集し、新たな時代を切り拓いていく国際都市の考え方を掲げてございまして、その取り組みは、まさにSDGsの考え方と軌を一にするものであると考えてございます。  したがいまして、今回、令和3年度版、新おおた重点プログラムを策定する際には、区としてSDGsの推進に取り組むことを掲げ、各施策、各事業ごとに関連するSDGsの目標を設定することで、SDGsの普及啓発と目標達成に向けた具体的な取り組みを示しているところでございます。  SDGsの目標を念頭に置きまして、引き続き、持続可能な行財政運営を推進することで区民生活と地域経済の向上を図ってまいります。 ◆庄嶋 委員 本来であれば計画あっての予算ということになりますので、SDGsと各事業を関連づけた新大田重点プログラムに基づいて予算執行、事業に取り組む令和3年度であってほしいと要望しておきます。  結びになりますけれども、昨日3月8日は国際女性デーでございました。SDGsの17の目標のうち、日本で最も達成されていないのが目標5のジェンダー平等とされます。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会をめぐる女性蔑視発言もありました。コロナ禍の中で女性の経済的困窮や生きづらさもあらわれております。エールおおた区議団は、女性議員が6割、男女ほぼ同数の会派として、この後の款別質疑におきましても人権の観点から、光の当たりにくい、声の上げにくい課題を取り上げていく予定であります。そのように予告をいたしまして、エールおおた区議団の総括質疑を終わらせていただきます。 ○湯本 委員長 以上で総括質疑を終結いたします。  次に、第1号議案 令和3年度大田区一般会計予算の審査を行います。  質疑は、先に決定いたしました申合せ事項に基づき、会派ごとに通知に従い、歳入については一括で、歳出については各款単位で行い、各会派の残り時間を電光表示いたします。また、質疑は各款単位で適宜、会派間で交代しながら進めてまいりますので、ご協力をよろしくお願いいたします。  それでは、歳入の審査に入ります。理事者の説明を求めます。 ◎田村 財政課長 それでは、大田区各会計予算事項別明細書をご覧いただければと思います。38ページをお開きください。一般会計の歳入でございます。  第1款特別区税、本年度754億5,173万3,000円で、前年度比16億5,698万円の減でございます。  第1項特別区民税、本年度702億7,172万3,000円で、19億608万4,000円の減です。  第2項軽自動車税、本年度3億5,541万5,000円で、2,717万4,000円の増でございます。  40ページに移ります。第3項特別区たばこ税、本年度48億1,556万7,000円で、2億2,663万4,000円の増でございます。  第5項入湯税、本年度902万8,000円で、470万4,000円の減です。  第2款地方譲与税、本年度22億3,400万1,000円で、2,400万円の増です。
     第1項自動車重量譲与税、本年度7億4,800万円で、1,900万円の減です。  第2項地方道路譲与税、本年度1,000円で前年度と同額です。  第3項航空機燃料譲与税、本年度11億7,200万円で、5,900万円の増です。  第5項地方揮発油譲与税、本年度2億5,700万円で、1,600万円の減です。  第6項森林環境譲与税、本年度5,700万円で、前年と同額です。  42ページに移ります。第3款利子割交付金、本年度2億1,400万円で、1,100万円の減です。  第4款配当割交付金、本年度10億8,800万円で、7,200万円の減です。  第5款株式等譲渡所得割交付金、本年度11億7,900万円で、5億3,700万円の増です。  第6款地方消費税交付金、本年度164億3,300万円で、2億7,500万円の減です。  第7款自動車取得税交付金、本年度1,000円で、前年度と同額でございます。  第8款環境性能割交付金、本年度2億1,300万円で、4,800万円の減です。  44ページに移ります。第9款地方特例交付金、本年度5億1,700万円で、500万円の増です。  第10款特別区交付金、本年度670億5,600万円で、28億1,000万円の減です。  第11款交通安全対策特別交付金、本年度5,500万円で、103万9,000円の減でございます。  第12款分担金及び負担金、本年度24億367万3,000円で、4,154万3,000円の減でございます。  46ページに移ります。第13款使用料及び手数料、本年度80億2,069万6,000円で、3億6,242万3,000円の減でございます。  第1項使用料、第1目総務費使用料から、52ページ、第8目教育使用料まで合わせまして、本年度68億7,634万3,000円で、3億3,627万3,000円の減でございます。  第2項手数料、第1目総務手数料から58ページまで飛びまして、第7目教育手数料まで合わせまして、本年度11億4,435万3,000円で、2,615万円の減でございます。  次に、第14款国庫支出金、本年度578億1,183万8,000円で、50億3,802万1,000円の増でございます。  第1項国庫負担金、第1目福祉費負担金から、第3目教育費負担金まで合わせまして、本年度526億3,740万2,000円で、45億4,220万8,000円の増でございます。  60ページに移ります。第2項国庫補助金、第1目福祉費補助金から、62ページ、第8目総務費補助金まで合わせまして、本年度51億6,202万6,000円で、5億332万8,000円の増でございます。  第3項国庫委託金、第1目総務費委託金から、第3目衛生費委託金まで合わせまして、本年度1,241万円で、751万5,000円の減でございます。  第15款都支出金、本年度223億8,672万1,000円で、4,493万7,000円の増でございます。  第1項都負担金、第1目福祉費負担金から64ページ、第4目教育費負担金まで合わせまして、本年度118億3,805万2,000円で、3億4,981万9,000円の増でございます。  第2項都補助金、第1目総務費補助金から68ページまで。第8目環境清掃費補助金で合わせまして、本年度85億1,131万5,000円で、2億6,195万5,000円の減でございます。  第3項都委託金、70ページ、第1目総務費委託金から、第6目教育費委託金まで合わせまして、本年度20億4,235万4,000円で、4,292万7,000円の減でございます。  第16款財産収入、本年度12億1,429万7,000円で、2,474万7,000円の減でございます。  第1項財産運用収入、第1目財産貸付収入から74ページ、第3目基金運用収入まで、合わせまして本年度11億9,608万3,000円で、4,283万3,000円の減でございます。  第2項財産売払収入、第1目不動産売払収入と、第3目物品売払収入、合わせまして、本年度1,821万4,000円で、1,808万6,000円の増でございます。  第17款寄附金、本年度4億2,321万7,000円で、567万7,000円の減でございます。  第18款繰入金、本年度179億6,724万円で、17億3,881万3,000円の増でございます。  第1項基金繰入金、第1目財政基金繰入金から76ページ、第32目子ども生活応援基金繰入金まで合わせまして、本年度179億5,730万6,000円で、17億2,888万円の増でございます。なお、財政基金繰入金につきましては、本年度117億9,291万2,000円で、33億6,988万1,000円の増となります。  次に、78ページをご覧ください。第2項特別会計繰入金、第4目介護保険特別会計繰入金と第6目後期高齢者医療特別会計繰入金を合わせまして、本年度993万4,000円で、993万3,000円の増でございます。  第19款繰越金、本年度20億円で、前年度と同額でございます。  第20款諸収入、本年度101億919万4,000円で、27億1,078万7,000円の増でございます。  第1項延滞金、加算金及び過料、本年度4,804万円で、7,332万8,000円の減でございます。  第2項特別区預金利子、本年度23万8,000円で、10万2,000円の減でございます。  第3項貸付金元利収入、第2目土地開発公社貸付金収入から80ページ、第15目大森赤十字病院改築支援貸付金元利収入まで、合わせまして本年度58億9,534万円で、28億7,1902万6,000円の増でございます。  第4項受託事業収入、第1目福祉費受託収入から82ページ、第8目総務費受託収入まで、合わせまして本年度16億4,059万8,000円で、1億9,226万8,000円の増でございます。  第5項受託事業収入、本年度3億円で、1億円の増でございます。  第6項事務処理特例交付金、本年度5億200万円で、1億8,300万円の減でございます。  第7項雑入、第1目延滞処分費から84ページ、第14目雑入まで、合わせまして17億2,297万8,000円で、1億9,697万7,000円の減でございます。  次に、86ページをご覧ください。第21款特別区債、第1項特別区債、第2目産業経済債から88ページ、第8目環境清掃債まで、合わせまして今年度70億円で、16億円の増でございます。 ○湯本 委員長 歳入には共産、フェア民から通知がありますので、順次これを許します。  それでは、共産、質疑願います。 ◆黒沼 委員 事項別明細書87ページ、雑入。アロマ地下駐車場納付金、1億956万1,000円について、伺います。  昨日の総務財政委員会資料、OTAシティ・マネジメントレポートで、区長は区を経営する主体といい、大田区における新たな自治体経営の方針についてでは、職員一人ひとりが経営感覚を養いと位置づけています。  ところで、地方自治法は第1条で地方公共団体の運営と記し、第1条の2で住民の福祉の向上のため、第2条の14で最小限の費用で最大の効果を上げると行政運営を位置づけ、経営という用語は使われていません。このように行政運営とは、無駄のない効率化を目指します。しかし、経営とは利益を目指します。つまり民間経営と同じ利益追求、あるいはもうけることです。自治体が株式会社化していると言えます。その典型が、アロマ地下駐車場経営です。区営駐車場ですが、アロマ駐車場はアロマビルの基礎としての役割を果たしており、日本生命株式会社、日本生命に貢献しています。そして運営では、指定管理者の株式会社パーク24、株式会社タイムズ24の収益に貢献しながら、タイムズ社、パーク社と大田区で利益を分け合ってきました。2019年、1億1,518万円、2018年、1億767万9円、2017年、1億582万3,000円が区に納付されています。ところが、このもうける仕組みは二つのからくりで成り立っています。  一つは、近隣の駐車場経営者の利益を損なうことがないようにとの言い分で、区ももうけられるように仕組まれています。これを株式会社化と言わず、どのように言うのでしょうか。アロマ駐車場条例に、ただし区長は指定管理者に利用料金の一部を区に納付されることができるとあるからです。つまりタイムズ社にもうけのチャンスを与え、区ももうけていることになります。  もう一つのからくりは、文化国際費として特定財源であるかのようにカムフラージュしています。  そこでお聞きします。納付金を、特定財源は収入のもとの事業費に活用することが一般的であるとして、文化国際費としているとのことですが、アプリコ駐車場の名称ならば理解するのですが、アロマ駐車場はアプリコ利用者のためでもありません。アロマ駐車場条例にあるとおり、設置目的として道路交通の円滑化を図り、公衆の利便に資するとともに、都市の機能の維持及び増進に寄与するために、路外駐車場として設置するとあります。よって、文化国際費にも該当せず、条例に沿って活用すべきだったのではないでしょうか、お聞きします。お答えください。 ◎山本 文化振興課長 大田区営アロマ地下駐車場は、大田区民ホールアプリコとニッセイアロマスクエアを含めた、アロマスクエア街区の地下部分にあり、区民ホールアプリコの利用者、また地域の皆様にも広くご利用いただいております。特に区民ホールアプリコで事業を実施する主催者には、他の施設同様に既定の駐車場利用券を配布するなど、アプリコ来館者にとって使いやすい利便な駐車場となっております。  本駐車場は、区の公共施設として蒲田駅周辺の路上駐車対策に大いに寄与しているほか、多くの区民ホールアプリコ来館者にもご利用いただいており、本件歳入は文化国際費の特定財源として、主に文化振興事業に活用させていただいております。 ◆黒沼 委員 私の質問の答弁にはなっておりませんでした。残念ながら、このなぜ料金が下がらないのかにお答えいただけなかったのは残念です。  もう一つお聞きします。そうであるならば、今後は駐車場運営で利益を得てはならないはずです。パーク24、タイムズ24の利益を上げている大田区は、民間事業者と一緒に利益追求自治体となっている姿です。公の施設とは、住民の福祉を増進する目的で利用する施設です。自治体利益追求ではありません。条例どおりの役割を果たすためには、利益追求の自治体ではなく直営にし、利用料を下げ、区民と利用者に喜ばれるアロマ駐車場になることです。お答えください。 ◎山本 文化振興課長 大田区営アロマ地下駐車場は、指定管理者制度により管理運営しております。限られた財源の下、民間事業者など多様な主体との公民連携により、利用者のニーズに対応する質の高いサービスの提供と、効率的な施設運営を実現しております。当該施設の運営においては、地方自治法に規定する利用料金制を導入し、利用率向上のため、指定管理者の経営努力が発揮され、また区民サービスの向上にもつながっております。  駐車場の利用料金は近隣駐車場の料金を調査、分析し、決定したものであり、現状では変更の予定はございません。  引き続き、施設の特性や利用料金制度の導入効果を踏まえ、区民サービスの向上に努めるとともに、条例の設置目的を果たしてまいります。 ◆黒沼 委員 二つのからくりをやめて、本来の駐車場運営に戻ることを求めて終わります。 ○湯本 委員長 次に、フェア民、質疑願います。 ◆奈須 委員 フェアな民主主義、奈須利江です。  家計であれば賃金収入などがまず決まり、その収入に基づいて支出を決めますが、大田区や国の財政は政治過程で必要な支出を決めてから、それを賄う収入を決めることになると財務省のホームページに書かれています。必要が増えれば増えるほど、収入を増やさなければならず、収入を増やすということは私たちの税負担が増えるということです。  今はまだ決まっていない新空港線も、田園調布せせらぎ公園の体育館建設も、蒲田駅東口の再開発も、大森駅池上通り拡幅整備や駅前広場整備も、厳密にいえば財源に余裕があるから、確保の見通しが立っているから提案されているわけではなく、必要だと合意形成され、事業が決まってから財源の確保が始まるわけです。  行政や政治から、どれぐらい住民福祉を、どの程度の税負担で提供され、どういった生活の安心を手に入れられるかが示されないまま、利便性、快適性、安全・安心、にぎわい、国際競争力ほかのキャッチコピー的な言葉で、莫大な税金投入を伴う事業が決められているのが今の大田区政ではないでしょうか。日本で一番税収が豊かな23区だから、新しくて立派なインフラが数多くあるのは当然だというのが大田区の考えかもしれません。しかし、ふるさと納税、法人住民税国税化、消費税算定基準変更など、不合理な税制改正による大田区の税収の区外流出が始まり、そういっていられなくなっています。それでも、大田区の税金の使い方の優先順位は変わらず、今年2021年度予算編成は昨年度に引き続き、過去最高規模になりました。  そこで今日は、事項別明細書35ページ、歳入から見た大田区の住民福祉や財政の持続可能性と課題について、取り上げたいと思います。  2021年度予算の歳入を見ると、幾つかの大きな変化が見られます。その一つが歳入の中の最も大きな割合を、国都支出金が占めていることです。これまでは特別区民税か特別区交付金が最も多い財源でしたが、2021年度予算、2,938億円中、国都支出金が27.3%、802億円になっています。区長が最初に編成した2008年度予算総額2,188億円のうち、国都支出金が342億円ですから、一般会計総額では1.34倍程度にもかかわらず、2.34倍と2倍以上に増えていて、予算に占める割合も15.6%から27.3%になりました。生活保護費増に加え、幼児教育無償化などが影響しているのだと思います。  地方分権で財源権限が地方に移譲されましたが、歳入から見れば、国への依存はさらに強まっています。  また、繰入金の額は180億円ですが、うち財政基金の繰入額118億円は、私の調べた限り過去最高だと思います。さかのぼって調べたら、決算ですが、2005年から2009年まで財政基金からの繰り入れはしていませんでした。118億円もの財源を基金から繰り入れなければ予算編成できない状況の特殊性が分かるのではないかと思います。  これらから過去最高規模の予算と言いながら、国や都の補助金に頼っている事業が増えていることや、基金を取り崩さなければ区民生活を維持するための事業を維持できない財政構造になっていることが見えてきます。  加えて、特別区民税と特別区交付金という大田区の2大一般財源ともいうべき、二つの税収が両方ともに減収になっていることが、本年度の注目すべき変化だと思います。これはリーマンショック以来のことです。  特別区民税は、ふるさと納税、転入人口の減による労働人口の減少などの影響ほかで、17億円の減少を見込んでいます。また、特別区交付金は法人住民税国税化や、コロナの感染防止策に伴う景気への影響ほかで、28億円の減収を見込んでいます。  そこで伺います。特別区民税と特別区交付金が減るのは、2021年度だけの一時的なことでしょうか。 ◎田村 財政課長 二つの要素のご質問にお答えいたします。特別区民税につきましては、納税義務者数は令和2年度と同等程度を見込んでおります。  また、東京都の賃金動向やGDP成長率など、景気動向を反映いたしまして、さらにふるさと納税、寄附金税額控除額、これは前年度比1.6億円の減収を見込んでいるという状況でございます。  なお、過去のリーマンショックの際は特別区民税の減収が3年間続きました。令和3年度中の経済状況などを基にします、令和4年度の課税は現在の東京都賃金動向やGDP成長率などの景気動向を踏まえますと、厳しい状況が続いていくものと考えます。  また、特別区交付金でございますけれども、原資はいわゆる調整三税等ということになりますが、令和3年度の都区財調制度の当初フレーム、これを見ますと、固定資産税1兆3,114億円余、前年度比で0.7%の増となる一方で、市町村民税法人分3,907億円余、前年度比21%の減という状況がございます。  特に、市町村民税法人分につきましては、経済活動の停滞の影響によりまして、上場企業から中小企業まで企業業績の落ち込みが主な要因とされております。  区の特別区交付金でございますけれども、令和2年度第8次補正予算後の予算現額、これは668億円で、令和元年度決算に比べますと、96億円の減を見込んでおります。令和3年度予算におきましても、引き続き同水準の671億円ということでございます。  令和3年度以降の財政見通しにおきましては、内閣府が公表いたしました「中長期の経済財政に関する試算」、この経済指標、あるいは近年の増減率等を基にした推計によりますと、令和4年度からの回復、これを見込んでいると、こういう状況でございます。 ◆奈須 委員 不合理な税制改正や人口、そして景況などの影響に伴って減収しているというご説明だったと思いますし、またリーマンショックの影響を考えても、今年度、2021年度だけでなく、今後も数年はこうした状況が少なくとも続くのではないかということが今の答弁から分かると思います。  特に、人口の増減は保育園、学校、病院、公園、交通、道路、駅前広場、清掃工場ほか、社会保障やインフラといった行政計画において欠かせない重要な要素だと思います。  予算の説明の中でも、また各種の報道でも言われているように、大田区のような都心部はマンション建設などにより転入増を続けてきましたが、不動産の高騰やコロナにより転入は止まり、不動産購入なども周辺部に転じています。  私は、大田区のような都心部は、住環境という点からも、また水や緑や自然豊かなまちにするためにも、必ずしも今ほど過密である必要はないと思っています。  しかし、例えば、大田区はアフターコロナでテレワークと言っていますから、大田区民が区外転出することを推奨しているようなものです。一方で、こうした人口減による税収の減という状況が先ほどの説明でも分かるように起きているわけです。  二つ目の質問をしたいと思います。大田区は、区外転出による弊害、例えば、税収減は問題ないと思っているのでしょうか。労働者、雇用者、株主、大田区行政など、立場が違えば、テレワークについての効果と弊害についての考え方も違うと思います。  大田区は、庁内でテレワークを推進していますが、区民の区外転出も推奨しているのでしょうか。お伺いします。 ◎杉山 企画課長 テレワークとは、ICTを活用し、時間や場所を有効に活用できる柔軟な働き方のことでございます。コロナ禍における感染拡大防止だけではなく、生産性の向上やワーク・ライフ・バランスの実現、業務継続性の確保など、寄与する新たな働き方と考えてございます。  国や東京都におきましても、官民一体でテレワークの定着・浸透を図るため、国では、「テレワーク・デイズ」の推進、東京都においては、「テレワーク東京ルール実践企業宣言制度」など、テレワークの普及促進に関する様々な取り組みを進めているところでございます。  また、東京都においては、緊急事態宣言下において、テレワークや時差出勤等の組み合わせによる出勤者数の7割削減を推進しているところでございます。  区においても、職員の感染拡大防止、災害時における業務継続や、業務効率化などの観点から、推進すべき取り組みだと考えております。  区では、昨年6月からテレワークの試行実施をし、現在対象範囲を全部局に拡大して実施をしているところでございます。これまでの検証を通じて、通勤による負担の軽減、作業効率の向上など期待ができると考えてございます。  したがいまして、区が推奨するテレワークは、区民の区外転出を推奨するものではなく、柔軟で多様な働き方を可能とするテレワークを積極的に推進することで、業務の効率化、ワーク・ライフ・バランスの実現などを図り、ひいては区民サービスの向上のつなげていく取り組みでございます。  今後も引き続き、全庁を挙げてテレワークをはじめとした働き方改革にしっかりと取り組み、区民サービスのより一層の向上につなげてまいります。 ◆奈須 委員 そうなりますと、やはりテレワークの先として、大田区が魅力的な住環境を整えていくということが、とても大切になるのではないかなと思います。  残念ながら、大田区の都市計画の権限には限界がありますが、私は何よりも問題なのが、大田区の人口の適正規模がないままに、都市計画やまちづくりが進められていることではないかと思っています。  一方で、特別区民税の減収の要因には、一人ひとりの所得の減という要因もあると思います。  そこで伺います。大田区が一人ひとりの所得を上げる努力をしているかと言えば、民営化で公務労働を大幅に削減し、同じ仕事を低賃金で働く雇用を増やしています。  そこで、ちょっと質問を飛ばして、四つ目の質問をしたいと思います。民営化や指定管理者制度の導入などで広げてきた低賃金労働から、再公営化するなど大田区として区民の所得を上げる施策はありますか。 ◎高野 経営改革担当課長 社会経済状況の変化に伴い、区政に対する区民ニーズが多様化、複雑化する中、限られた財源の下、民間事業者など多様な主体との協働により、指定管理者制度の導入や施設の民営化などに取り組んでまいりました。利用者のニーズに対応した質の高いサービスの提供と、効率的な施設運営が実現しているものと捉えております。  また、公共サービス従事者の適正な労働条件の確保及び労働環境の整備につきましては、公共サービス基本法第11条によりまして、地方公共団体は必要な施策を講ずるよう努めることとされております。
     そのため、指定管理や民営化の募集時、協定書の締結の際は、応募事業者に対し、労働基準法等労働関係法令を遵守するよう、募集要項などに明示し、法令遵守の徹底を図っております。  具体的には、民営化や指定管理を導入した事業につきましては、モニタリングや指導検査などにより、区が事業者の実施状況や経営状況を把握し、必要な指導、助言を行うことで、民間事業者のサービスの質の確保のほか、公共サービスに従事する従業員の適正な労働条件の確保、処遇改善にも努めているところでございます。  今後も、民営化や指定管理者制度を導入した、施設従事者の労働環境等を確保するとともに、検証を行うことで安定した質の高い公共サービスの提供に努めてまいります。 ◆奈須 委員 今、効率化であったりとか、あるいは労働関係の法令はちゃんと守っているという答弁がありましたけれども、最低賃金でも労働関係の法令は守っているわけですね。  私が申し上げているのは、やはり労働の質ということであって、守っているのだから最低でいいのか、先ほどのまちづくりも同じだと思いますけれども、それが結局は税収にまでつながっていくということ、この税収につながるということは単に大田区の財源の問題ではなくて、そこからまた社会保障の確保などにもつながっていく非常に深刻な問題だと思いますので、単に法令を守っていいということであれば、ほとんどの企業は法令を守っているわけですから、そこのところはしっかりと私の質問の意図を捉えていただきたいと思います。  民営化をこれ以上進めない、再公営化できる分野は再公営化するなどして、安定した雇用をつくり出すことは大田区でできることですから、これによる税収確保というのが結果として区民生活を守ることになるということをしっかりと捉えていただきたいと思います。それこそが健全な財政につながることだと思います。  一方で、減収しているのが特別区交付金の中でも、法人住民税の減少です。昨日の共同通信の報道で、東京商工リサーチが8日、2月の全国の企業倒産件数、負債額1,000万円以上が前年同月比31.5%減の44、一方で、経済の影響を受け減収しているのが、中でも法人住民税の減少だそうです。減少しているのが6件となり、8か月続けて前年実績を下回ったとありました。  新型コロナウイルス感染拡大を受けた実質無利子無担保融資といった公的支援が引き続き効果を発揮したとしている一方で、影響がないという報道の一方で、コロナ関連倒産は114件で、月間の最多を更新、増える傾向が鮮明になっており、さらなる増加が懸念されるとも報道されているのですね。融資が功を奏してコロナ倒産が防げているように見えて、実は増えていると言っているわけですが、これは業界誌などを見るとどういう意味か分かるのですけれども、2021年のM&A、企業の合併、買収が再び増加基調に転じる見通しを立てていますから、倒産や廃業ではなく、業績悪化に伴い、合併や買収が進んでいるということだと思うのです。  借入金で何とか持ちこたえてきた日本の老舗や優良企業が、グローバル資本、大資本の傘下に入るといった報道を結構私たちは耳にするようになっていると思います。廃業や合併、買収に伴う従業員数、給与体系の見直しなども、これは結果として大体低いほうに合わせられますから、税収に大きく影響することが予想されます。  一般質問でも取り上げましたが、国や東京都や大田区のコロナ感染防止策の不備により、国内の中小企業を中心に大きな打撃を受けていて、それが雇用や所得、そして税収にも影響を及ぼそうとしています。  特に、私が疑問に思うのが、法人住民税に占める中小企業の影響額が大きいにもかかわらず、コロナの自粛や時短で経営に深刻な影響が及んでいる中小企業の経営者と従業員を、国も都も大田区も本気で守ろうとしていないことです。  五つ目の質問をしたいと思います。先日の一般質問で、海外と日本を比べることはできないと答弁されていたわけですけれども、その大田区は、ジェトロからの情報提供を基に、日本の支援策とドイツの支援策、これはコロナですけれども、を比べ、どこに問題があるか検証しましたか。このまま大田区の飲食店や仲卸ほか、コロナの感染防止のためだからと、国や都や大田区から厳しく自粛や時短を要請されている中小企業、小規模事業者の経営悪化を放置し、税収の減にはなりませんか。 ◎大木 産業振興課長 新型コロナウイルス感染症に係る緊急支援といたしまして、国や東京都におきましては、持続化給付金や家賃支援給付金、感染拡大防止協力金などの各種給付金、また雇用の確保に関しましては、雇用調整助成金及び休業手当の支給が受けられなかった労働者を対象とする休業支援金、給付金など各種支援策を行ってまいりました。  併せまして、ご存じのとおり、この間、区におきましては、新型コロナウイルス対策特別資金をはじめ、プレミアム付地域商品券事業、新製品新技術開発支援事業の拡充、感染拡大防止協力金の上乗せ支給など、でき得る限りの支援を全力で行ってまいりました。  区内の中小企業、小規模事業者の皆様に、これらの支援策を最大限に活用いただくことで、経営基盤の安定化を図っていただくとともに、アフターコロナに向けた企業活動の一助にもつながってきたのではないかと考えてございます。  コロナ禍による経済の停滞を受けまして、法人税収が落ち込むことは避けられない部分もあると考えますが、そのような中にあっても、区は国や東京都との役割分担を踏まえつつ、基礎自治体の立場から地域特性を踏まえた経済支援を行ってございますので、委員がお話のことは全く当てはまらないと考えます。  区は、これまでも、そしてコロナ禍においても、区内の企業活動を支えていくことで、地域経済が循環し、特別区制度における市町村民税法人分の歳入につながるよう取り組んでございます。  なお、先ほど委員のご発言の中に、海外と日本を比べることはできないと答弁をされたとございましたが、先の答弁では、自国の企業に対する経済対策は、各国がそれぞれの実情に応じて行うものであり、単純に国際比較することは適切ではないと申し上げてございます。比べることはできないという表現は一切してございません。  いずれにいたしましても、今大切なのは、他の国や自治体と比較することではなく、国民一人ひとり、区民一人ひとりが新型コロナウイルス感染症を正しくおそれ、感染拡大防止策を適切に講じていくことであると考えてございます。  そうした意識の上に立って、人々の生活を支える経済対策を引き続き全力で行ってまいります。 ◆奈須 委員 今の答弁の中には二つの大きな誤解がありますね。一つが、現状をしっかりと見ていないことです。支援されているわけではなく、中小企業、あるいは小規模事業者と大企業とでは、協力金において救われているところの違いというのは、この間の質問で私は議場ではっきりと申し上げました。これは実際に飲食業に携わっている方から、およその目安だけれども、25坪以下のところだったら何とか1日6万円でやっていけるだろうと。これが大体全体の4割ぐらいではないかと。ざっくりのお話ですけれども。それ以上に規模が大きくなると、なかなか難しいけれども、ある程度大規模事業者であれば、投資を集中させることにより、人や光熱費、人件費などを省略することによって、適正配置ができると。  一方で、ドイツのお話が出ましたけれども、であれば、この間にしっかりと比較をしていただきたいなと思います。コロナ対策によって、日本は、このジェトロの方に伺いましたけれども、ドイツなどに比べても、中小企業の雇用であったり、あるいは売上などに及ぼす影響というものがドイツよりも日本のほうが中小企業は大きな影響を及ぼすのではないかということをおっしゃっておりました。これは、大田区は職員をジェトロのドイツにも派遣しているわけですから、せっかくドイツに行っているのですから、しっかりと聞いていただきたいなと思います。  先ほどもここの場面で申し上げましたけれども、今、倒産の数が少ないとしても、例えば、企業の合併であったり、買収であるということも行われています。それによる財政の影響というものも非常に大きいと思います。私たちの賃金に与える影響というものも。しっかりそういうことを見つめながら、表面的なことに惑わされずに、しっかりと対策をしないと、数年後に大きな影響を及ぼすのではないかと。これは、私はここではっきりと申し上げておきたいと思います。  景況の悪化などに伴い、特別区交付金の減収が続くかもしれないということは、税収を支える区民の生業や、それに伴う雇用が悪化するため、大変に深刻な問題だと思います。  それを救えている国がある一方で、取り組まずに政治が放置しているのを見るのは非常につらいです。大田区では直接できなくても、国や都に声を上げるべきだと思います。現実に大企業のほうが優遇されているのが日本の施策です。ドイツでは基本的に貸付けで対応しているにもかかわらず、東京都をはじめ、1日6万円という協力金を投入し始めたのも日本の状況だと思います。  一方、特別区交付金は一般財源で使途の限定されていない財源です。三位一体の改革により、特別区交付金割合が52%から55%に変更されたのは、大田区など基礎自治体が社会保障の責任主体になったからですが、大田区はその社会保障財源として特別区交付金割合が増える2007年に60億円、2008年に80億円、空港跡地のための基金に積み立て、2018年に165億円で羽田空港跡地を購入してしまいました。特別区交付金という色のついていない使途の自由な財源を特定目的基金に積み立てて、社会保障に使えない財源として確保して使ったわけです。  先日の最終補正予算で、新空港線積立基金、公共施設整備基金に30億円積み立てました。必ずしも30億円積み立てる余裕があったのではなく、あるいは、コロナだけが理由ではなく、本来子育てや介護や障がい福祉など社会保障に使うべき財源を使ってこなかったからだということではないでしょうか。  こうして、社会保障の財源に使わず、基金に積み立て、色のついていない財源の使途を限定させてしまうのも問題ですが、例えば今、東京都と調整している新空港線の財政負担などは、特別区交付金が交付される前に、色のついていない財源に、東京都が色をつけて大田区に交付するようなものだと思います。さらに問題ではないでしょうか。  特別区交付金は、一般財源のはずですが、交付される前から特定財源のようになり始めていますから、歳入が減っている以上に区民福祉への影響は大きいと思います。  ふるさと納税、法人住民税国税化、消費税の算定基準の変更、国の不合理な税制改正や人口減少に伴う労働人口の減少や区外からの転入が減るなどにより、今後の税収の増加を見込むのは厳しい状況です。ところが、人口を転出させることになるテレワークを進め、民営化で所得を減らして、住民税の減少要因を招き、コロナ感染防止策の不備で経営の悪化を余儀なくされている企業に対して、施策の検証も転換も国への要求もしていません。大田区が自ら取っている施策が税収を減らすことになるわけです。  そこで伺います。2021年度予算だけでなく、さらに労働人口の減と中小企業の統廃合による法人住民税の減に伴う特別区交付金などの減収が予想されるわけですが、今後どうやって住民福祉サービスを確保していこうと考えていますか。 ◎田村 財政課長 区は減収局面におきましても、堅実な財政運営の下で、区民の生命、安全を守り、暮らしや経済活動を支え、子どもたちの学びの保障と生活を応援し、区の発展の礎となる社会資本の整備など、区民福祉の向上に資する施策を途切れることなく推進する必要があると考えております。  区財政は厳しい局面を迎えることが想定されますが、区が推進する事業に対しまして、活用可能な東京都や国の支出金を確実に補足し、必要な財源の確保に努めてまいります。  また、税や国民健康保険料のお支払いにコード決済を拡充するほか、青少年交流センターゆいっつなど、施設使用料等や特別出張所など窓口における証明書発行手数料等にキャッシュレス決済を導入するなど、新たな日常への対応を図りつつ、納付機会の拡充を通じた歳入の確保にもつなげてまいります。  さらに、予算執行段階におけるコスト意識の徹底など、一層の工夫を凝らして経費精査に努めるとともに、これまで計画的に積み立ててきました基金や特別区債など、財政の対応力を最大限発揮いたしまして、財政規律の遵守の下で、区民福祉の向上に尽力をしてまいります。 ◆奈須 委員 これまでやっていることは、税収減につながることばかりなのですね。今、お答えいただいていることは、基本的な税収、特別区民税であったり、特別区交付金の増加にはつながらないことで、例えば基金を取り崩したりとか、使用料手数料を取ったりとか、区債を発行したりという形で、結局は基幹財源をどうやって拡充するかという本来的な政策がどこにもないわけですよ。これで本当に、1年や2年をしのぐことはできるかもしれないけれども、長期的に区民の福祉を担うことができるのかと。580億円の財源不足を既に大田区はコロナでと言っているわけです。にもかかわらず、新空港線、せせらぎ公園体育館、蒲田駅東口再開発、大森駅池上通り拡幅整備や駅前広場整備をして、今回福祉タクシー、先ほども取り上げられていましたけれども、廃止のようなことをしているわけですね。  聖域なき全事務事業の見直しといったら、住民福祉が見直されたと。私はずっとこれは住民福祉が聖域なのではないかと申し上げてきましたけれども、現実にそういうことが行われ始めているわけですね。本当にこれで大丈夫なのか。重ねて伺いますけど、いかがでしょうか。 ◎田村 財政課長 繰り返しの答弁で恐縮でございます。基本的な財政運営は先ほどからご答弁を申し上げているとおりでございます。引き続き、歳入の確保、それから歳出の精査、こういったことをバランスよく進めながら、健全財政を維持しながら、区民生活を支えてまいります。 ◆奈須 委員 税負担が大きく、可処分所得が少なくても、社会保障が整っていれば安心して暮らしていくことができます。これはスウェーデンのモデルのようなものですね。最低限のセーフティネットがあり、可処分所得が大きければ、その分リスクは区民が取るとしても、そういうモデルもあると思います。  ところが、今、そのどちらでもない、所得も少なく、社会保障も脆弱な人たちを増やす社会へ突き進んでいて、コロナでそれに拍車がかかっているわけです。このまま民営化を進め、公民連携で民間事業者に大田区の情報を提供し、インフラ整備、公共施設整備、防災まちづくり等々で莫大な財源が必要になりますが、それに見合った税収を支える区民も区内企業も減り、増税しない限り財源は減るばかりです。  このままでは、大田区の公共施設の複合化で無理やりつくった未利用地を売却したり、貸し付けたりしなければならなくなるのではないでしょうか。これが公有財産の適正な使い方と言えるのでしょうか。そこまでしなければ維持できない財政を適正と言えるでしょうか。ベーシックインカムの議論が始まっていますが、この道の先にあるベーシックインカムは税収の減に伴う社会保障費のさらなる低減のための方策でしかないと思います。  そこで伺います。大田区が国の施策に無批判に追従してきたのは問題ですし、大田区の税金の使い方の優先順位にも問題はあります。しかし、区民の雇用や所得を守り、地域内経済の循環を充実させるため、公民連携、民営化で税金の一部が投資家利益に流れる、非効率な税金の使い方、民営化を見直し、少なくとも区でできる範囲から少しずつでも政策転換を図るべきではないでしょうか。 ◎杉山 企画課長 新型コロナウイルス感染症拡大という困難な局面にある中、今後は少子高齢化社会への対応、公共施設の維持更新など、従前からの課題に加え、感染症や大規模自然災害対策、直面する喫緊の課題など、迅速に対応できるポストコロナを見据えた行財政運営を行っていくことは大変重要であると考えてございます。  区は、平成31年に大田区公民連携基本指針を定め、区民や民間企業などと連携し、多様な主体が持つ力を生かし、地域課題の解決や地域の活性化、質の高い行政サービスの提供に向けた取り組みを進めております。  新型コロナウイルス感染症対策においても、東邦大学と連携し、医学的な知見を踏まえた、区民の命と生活を守るための施策を展開してまいりました。  昨年末、感染者が急増した際に、速やかに成人式のオンライン開催を決定したのも、まさにこの成果だと考えてございます。  また、東邦大学との連携は、区民の皆様から非常に高い関心をいただいております。地域行事における感染症対策について、東邦大学の知見を得たいとのご要望をいただいたことから、自治会・町会向けの感染症対策に関する研修会を実施することとなりました。  こうした公民連携の取り組みは、単に民間の力を生かすにとどまらず、区民の皆様に区政に関心を持っていただく契機ともなります。  引き続き、多様化・複雑化する行政需要に。 ○湯本 委員長 企画課長、答弁の途中ではございますが、予定時刻になりましたので、答弁を終了してください。  以上で、歳入の審査を終結いたします。  次に、歳出の審査に入ります。  まず、第1款議会費の審査を行います。理事者の説明を求めます。 ◎田村 財政課長 それでは、事項別明細書の90ページをご覧ください。第1款議会費でございます。本年度、11億5,377万9,000円で、2,992万6,000円の増でございます。第1項議会費は款と同額でございます。第1目議会費、本年度、9億7,458万7,000円で、3,610万3,000円の増でございます。第2目事務局費、本年度、1億7,919万2,000円で、617万7,000円の減でございます。第1款議会費は以上となりますが、ここで人件費全体についてご説明を申し上げたいと思います。  事項別明細書は飛びまして、264ページをご覧いただければと思います。給与費明細書でございます。まず特別職の記載がございます。一番左側の区分欄をご覧いただきますと、年度の欄があり、次に、長等、議員、その他、計ということでございます。それぞれ右に移りますと、職員数、給与費、共済費となっております。給与費及び共済費を合わせますと、本年度は合計で12億3,876万7,000円でございます。前年度との比較では、一番下の欄、合計で2億1,757万3,000円の減ということでございます。  続きまして、266ページから271ページまでは一般職でございます。266ページの総括は、268ページの会計年度任用職員以外の職員と270ページの会計年度任用職員との合計が記載されておりまして、268ページのアにつきましては、会計年度任用職員以外の職員ということになります。上段の本年度の欄、給与費と共催費を合わせまして、367億8,586万1,000円で、2億948万円の減となります。その下の表につきましては、職員手当等に内訳になります。  次に、270ページのイでございます。会計年度任用職員でございます。これをご覧ください。上段の本年度の欄、給与費と共催費を合わせまして、50億2,946万2,000円で、2,645万3,000円の減でございます。その下の表は職員手当等の内訳となります。  次に、272ページからは給料及び職員手当等の増減額の明細等について触れておりますので、後ほどお目通しいただければ幸いでございます。 ○湯本 委員長 この間には、質疑の通知がありませんので、第1款議会費の審査を終結いたします。  次に、第2款総務費の審査を行います。理事者の説明を求めます。 ◎田村 財政課長 それでは、事項別明細書の94ページをご覧ください。第2款総務費でございます。本年度、401億6,608万9,000円で、16億7,638万8,000円の増でございます。第1項総務管理費、本年度、231億2,828万7,000円で、21億8,705万5,000円の増でございます。第1目一般管理費、本年度、75億571万4,000円で、9億4,242万7,000円の減でございます。主なものは、11番、基金積立の(1)公共施設整備資金積立基金の10億152万8,000円の減でございます。  96ページに移ります。第2目人事厚生費、本年度37億6,616万6,000円で、2億3,334万4,000円の増でございます。主なものは、8番、再任用職員の任用で、2億2,584万1,000円の増でございます。  98ページに移ります。第3目庁舎管理費、本年度、15億4,063万7,000円で、1億8,648万9,000円の減でございます。主なものは、1番、本庁舎関係で、2億560万3,000円の減でございます。第4目広報広聴費、本年度3億3,403万円で、3,749万5,000円の増でございます。  100ページに移ります。第5目財政管理費、本年度、397万6,000円で、5万3,000円の増でございます。第6目会計管理費、本年度、8,980万7,000円で、2,446万4,000円の増です。  102ページに移ります。第7目財産管理費、本年度、1億8,296万1,000円で、1億6,438万円の増です。主なものは、2番、普通財産撤去工事で、1億5,313万9,000円の増です。第8目土地対策費、本年度19億8,712万9,000円で、3億7,942万4,000円の減でございます。主なものは、1番、土地開発公社関係費で、3億7,942万3,000円の減です。第9目企画経営費、本年度、9,653万7,000円で、833万1,000円の減でございます。  104ページ、第10目電子計算費、本年度、27億9,391万6,000円で、6億2,841万5,000円の増でございます。主なものは、2番、情報システムの運営で、6億3,435万2,000円の増です。第11目施設管理費、本年度、1億1,576万7,000円で、1,394万2,000円の増でございます。  106ページに移ります。第12目防災対策費、本年度、8億2,612万3,000円で、1億9,270万8,000円の減です。主なものは、2番、防災意識の高揚、及び防災行動力の向上で、1億1,107万4,000円の減でございます。  108ページに移ります。第13目複合施設建設費、本年度、38億8,552万4,000円で、27億9,434万1,000円の増でございます。主なものは、1番、新蒲田一丁目複合施設の整備で、23億3,452万6,000円の増でございます。第1項総務管理費は以上でございます。  続きまして、110ページでございます。第2項地域振興費、本年度、60億848万8,000円で、10億8,573万円の減でございます。第1目地域振興総務費、本年度、24億4,176万円で、3億9,806万1,000円の減です。主なものは、2番、基幹統計事務費で、3億7,599万6,000円の減でございます。  112ページに参ります。第2目区民施設費、本年度、7億4,783万6,000円で、6,946万7,000円の増でございます。主なものは、5番、新蒲田一丁目複合施設管理運営費で、皆増でございます。第3目消費行政費、本年度、1億3,061万3,000円で、6,611万8,000円の増でございます。主なものは、1番、消費者生活センター維持管理費で、第2目区民施設費からの付け替えによる増でございます。  114ページでございます。第4目区民協働費、本年度、3億4,316万2,000円で、3,932万5,000円の増です。  116ページ、第5目特別出張所費、本年度、17億3,726万9,000円で、2億4,586万4,000円の増でございます。主なものは、1番、特別出張所管理運営費で、1億670万6,000円の増、8番、文化センター管理運営費で、1億2,439万円の増でございます。  次に、118ページ、第8目複合施設建設費、本年度、6億748万8,000円で、11億844万3,000円の減でございます。主なものは、1番、田園調布地区公共施設の整備で、13億5,938万9,000円の減でございます。第2項地域振興費は以上でございます。  続きまして、120ページでございます。第3項観光国際費、本年度、63億3,473万8,000円で、2億5,532万3,000円の減でございます。第1目観光国際総務費、本年度、8億3,329万4,000円で、4,678万5,000円の減でございます。第2目観光振興費、本年度、1億5,327万5,000円で、8,806万4,000円の減でございます。主なものは、1番、おおたの観光魅力創出事業で、7,239万8,000円の減でございます。  122ページに移ります。第3目文化国際費、本年度、30億9,179万9,000円で、3億1,444万4,000円の増でございます。主なものは、10番、文化施設管理運営費、(3)その他施設費で、7億6,083万9,000円の増、125ページ、16番、博物館管理運営費で、2億3,285万7,000円の減でございます。  124ページ、第4目スポーツ振興費、本年度、22億5,637万円で、3億8,117万3,000円の減でございます。主なものは、127ページ、17番、区立運動場管理運営費で、1億8,088万9,000円の減、25番、東京オリンピック・パラリンピック推進事業で、6,027万4,000円の減でございます。第5目文化施設建設費は皆減でございます。勝海舟記念館の整備が終了したことによるものでございます。第3項観光国際費は以上でございます。  続きまして、128ページ、第4項区民費、本年度、20億8,275万1,000円で、6億428万1,000円の増でございます。第1目区民総務費、本年度、6億9,229万9,000円で、4,101万3,000円の増でございます。第2目戸籍住民費、本年度、13億9,045万2,000円で、5億6,326万8,000円の増でございます。主なものは、3番、住民基本台帳、印鑑証明等事務経費で、5億8,782万3,000円の増でございます。第4項区民費は以上でございます。  続きまして、132ページ、第5項徴税費、本年度、18億477万2,000円で、2,357万2,000円の減でございます。第1目税務総務費、本年度、13億1,456万2,000円で、3,287万2,000円の減でございます。第2目賦課徴収費、本年度、4億9,021万円で、930万円の増でございます。第5項徴税費は以上でございます。  続きまして、136ページでございます。第6項選挙費、本年度、6億8,025万円で、2億5,608万3,000円の増でございます。第1目選挙管理委員会費、本年度、1億4,088万7,000円で、956万8,000円の増でございます。138ページ、第2目選挙啓発費、本年度、248万1,000円で、6万円の増でございます。第3目選挙執行費、本年度、5億3,688万2,000円で、2億4,645万5,000円の増でございます。主なものは2番、衆議院議員選挙及び国民審査執行事務で、皆増でございます。第6項選挙費は以上でございます。  続きまして、140ページ、第7項監査委員費、本年度、1億2,680万3,000円で、640万6,000円の減でございます。第1目監査委員費は項と同額でございます。 ○湯本 委員長 この款には、自民、公明、共産、令和、エール、フォーラム、無所属から通知がありますので、順次これを許します。  それでは、自民、質疑願います。 ◆松原〔秀〕 委員 自由民主党大田区民連合の松原でございます。事項別明細書123ページ、観光国際費の地域文化の振興、特に大田区の伝統工芸の価値創出と老舗文化について質問いたします。  伝統文化は、伝統芸能の演奏者とそれを支える三味線や和笛など、楽器の製作者、書画と表具師のように、各分野が相互に支え合い、そして発展してまいりました。このように伝統工芸の分野は、幅広く芸術、芸能、建築等、あらゆる分野とのつながりがあり、このため、伝統工芸が衰退すると、関係する文化分野にも大きな影響があるところでございます。  そのような中で、大田区では、平成29年に大田区伝統工芸士認定制度が創出されました。令和2年度まで、江戸表具の春原敏雄氏など、九つの分野で11名の方々が大田区伝統工芸士の認定を受けていらっしゃいます。この制度で、区は伝統工芸士の社会的評価の向上・発展を図るとともに、伝統工芸に対する興味・関心の喚起することを目的とするとしております。様々なイベントや広報を通じて、承継すべき貴重な伝統的技術、工芸士の実績などを広く区民に周知していく事業につながっております。  本年1月1日号の区報では、「withコロナ時代だからこそつなげていきたい伝統がある」ということで、令和2年度認定の大田区伝統工芸士で和笛制作の田中康友氏が紹介されておりました。次世代につなげるということが、コロナ禍においても非常に重要視されているところでございます。  そこで質問いたします。大田区伝統工芸士の中で、国や東京都、その他全国的な表彰につながる方々はおられるのでしょうか。また、伝統文化の承継につながる取り組みはどのようなことをされているのでしょうか。お尋ねします。 ◎山本 文化振興課長 本年度までに、大田区伝統工芸士として認定した11名の中で、3名の方が国や東京都の表彰を受けておられます。  まず、美術刀剣研磨の本阿弥光州氏でございますが、平成26年に人間国宝に認定されております。また、江戸表具師の春原敏雄氏と三味線制作の伊東孝夫氏は、東京都伝統工芸士として認定されており、春原氏につきましては、東京都優秀技能者(東京マイスター)を認定され、厚生労働省の現代の名工としても認定されております。  次に、伝統文化の承継につながる取り組みとして、区は、区内における伝統工芸・技術の発展、未来の後継者へと伝承・貢献などの活動をしておられる会員数25名の大田区伝統工芸発展の会と連携し、伝統工芸の魅力を発信し、地域文化の伝承に取り組んでおります。  平成29年から毎年グランデュオ蒲田3階の東西連絡通路で、おおたの文化フェアin GRANDUOを開催しており、本年も3月17日水曜日から23日火曜日まで開催いたします。また、大田区伝統工芸展につきましては、今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止となりましたが、令和元年から区との共催で開催しております。  そのほかにも、おおた商い観光展など、区主催イベントに参加し、製作実演、伝統工芸の体験会の実施、学校での講演会を行うなど、区内伝統工芸の振興、普及・啓発活動とともに、地域文化の承継に力を注いでおります。 ◆松原〔秀〕 委員 25人いらっしゃる中で9人が既に認定を受けている。そのうち3人は、国とか東京都の認定も受けていることは非常にすばらしいと思います。そして、今お話があったように、商い観光展とか、たしか羽田の空の日にも出演なさっていらっしゃると思います。7月11日から28日に行われます、グランデュオで行われます、その通路ですね。おおた文化フェアですか、ぜひとも足を伸ばしてみたいと思います。  大田区は、羽田イノベーションシティなど先端的な産業支援を行う場所や池上本門寺周辺や馬込、それから千束地区など、神社仏閣、文化財などの地域資源もあふれるまちであります。先端産業と伝統文化の融合するまちとして、観光分野でも発信できるよう、伝統文化の発展、そして承継について積極的な取り組みを期待いたします。 ◆松原〔秀〕 委員 ところで、コロナ禍で飲食店など大きな打撃を受け、多くの区の支援策も発動されております。100年に一度の災害とも言える影響を受けているところでございます。  そのような中におきましても、池上地区のくずもち屋である浅野屋さんは、1752年(宝暦2年)の創業であり、創業269年であり、江戸、明治をまたぎ、関東大震災や戦禍をも乗り越え、そしてリーマンショックを乗り越えて、現在も店舗を構えていらっしゃいます。まちの老舗として存在感を有しております。このような老舗は、まちの文化としても重要な存在であり、彩りを与えております。  そのほかにも、京急蒲田の和菓子「志ら井」さんは、1848年(嘉永元年)創業です。そして、旧東海道沿いには、海苔問屋など多くの老舗が現在も営業されております。平和島美原通りのあべかわ餅の餅甚さん、1715年(享保元年)の創業です。蒲田の初音鮨さんは、1893年(明治26年)創業、そして田園調布のそば屋、兵隊家さんは、1923年(大正12年)創業です。創業100年を超えるような企業や店舗がこのまちに存在し、まちの文化を形成しているところでございます。  大田区の老舗という切り口で、地域文化をまとめた資料は、調べてみてもなかなか見つかっておりません。コロナ感染症という大きな地域への影響を与える出来事があるわけですが、創業100年を超えるような老舗がまちの食文化や伝統文化を形成しており、その存在は非常に価値の高いものであると考えます。  そこで質問いたします。区では、様々な業態の老舗がまちの文化形成に大きな影響を与えると考えておりますが、今後の老舗を紹介していくような取り組み、そういった企画はあるのでしょうか。ご見解をお伺いいたします。 ◎山本 文化振興課長 老舗と言われる企業や店舗は、伝統を守るとともに、社会の変化に順応し、継続的に営業、経営されており、多くの方々に愛され、支持される魅力を有しております。
     委員がお話しのように、区内においても創業100年を超える企業や店舗の存在は、和菓子製造や海苔・佃煮製造のみならず、石材店、和楽器製造、飲食店など幅広く、これらは区民の生活と密着し、伝統の味や技術の承継もなされ、地域文化の形成においても、大きな影響を与えております。  今後、老舗を紹介する取り組みにつきましては、地域文化としての役割を調査研究するとともに、産業経済部とも連携し、観光、産業振興の視点から、今後の方向性について検討してまいります。 ◆松原〔秀〕 委員 伝統工芸同様に、大田区の老舗が大田区の文化振興、そして地域文化の継承、また観光施策とも大いに関係するものと思われます。積極的な取り組みを期待いたしまして、私の質問を終わります。 ◆大森 委員 自由民主党大田区民連合の大森でございます。ラストどうなるのかなと思ったらやることになりました。予定の質疑をしっかりとやっていきたいと思います。  青少年健全育成等の取り組みについて伺っていきたいと思います。青少年対策委員会の事業ですとか、また、大田区にいろいろな子ども会もあろうかなと思っておりますけれども、そういった交流事業に代表される青少年の健全育成分野における取り組みは、今日まで長い歴史を刻み、区内の子どもたちの社会教育に貢献してきたと思っております。  しかしながら、昨年来、国内においても蔓延し、感染拡大している新型コロナウイルス感染症の問題では、歴史ある事業においても実施が難しく、事業という事業が中止に追い込まれました。区内の子どもたちを集めて実施されていましたガーデンパーティーや区内3地区で実施されていましたジュニアリーダーの育成講習会など、子どもたちの交流を促してきたイベントに大きな影響を与えていますが、このようなこれまでの青少年健全育成事業に対する効果、検証について改めて意見を伺いたいと思います。 ◎佐藤 青少年健全育成担当課長 青少年健全育成に関する事業といたしましては、これまで子どもガーデンパーティーやリーダー講習会等、1年を通じ、数多くの事業を展開してまいりましたが、今年度は、新型コロナウイルス感染拡大防止の観点から、多くの事業で実施を中止といたしました。地域の方々とふれあい、交流を行う体験は、成長過程にある青少年の心身の健全な育成において、コミュニケーション能力の向上や自己肯定感の醸成等につながり、重要なものであると認識しております。  特に、リーダー講習会は、将来のリーダー人材を育成するため、子どもたちが互いに意見を調整し、事業を実行する経験が得られるよう、カリキュラムを組み実施しております。  そうした成長期における経験は、受講生のその後の活動における意欲や意識等に多くの面で影響を与えているものと認識しております。  子ども・若者を取り巻く社会環境が急激に変化し、子どもの貧困の増加、ひきこもりの長期化等、課題が複雑・多様化する中、地域の方々中心となって実施する子どもガーデンパーティーをはじめとする地域のイベントは、子どもたちの特性や才能を伸ばし、自己肯定感とともに地域への愛着を醸成するという点で非常に重要な事業であると考えております。  コロナ禍を契機といたしまして、新たな視点から事業の実施手法を含めて、見直しを行いますとともに、関係機関と連携の上、今後も引き続き青少年の育成支援に資する事業に取り組んでまいります。 ◆大森 委員 子どもたちが十分に遊べず、体を動かせないでいる今日のコロナ禍において、子どもたちの健全な成長に少なからず影響を与えているものと考えます。今年度、文部科学省から発せられました委託事業の中に、子どもたちのために自然活動推進事業というものが示されまして、ボーイスカウト日本連盟が受託団体となり、全国700か所ほどの会場が設けられ、実施、展開されたのですが、大田区でも東京連盟傘下のつばさ地区のボーイスカウトが大田区の子どもたちと自然遊びをスカウトたちとの交流の中で実施しようと試みましたが中止となってしまいました。この間、所管課として青少年健全育成担当課や道路公園課の職員にはいろいろとご尽力をいただき、改めて御礼を申し上げるところであります。  実行はされませんでした本事業ですが、青少年健全育成の担当者として、新たな子ども交流事業をどのように受け止めていたのか、感想やお考えをお聞かせください。 ◎佐藤 青少年健全育成担当課長 自然の中での宿泊活動や様々な体験活動は、体験を通じた判断力やスキルの習得に加えまして、自己肯定感の醸成やコミュニケーション能力、自立心の向上を含め、心身の成長において教育的な効果があり、ボーイスカウト事業は自然体験活動の一つとして、多くの効果があると言われています。  委員がお話しの事業につきましては、文部科学省が子どもの心身の健全な発達のため、子どもの自然活動体験を委託事業として位置づけまして、推進しております。  コロナ禍において、体験型学習の機会が減少しておりますが、こうした体験の機会は、青少年の健全育成にとって意義があるものと考えます。 ◆大森 委員 一昨年の第2回定例会の一般質問において、ひきこもりの若者たちに影響を与えられれば、社会に出てくるきっかけとなればということで、eスポーツについていろいろと提案をさせていただきました。この間、幾度となく場面づくりを行い、そのイベント会場に来た子どもたちにおいて大変喜ばれ、ぷよぷよゲームを利用しましたが、参加してもらったところであります。その後、テレビでのeスポーツ中継放送があったり、今年に入ってドコモが3億円の予算を投入して、eスポーツへの参入を発表したりと、大変な活気になっています。  ソニー生命が行った2019年度版アンケートで、中学生が将来なりたい職業によりますと、5位は会社の経営者、起業家、4位がITエンジニア、プログラマー、3位がゲームクリエイター、2位がプロeスポーツプレイヤー、1位がユーチューバーなどの動画投稿者だったそうです。  経済産業省でも2025年に3,000億円の経済効果を見込み、目標を設定、eスポーツ支援に本格的に乗り出すとしまして、昨年は東京都においても二度のeスポーツイベントをお台場ビッグサイトで開催いたしました。その際、小池都知事も会場に行かれまして、イベントに参加、ふれあいをされたところが報道されておりました。  こういったことから、ここ2、3年でeスポーツを取り巻く環境は大きく変わってきたと考えます。eスポーツは参加者の体力的な差異や、年齢、性別を問わず、障がい者や高齢者を含め、誰でも平等に挑戦し、楽しめる事業であると言えます。  戦略的思考やICTスキルなどの向上やeスポーツを通じたチームコミュニケーションやグローバルコミュニケーションを向上させる効果があると期待しています。  また、一方で、平成30年11月には、全国高等学校eスポーツ連盟が設立されました。大田区でも日本工学院では、クリエイター科が設置されていて、ゲームクリエイターやITプログラマー等のデジタル人材の育成、輩出等に大きな実績を挙げています。近隣の高校でも、六郷工科高校や東京実業高校においても、学校の部活でeスポーツ部の活動が既にありまして、高等学校間の交流に参加しておりました。  地方自治体でも、常設のeスポーツ競技場を設けた都市が複数現れ、一昨年の茨城国体でのeスポーツ競技実施以降、取り組み方の様子が変わってきたと言えます。  今年度策定の大田区子ども・若者計画は、対象年齢を0歳から30歳未満、また施策によっては40歳未満と設定、子ども・若者を取り巻く社会環境における課題を明確にし、今後の方向性や対策等を横断的に示している点で非常に重要な計画であります。  ひきこもりの長期化や高年齢化は、若年無業者数の増加を引き起こし、それに加え、新型コロナウイルスの感染拡大は、生活、学習、就労面等、あらゆる面で大きな影響を及ぼしており、このことで、特に成長過程にある子ども・若者の今後の心身に及ぼす影響も懸念されているところであります。  人とのふれあいや体験的活動の機会を得ることが困難になっている状況で、人との会話や共通の体験を通じて得られる自身や自己肯定感、達成感等は、子ども・若者の健全な育成において、非常に重要であると考えます。  ゲームやインターネット、パソコン等のデジタル媒体は、共通の体験を通じ、コミュニケーションを活性化していく上で有効であると期待されているところですが、青少年育成担当として、どのように受け止めるか、その考えを聞かせていただければと思います。 ◎佐藤 青少年健全育成担当課長 eスポーツは、エレクトロニック・スポーツの略で、広義には、電子機器を用いて行う娯楽、協議、スポーツ全般を指す言葉で、コンピューターゲーム等を使用した対戦をスポーツ競技として捉える際の名称であると国では定義がされ、誰でも参加し、楽しめる事業とされています。  こうしたことから、eスポーツは接触を伴わない人との交流を通じ、参加者同士のコミュニケーションの促進などの面で、効果が期待されていると言われています。  また、DX推進等、急激に変動する社会環境におきまして、デジタル媒体を通じた交流の活性化は、ICTへの関心を促進し、IT人材の育成につながるとともに、分析や戦略的思考の醸成、IT関連産業の振興や就労支援等の可能性を有するものとして、国が推進しており、子ども・若者の多様な活躍の場の一つとして考えられます。  一方で、ゲーム依存症について懸念する指摘もありまして、青少年健全育成の観点からは、eスポーツにつきまして、今後多面的に考えていく必要があると認識しております。 ◆大森 委員 eスポーツの教育的意義については、青少年の健全育成に資するものであると認識しております。不登校児童・生徒の増加、ひきこもりの人、若年無業者数が増加している現状において、接触を伴わない形式での人との交流や社会参加が促進される点において、本事業を活用することにより、一定の効果が期待されます。  性別や身体的な差異や国籍も問わず、誰にでも参加の機会があるという点において、グローバルコミュニケーション能力の醸成や国際化の促進にも一定の効果があると考えます。  5G時代が到来し、DX推進、働き方改革が加速化し、急激に変動する社会環境において、次世代を担う人材を育成するという点や、好きなことから学び、デジタル人材を育成することが重要であると考え、さらに、ゲームを通じた人との交流の活性化、人間力の醸成やまちの活性化についても事業効果が期待されます。  ゲーム依存症について懸念する指摘もありますが、全国高等学校eスポーツ連盟において、医学的見地から検証に取り組んでいくということで、連盟の理事には最近蒲田に移転してきました牧田総合病院の脳神経外科医である朝本俊司先生が就任されておられます。医学的見地からの検証も勘案しながら、事業の推進について検討されています。  他の自治体における実例を参考としながら、青少年健全育成に資する事業としての実施支援について、今後所管課にて検証をお願いし、このeスポーツが大田区の青少年の活動に寄与していくためにも、青少年交流センターゆいっつの施設活用ができることが有効であると考えているところであります。  そこでお聞きします。ゆいっつにおけるデジタル媒体を活用した人材育成の場づくりと、環境整備についてどう考えるか、お聞かせください。 ◎佐藤 青少年健全育成担当課長 青少年交流センターゆいっつにおきましては、令和元年度、体育施設を除く施設全館にWi−Fi環境を整備するとともに、令和3年度よりノートPCを5台導入いたしまして、施設利用者が自由に活用できるよう、環境整備を進めております。  青少年を含め、誰でもPCに触れ、活用できる機会を提供し、デジタル活用人材を育成するとともに、PCを通じた人とのふれあいや遠隔でのコミュニケーションの促進等、多様な体験の機会を提供し、本施設を青少年が気軽に立ち寄れる居場所として活用いただくことを目的としております。  今後も、ゆいっつにおけるデジタル環境の整備を進めますとともに、居場所事業の推進を含む青少年の育成・支援等に取り組みまして、本施設が青少年の活躍の場や活動拠点として、幅広く活用されるよう、関係機関と連携しながら取り組んでまいります。 ◆大森 委員 eスポーツの競技を実施する点に関しましては、高速の通信環境が必要であります。自治体におけるDX推進の時代において、次世代移動通信システム5Gの環境整備は必須であると考えます。このことは、一昨年の第2回定例会でも推進すべきこととお願いをいたしました。  港区においては、区有施設に5G基地局を昨年より設置、昨年1月23日には、港区と株式会社ジェイコム東京、住友商事の3者で、活用促進に向けた連携協定を締結したとの発表がありました。ローカル5Gの活用検討に入り、区有施設の基地局を複数通信事業者が共有する基地局シェアリングの官民連携の取り組みであります。  お隣の品川区でも、昨年1月31日、港区と同じ時期に大崎の大崎ブライトコアホールにて、通信事業技術として普及が期待される5Gに関する最先端の取り組みの紹介と、イノベーション創出やネットワーク構築のきっかけとなる場を提供すると称し、イベントを開催しています。  他区において、1年以上前からこういった取り組みをしている現状において、本区でも国際都市おおたを標榜している中、現状と今後の取り組みについて心構えをお聞かせください。 ◎相川 企画経営部副参事〔情報政策担当〕 5Gは、高速かつ安定した通信環境を提供し、新たな行政サービスや有事の際の災害対応などに期待され、その有効性、将来性は高いものと考えております。  国は、自治体DX推進計画で、5Gサービスの開始やローカル5Gの導入など、情報通信基盤整備の進展により、地域社会のデジタル化を推進するとしています。  東京都では、五輪会場付近や、利用者が多く都庁が立地する西新宿、研究環境を備えた東京都立大学など、5G重点整備エリアとして、今年度から先進的な研究を進めております。  区内事業者においても、5G対応のための多機能ポールの設置と活用による実証が進められていると聞いております。  区では、現在策定中の(仮称)大田区情報化推進計画に5G、ローカル5G等の利活用の検討として、利活用の検討を進める予定です。  今後、国や他の地方公共団体の動向や電気通信事業者による情報環境整備状況などに注意し、デジタル技術を活用した魅力ある地域づくりにつなげてまいります。 ◆大森 委員 今、答弁では検討していくという答弁だったかなと思いますけども、港区や品川区の取り組みについて、先ほど質疑で示しました。まだ、他自治体の企業の動向を注視していく、検討していくという本区の答弁でした。そのありようが、積極性を私は求めているのですが、これからのスピード感、緊張感をもって、やっていっていただきたいと思いますが、そういったことがちょっと欠如しているのではないかなと思います。国際都市おおたをしっかりと示していただくことをお願いして、質疑を終わります。 ○湯本 委員長 本日は、この程度をもって予算特別委員会を閉会いたします。                午後 5時01分閉会...